freee(4478)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、freeeを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「2年で利益率6%→15%」です。

有報の数字(第14期)

売上高
424億円
純利益
11億円
従業員数(連結)
2,327人
従業員数(単体)
2,268人
平均年間給与(単体)
806万円
平均年齢
33.2歳
平均勤続年数
2.2年

出典:freeeの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

freeeを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、freeeに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはfreeeの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、フリー株式会社(通称freee) 有価証券報告書 第14期(2025年7月1日〜2026年6月30日)に基づきます。

freeeは、高い成長を続けたまま、2028年6月期に利益率15%以上へ引き上げると期限を切った会社だ。

知っておきたいことは3つある。

・会社が決めた期限が、28卒の入社のすぐ後に来る。売上の成長率と本業の利益率を足して40%以上にする目標で、第14期(2026年6月期)は筆者計算で33.9%だった。
・本業の利益は増えたのに、最終利益は減った。営業利益は前期比+78.6%、純利益は△21.3%だ。差は、前期にあった税金の戻しが小さくなったことにある。
・人が増え続け、勤続の短い組織だ。連結従業員は1年で426人増えて2,327人になり、平均勤続年数は2.2年である。

この記事では、期限の中身、AIと会計事務所への賭け、利益と働き方の事実を確かめ、面接で自分の言葉で語れる形にする。

第1章 freeeは何に賭けているのか

1-1. 会社が自分で決めた目標——2028年6月期に利益率15%以上

有報によると、会社の中長期の財務目標の柱は、2028年6月期に、前期比の売上成長率と調整後営業利益率を足して40%以上にすることだ。海外のSaaS企業が使う「Rule of 40」という物差しである。SaaSとは、ネット経由で使うソフトを継続課金で貸す事業のことだ。

調整後営業利益は、営業利益に株式報酬費用などを足し戻した、本業の稼ぐ力を見る利益である。有報は、このうち利益率を15%以上に上げると書く。

現在地は、まだ遠い。第14期は売上が27.6%伸び、利益率は6.3%だった。合計は33.9%で、前期より下がっている。会社は第15期(2027年6月期)の利益率を11.0%と見込む。

28卒の入社は2028年4月だ。期限の2028年6月期は、入社の3か月後に終わる。目標の達成が決まる局面に、新入社員として立ち会う。

面接での使い方

志望動機では、達成が決まる局面と、その後の次の目標づくりに関わりたい、と語れる。逆質問では、成長率と利益率のどちらを優先して動かすのかを聞ける。

1-2. 賭けているのは「AIに任せきる体験」と会計事務所

有報は、顧客体験を「Done by You」(人が使いやすい画面)から「Done for You」(業務をAIエージェントに任せきる体験)へ移すと書く。AIエージェントとは、指示を受けて業務を自分で進めるAIのことだ。

実行の証拠は3つある。2026年3月に、AIがfreeeの機能を直接操作できる「freee-mcp」を公開した。会計事務所向けに「freee Agent Hub」、法人向けに「freee AIアシスタント」も出した。そして有報は、会計事務所経由の顧客獲得が大きく伸びたと書く。

買収も続く。2025年9月に即日払いのファクタリング(売掛金を買い取る金融サービス)を持つGMOクリエイターズネットワーク、2026年4月に在庫管理のロジクラを完全子会社にした。直近2年の4社は、予約、連結会計、金融、在庫と領域が違う。

買った会社の多くは、短期間でfreee本体に吸収合併されている。同業を束ねるロールアップではなく、機能を足す買収と読むのが自然だ。

面接での使い方

志望動機では、AIを前提にした製品づくりに関わる理由を語れる。課題指摘では、買い足した機能を既存の顧客にどう広げるかを論点にできる。

1-3. 本業は伸びたのに、最終利益は減った

第14期の営業利益は、前期から大きく増えた。ところが、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益)は10.8億円で、前期より減った。

差は税金にある。前期は、過去の赤字を将来の税金から引ける権利を資産に計上し、法人税等が△9.5億円という大きなマイナスだった。マイナスは利益を押し上げる。当期は△3.1億円で、押し上げが小さくなった。

純利益の減少は、本業の悪化ではない。税金を引く前の利益は、約1.8倍に増えている。

数字を引くときは、純利益と営業利益を並べて話す。

面接での使い方

課題指摘では、最終利益の減少を見て「成長が止まった」と言う学生との違いを出せる。逆質問では、税金の押し上げが小さくなったあとの利益の伸び方を聞ける。

1-4. 働く側の事実——勤続2.2年、年収805万6,000円、1年で426人増

連結従業員は2,327人で、前期の1,901人から426人増えた。提出会社(本体)は2,268人、平均年齢は33.2歳、平均勤続年数は2.2年である。

平均年間給与は805万6,000円だ。ただし有報によると、今期から計算方法を、賞与、基準外賃金、株式報酬費用を含む形に変えた。前期の688万4,000円とは直接比べられない。

