MBTIタイプ別の年収——タイプで決まらない部分を、実数で見る
「MBTIタイプ別の平均年収ランキング」のような情報が出回っているが、最初に正直に言うと、タイプで年収は決まらない。決めるのは、どの業界のどの会社に入るかだ。ただし、タイプごとに向きやすい業界は傾向として存在し、その業界の年収は有価証券報告書で実測できる。この記事では16タイプを4グループに分け、それぞれに向く業界の実数を示す。数字はすべて各社の有報から読んだものだ。
先に結論:タイプは年収を決めない。業界と会社が決める
「INTJの平均年収は◯◯万円」という類のランキングに、統計的な根拠はほぼない。性格タイプと個人年収を大規模に紐付けた公開データは存在せず、出回っている数字は推定の域を出ない。
一方で、確かなことが2つある。①タイプごとに長く続けやすい仕事の傾向はある。②業界と会社ごとの年収は、有価証券報告書に実数で載っている。この2つを掛け合わせるのが、タイプ×年収の唯一まともな使い方だ。
つまり問いは「自分のタイプは年収いくらか」ではなく、「自分に向く業界の中で、どの会社が高いか」に置き換えるべきだ。以下、4グループごとに実数を示す。
分析家型(INTJ・INTP・ENTJ・ENTP)に向く業界の実数
構造で考え、戦略を扱う仕事に向くグループ。相性のよい業界には、年収水準の高い会社が実在する。
FA・計測のキーエンスは平均年間給与2,178万3,000円・平均年齢35.0歳。SIer最上位の野村総合研究所は1,332万円。証券では野村證券1,325万3,000円・大和証券1,431万3,000円(いずれも有価証券報告書)。
共通するのは、1人あたり利益が厚い業界だということだ。キーエンスは従業員1人あたり営業利益4,973万円。分析・提案が価格になる業界は、払える原資が大きい。
ただし同じFAでも営業利益率は54.4%から6.9%まで8倍ひらく。業界を当てても会社を外すと結果は変わる。
外交官型(INFJ・INFP・ENFJ・ENFP)に向く業界の実数
人の成長や創造に関わる仕事に向くグループ。「やりがい業界は薄給」という思い込みがあるが、実数はそうでもない。
ゲーム・エンタメの事業会社ベースで、任天堂982万5,000円(3,084人)、バンダイナムコエンターテインメント969万8,000円(前年+21.3%)、コナミデジタルエンタテインメント889万1,000円。
注意すべきは持株会社の数字との混同だ。同じグループ内で持株1,315万円(26人)と事業会社782万円(3,235人)が併存する例がある。エンタメ志望なら、実際に入る事業会社の数字を「最大人員会社の状況」で確認すること。
人材・教育系は上場各社で水準の幅が大きい。「人を大事にする」文化かどうかは、平均勤続年数を同業で並べると見当がつく。
番人型(ISTJ・ISFJ・ESTJ・ESFJ)に向く業界の実数
正確さと安定した運用に強いグループ。銀行・インフラ・建設が典型的な相性で、水準は世間のイメージより高い。
銀行本体の平均年間給与は三菱UFJ銀行914万3,000円・三井住友銀行933万8,000円・みずほ銀行870万1,000円。いずれも持株会社の有報の「最大人員会社の状況」から読める実数で、事務系を含む全従業員の平均だ。
建設・住宅では大和ハウス工業1,101万1,000円(前年+11.0%)・清水建設1,043万1,000円。どちらも1万人超の事業会社なので、数字を額面どおり読める。
接客適性の高いESFJが気になる航空は、事業会社ベースで全日本空輸1,172万1,000円・日本航空1,011万2,000円。同じ業界でも160万円ひらく——会社選びの差だ。
探検家型(ISTP・ISFP・ESTP・ESFP)に向く業界の実数
手を動かす・場を動かす仕事に強いグループ。技術現場と成果連動の営業に、高水準の実例がある。
技術系ではファナック1,144万4,000円(平均年齢40.0歳)、横河電機948万6,000円。現場技術が会社の中核にある会社は処遇に出る。
瞬発力型のESTPに向く成果連動の強い業界では、大和証券1,431万3,000円・野村證券1,325万3,000円。ただし平均勤続年数も併せて見ること。水準と引き換えの働き方かどうかは勤続の長さが教えてくれる。
感性を使うISFPには、収益力のあるものづくり企業(ゲーム事業会社のセガ883万円など)が「好き×食える」の交点になる。
同じ適性でも、会社選びで数百万円変わる
ここまでの数字が示すのは、タイプの中の差より、会社の間の差のほうがはるかに大きいという事実だ。
専門商社の兼松は平均年齢37.7歳で1,201万6,000円——総合商社の双日(40.5歳・1,257万2,000円)に、3歳若い集団でほぼ並ぶ。同じ「商社適性」でも、どちらを選ぶかで到達年齢が変わる。
だから使い方はこうなる。①タイプで業界の当たりをつける(このサイトの16タイプ診断とタイプ別ページ)→②その業界の主要社を有報の実数で並べる→③平均年齢・勤続・単体比で補正して選ぶ。
タイプ診断は入口であって、答えではない。答えは有価証券報告書に書いてある。