ミズノ(8022)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、ミズノを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「4期連続で最高益」です。

有報の数字(第113期)

売上高
2,590億円
純利益
184億円
ROE
11.1%
従業員数(連結)
3,682人
従業員数(単体)
1,507人
平均年間給与(単体)
749万円
平均年齢
42.6歳
平均勤続年数
17.3年

出典:ミズノの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

ミズノを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、ミズノに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはミズノの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

結論から言う。ミズノは過去最高益を更新し続けているが、会社が見ているのは「上の会社との利益率の差をどう縮めるか」である。

知っておきたいことは3つある。

2026年3月期の売上高は2,590億円、営業利益は226億円で、ともに過去最高だった。営業利益とは本業のもうけのことだ。売上高は4期連続、営業利益は5期連続の更新である。

会社は2028年度に売上高3,300億円、営業利益310億円を目標に掲げている。28卒が入社する年が、この目標の年度にあたる。

増収の中でも、営業利益が減った地域がある。ここが面接で語れる課題になる。

この記事では、ミズノが何に賭けているのか、目標と現状の差はどこにあるのか、同業と比べてどこが違うのかを確かめる。

第1章 ミズノは何に賭けているのか

1-1. ミズノとはどんな会社か

ミズノは1906年に大阪で創業した。2026年4月に創業120周年を迎える。

事業は地域別に「日本」「欧州」「米州」「アジア・オセアニア」の4つに分かれる。見落とされやすいのは、日本の事業の広さだ。

野球やゴルフの用品に加えて、スポーツ施設の建設と運営、スイミングスクール、作業服や安全用品まで手がけている。スポーツ施設の運営事業は、日本の売上のうち約15%を占める。

用品を売るだけでなく、スポーツをする「場」もつくる会社だ。

面接での使い方

志望動機で「用品メーカーにとどまらず、場づくりまで手がける点に惹かれた」と語れる。

1-2. 最高益の裏で、利益が減った地域がある

2026年3月期は営業利益226億円で、売上高に対する営業利益の割合は8.7%だった。好調だったのは、国内のフットボール、ゴルフ、スポーツスタイルシューズ、ワークビジネスである。

一方で、地域別に見ると利益が減っているところがある。

米州は、営業利益が前期比で12.4%減った。ゴルフは好調だが、アメリカの相互関税でコストが上がった。

アジア・オセアニアは、営業利益が11.7%減った。利益率の高いゴルフが、韓国市場の停滞で伸び悩んだ。

欧州は、営業利益がほぼ倍増した。ただし、会計期間が9カ月から12カ月に変わった影響を含む。

売上が伸びても、関税や特定市場の停滞で利益が削られる構造が見える。

面接での使い方

課題指摘として「米州の関税コストをどう吸収するのか」を逆質問にできる。

1-3. 工場でなく、選手契約と販売店に賭ける

ミズノの有価証券報告書には、重要な設備の新設計画は「特記すべき事項はありません」とある。欧州の在外支店を子会社にしたのも組織の形を変えただけで、他社の買収ではない。

では何に投資するのか。種目ごとの打ち手を見ると分かる。

ゴルフ:新製品ドライバー「JPX ONE」でウッドの事業を広げる。

ランニング:トップ選手との契約と、販売店のスタッフとの関係を強める。

フットボール:欧州クラブや契約選手を通じて、ブランドの認知度を上げる。

投資先は工場ではなく、選手との契約や販売店との関係だ。資金の使い道も、商品の仕入れと設備の維持更新が中心である。

面接での使い方

「選手契約や販売店への投資は、何年ほどで売上に表れるのか」を逆質問にできる。

1-4. 2028年度の目標と、現状との差

会社自身が掲げた2028年度の目標と、2026年3月期の実績を並べる。

売上高:3,300億円(実績は2,590億円)

営業利益:310億円(実績は226億円)

営業利益率:9.4%(実績は8.7%)

海外売上比率:46%(実績は40%)

指標では、ROAとROEをともに11.5%にする目標がある。ROEは、株主のお金でどれだけもうけたかを示す。ROAは、会社の全財産でどれだけもうけたかを示す。ROEの実績は11.1%だった。

会社はこのうちROAを「特に重要な経営指標」としている。ROEは借金を増やせば上がるが、ROAは上がらない。借金に頼らず、利益そのものを伸ばす姿勢が読み取れる。

実際、自己資本比率は68.9%と高い。ただし2026年3月に社債を100億円発行している。資金の使い道は今後も注視したい。

面接での使い方

「海外売上比率を40%から46%にする上で、最も重要な地域はどこか」と逆質問できる。志望動機では、入社年が目標年度であることを語れる。

第2章 業界比較——アシックス・ゴールドウインとの差

2-1. アシックスとの差——利益率と年収

同じ2026年3月期で、国内最大手のアシックスと比べる。

営業利益率は、ミズノが8.7%、アシックスが17.6%だ。アシックスはミズノの2倍以上の水準にある。ミズノの2028年度の目標は9.4%なので、差は大きく残る。

平均年収も見ておく。ミズノは748.8万円(単体)、アシックスは1,080万円である。働く側にとっても、この差は小さくない。

両社とも、直営店やネット販売の強化を成長の柱にしている。ただ、海外の専門店でのブランド認知は、現時点ではアシックスが先行している。

面接での使い方

「アシックスとの利益率の差を、何で縮めるおつもりですか」と逆質問にできる。

2-2. ゴールドウインとの差——集中か、分散か

ザ・ノース・フェイスの日本総代理店であるゴールドウインとも比べる。

営業利益率は、ゴールドウインが18.8%でミズノの2倍以上だ。平均年収は652万円(単体)で、ミズノの748.8万円より低い。年収はミズノが上回る。

違いは事業の持ち方にある。ゴールドウインは単一ブランドに集中して伸びた。ミズノは野球、ゴルフ、ランニング、フットボールなど、多くの種目に分けて事業を持つ。

集中の爆発力をとるか、分散の安定をとるか。どちらに魅力を感じるかは、そのまま志望動機の軸になる。

面接での使い方

志望動機で「多くの種目に分かれた事業構造に、安定して挑戦できる環境を感じた」といった軸を語れる。

ミズノの構造的課題と追い風は、3つに分けて第3章で扱う(### 追い風——世界的スポーツイベントとDTC強化/### 追い風——スポーツ以外への技術応用/### 逆風——為替・関税・原材料高の三重苦)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。売上高2,590億円で4期連続最高益、しかし営業利益率はアシックスの半分。ここから先は、この数字を「選考で使える武器」に変える有料パートです。

  • 第3章 業界の構造的課題——### 追い風——世界的スポーツイベントとDTC強化/### 追い風——スポーツ以外への技術応用/### 逆風——為替・関税・原材料高の三重苦
  • 第3.5章 面接前に押さえるミズノ最新ニュース10本——創業120周年ロゴ・転換社債発行・自己株買い・ライフスタイル直営店出店まで
  • 第4章 内定者の正体——選考プロセスとES「なぜミズノか」の組み立て、面接で聞かれること
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収の中身、職種別キャリアパス、市場価値
  • 第6章 働く環境の現実——数字で見る組織、女性活躍の進捗、退職理由の構造
  • 第7章 面接攻略——財務分析を組み込んだ志望動機と逆質問例
  • 第8章 やましゃんの総合評価——5軸スコアリングと向き不向き

よくある質問

Q. ミズノの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第113期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は749万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. ミズノの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第113期)では、提出会社(単体)が1,507人、連結が3,682人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. ミズノが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。