有報は人事制度について「年功的な運用を一切排除」と書き、原則全日出社の方針も掲げる。若く、増員の速い組織だ。

面接での使い方

志望動機では、年功でなく成長力で任される環境を選ぶ理由を語れる。逆質問では、増員が続くなかで新人が最初に任される役割を聞ける。

第2章 クラウド会計・人事労務ソフトの収益構造

2-1. 先に投資し、あとで回収する商売

SaaSは、一度作れば複製の費用が小さい。売上総利益率は81.0%と高い。一方で、販売促進と営業の費用が売上の50.2%を占める(調整後)。客を取る費用を先に払い、月額で回収する構造だ。

売上の先行指標が、ARR(毎月入る継続課金を1年分に直した金額)だ。回収の速さを決める解約率も、ARRで測る。

解約した客のARRが前月末のARRに占める割合を、12か月で平均した値が1.0%だった。抜けにくいほど、先に払った費用が利益に変わる。

面接での使い方

志望動機では、継続課金を積み上げて事業を伸ばす仕事に関わりたい理由を語れる。逆質問では、解約率を下げてきた施策を聞ける。

2-2. 市場はまだ広く、競合は同じ領域に並ぶ

有報は、国内の中小企業のバックオフィス向けクラウドソフトの利用率を47.7%、個人事業主のクラウド会計ソフトの利用率を38.4%と書く。まだ半分に届かず、広がる余地は大きいという主張だ。

ただし、有報自身が、TAM(獲得し得る最大の市場規模)は客観的な市場規模を示す目的の数字ではないと断っている。会社の推計である点は、押さえたい。

競合も同じ顧客を狙う。有報のリスクの項は、競合をクラウド会計・人事労務の事業者と、従来型ソフトの事業者に分けて書く。同じクラウド会計では、マネーフォワードが並ぶ。

面接での使い方

課題指摘として、利用率が半分に届かない市場で、競合より先に紙や表計算から客を移す難しさを論点にできる。逆質問では、どの層から先に伸びると見ているかを聞ける。

2-3. この構造で働くとは、どういうことか

顧客の入口は、自社の営業やネット広告だけではない。会計事務所が、顧問先の企業にfreeeを勧める経路が太くなっている。説明資料によると、事務所と組んで使う法人は、解約率が約4割下がった。

個人事業主の新規契約は、確定申告の1〜3月に集中する。有報は、この時期に広告宣伝費を増やすため、第3四半期の損益が悪化しやすいと書く。

面接での使い方

志望動機では、専門家と組んで顧客に届ける仕事を選ぶ理由を語れる。逆質問では、事務所との関係づくりを若手がどこまで担うかを聞ける。

freeeの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(成長率が落ちるなかの利益率/金融サービスと立替金/AI時代の立ち位置/費用の比率)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

■この会社の面接で落ちる人の共通点
「黒字になって、安定した会社ですよね」と言ったあとに、面接官から「自己資本比率は下がっていますが、どう見ていますか」と返されて、言葉が止まる。第4章では、この止まり方を3パターンに分けて、どこで差がつくかを書いた。

■逆質問の1本目だけ、ここに置いておく
「営業利益は前期比+78.6%でしたが、純利益は△21.3%でした。税金の戻しが小さくなった第15期に、純利益をどう伸ばしていく計画でしょうか。」
この質問に必要な数字は、営業利益と純利益の増減率の2つだ。残り6本は、指標の変更、自己株式の取得、立替金、会計事務所、AIの収益化、増員と勤続を、同じ型で組んである。

ここまでが無料パートです。2028年6月期に利益率15%以上という期限、第14期の成長率と利益率の合計は33.9%で40%に届かないこと、営業利益は+78.6%でも純利益は△21.3%だったこと、平均勤続2.2年——freeeの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 クラウド会計・人事労務ソフトの構造的課題——成長率が落ちるなかの利益率/金融サービスと立替金/AI時代の立ち位置/費用の比率
  • 第3.5章 面接前に押さえるfreeeの最新ニュース10本——売上424億円・第15期予想522億円・自己株式50億円まで。1本ごとに「面接で使うなら」
  • 第3.6章 数字で補足——5期の推移・顧客区分別のARRと人数・ROEの分解・財務・株主還元・リスク要因
  • 第4章 内定者の正体——「若手から裁量を持って成長したい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収805万6,000円の読み方と、2,327人でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続2.2年の読み方、女性役員比率33.3%、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本(それぞれの狙いつき)
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. freeeの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第14期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は806万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. freeeの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第14期)では、提出会社(単体)が2,268人、連結が2,327人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. freeeが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。