IR情報の速報はどこで見るか——TDnetの使い方と、就活に速報が要る場面

IR情報の速報はTDnet(東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス)で見られる。無料で、登録もいらない。ただし決定的な制約がひとつある——閲覧できるのは直近31日分だけで、それより前の開示は一覧から消える。この記事ではTDnetの使い方と制約を示したうえで、就活に速報が要る場面と要らない場面を分ける。

速報を見る場所はTDnet

上場企業が決算や重要な経営情報を公表すると、まずTDnetに載る。決算短信、業績予想の修正、M&A、資本業務提携、社長交代。株価に影響する情報は取引所のルールで直ちに開示する義務があり、その受け皿がTDnetだ。

使い方は単純で、「TDnet」または「適時開示情報閲覧サービス」で検索してサイトを開き、日付を選ぶか会社名で検索する。無料・登録不要で、その日に開示された全上場企業の書類が時系列で並ぶ。

決算発表の当日、その企業が何を出したかを最速で知りたいならここが正解だ。ニュースサイトの記事より早く、しかも原典が読める。

TDnetは31日で消える——これが最大の制約

TDnetで閲覧できるのは直近31日分だけだ。2026年8月16日に実際にサイトで確認したところ、日付の選択肢は2026年7月17日から8月16日までの31日分しか用意されていなかった。それより前の開示は一覧から辿れない。

つまり、3か月前の決算短信をTDnetで読むことはできない。「探したのに見つからない」の原因の多くはこれだ。

過去の開示を追いたい場合は2つの逃げ道がある。ひとつは各社の公式IRページで、多くの企業がIRライブラリとして過去の決算短信と説明資料を数年分置いている。もうひとつはEDINETで、有価証券報告書の公衆縦覧期間は5年間と法律で定められている。

速報=TDnet(31日)、確定=EDINET(5年)。この住み分けを覚えておくと、探す場所を間違えなくなる。

開示情報の時間軸。TDnetで閲覧できるのは直近31日分のみ。EDINETは有価証券報告書の公衆縦覧期間5年、各社IRページは数年分の決算説明資料を保持している。
TDnetで辿れるのは右端の31日分だけ。それより前の開示は、EDINETか各社のIRページに取りに行く。

IR速報アプリは就活に必要か

結論から言うと、就活の目的では基本的に不要だ。

速報アプリやニュース通知サービスは、株価の変動に即座に反応したい投資家のための道具だ。分単位の速さに価値があるのは、その情報で売買の判断をする人に限られる。

就活で使う情報——平均年間給与、従業員数、事業ごとの利益、企業の課題認識——は、どれも有価証券報告書という年1回の確定資料に載っている。分単位どころか、数か月古くても結論は変わらない。

面接の直前に最新のニュースを確認したいなら、ブラウザでTDnetを開けば足りる。アプリを入れて通知を受け続けるより、決算発表の時期に自分から見に行くほうが、時間の使い方として合理的だ。

速報が要る場面・要らない場面

要る場面①——面接の直前。前日か当日に志望企業の開示を確認しておくと、直近の発表に触れられる。業績予想の上方修正や大型のM&Aが出ていれば、それだけで会話の糸口になる。

要る場面②——決算発表が集中する時期。3月期決算の企業なら、通期は5月、第1四半期は8月、中間は11月、第3四半期は2月に発表が集中する。この時期に選考が重なるなら追う価値がある。

要らない場面①——エントリーシートを書くとき。志望動機の土台になるのは事業構造と企業の課題であって、直近1週間のニュースではない。有報を読むほうが確実に効く。

要らない場面②——業界研究の段階。業界の構造は速報では見えない。複数社の有報を並べて比べるほうが早い。

速報は土台の上に塗る最後の一層だ。土台がないまま速報だけ追っても、面接では浅く聞こえる。

決算短信は1ページ目だけ読めばいい

TDnetで決算短信を開くと数十ページある。全部読む必要はない。1ページ目のサマリーに、売上高・営業利益・経常利益・純利益と、それぞれの前年同期比が並んでいる。まずここだけ見る。

そして決算短信には、有価証券報告書にない情報がひとつある。次期の業績予想だ。会社自身が来期をどう見ているかが数字で書かれている。減益予想を出しているのに採用を増やしている、といった読み方ができる。

逆に、決算短信には従業員数も平均年間給与も載らない。人に関する数字は有価証券報告書にしかない。この違いを知っておくと、どちらを開くかで迷わなくなる。

なお決算短信は監査を受けていない速報値だ。通期決算は決算期末後45日以内が適当、30日以内がより望ましいと東証が要請しており、速さを優先した資料である点は押さえておきたい。

面接直前の3分でやること

速報が本当に効くのは面接の直前だ。やることは3つ、3分で終わる。

①TDnetで志望企業名を検索する。直近1か月に何か開示していないかを見る。業績予想の修正、M&A、資本業務提携、社長交代。何も出てこなければそれでいい。

②何か出ていたら1ページ目だけ読む。決算短信ならサマリーに売上・営業利益・経常利益・純利益と前年同期比が並んでいる。適時開示なら要旨が冒頭にある。

③一言で言える形にしておく。「先週、〇〇を発表されたと拝見しました」と触れられれば、それだけで会話の糸口になる。無理に深掘りしなくていい。

逆に、準備の主戦場をここに置いてはいけない。土台は有報で作る。速報は最後に塗る一層だ。

決算発表が集中する時期

3月期決算の企業なら、通期決算は5月、第1四半期は8月、中間期は11月、第3四半期は2月に発表が集中する。東証が通期決算について決算期末後45日以内が適当と要請しているためだ。

選考がこの時期に重なるなら、追う価値がある。特に5月の通期決算では、次期の業績予想が同時に出る。会社が来期をどう見ているかが数字で分かる、年に一度の機会だ。

なお2024年4月以後に開始する事業年度から、上場会社の四半期報告書は廃止され半期報告書に一本化された。第1・第3四半期の内容は四半期決算短信で開示される。

2月期・12月期など3月期以外の会社もあるので、志望企業の決算期は確認しておく。

よくある質問

Q. TDnetは無料ですか。
A. 無料です。東京証券取引所が運営する適時開示情報閲覧サービスで、会員登録なしに誰でも閲覧できます。
Q. TDnetで過去の決算短信を見られますか。
A. 見られません。TDnetで閲覧できるのは直近31日分だけです(2026年8月16日時点で選択できた公開日は7月17日以降の31日分でした)。過去の開示は各社IRページのIRライブラリか、EDINETの法定開示から探してください。
Q. IR速報アプリは入れたほうがいいですか。
A. 就活の目的では基本的に不要です。速報アプリは株価の変動に即座に反応したい投資家向けの道具で、就活で使う数字はすべて有価証券報告書という確定資料に載っています。面接直前の確認はブラウザでTDnetを開けば足ります。
Q. 決算発表はいつ集中しますか。
A. 3月期決算の企業の場合、通期決算は5月、第1四半期は8月、中間期は11月、第3四半期は2月に集中します。通期決算は決算期末後45日以内が適当と東証が要請しているためです。
Q. 決算短信と有価証券報告書はどちらを見るべきですか。
A. 目的次第です。決算短信は速報で監査を受けておらず、次期の業績予想が載ります。有価証券報告書は監査済みで、従業員数・平均年間給与・事業等のリスクが載ります。就活で使う人に関する数字は有報にしかありません。