日本たばこ産業への転職前に、有価証券報告書で確かめること

このページは、日本たばこ産業を中途で受ける人と、いま日本たばこ産業にいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「カナダ子会社は今後30〜40年、毎年の税引後利益の85%を払い続ける——和解金3兆5,600億円の中身」です。

決算の要点(有報から3点)

ROE 12.99%への「回復」は、前期の特殊要因が消えただけ。前期のROE 4.72%は、カナダ訴訟損失引当金3,756億36百万円によるものでした。5期のROEは12.70%→13.94%→13.09%→4.72%→12.99%なので、当期は元の水準に戻っただけです。PERも40.42倍から19.63倍へ下がりましたが、これは利益が戻ったためであり、株価の評価が変わったわけではありません。一方、配当は194円から234円へ20.6%増と、株主還元は明確に強化されています。

カナダの負債は、金額ではなく仕組みで見るべき。残高1,565億11百万円(割引率6.13%)という数字だけを見ると、8兆円の資産規模に対して小さく見えます。しかし実態は、「カナダ子会社の税引後当期純利益の85%を、30〜40年間払い続ける」という契約です。カナダ事業は、実質的に今後数十年、グループへの利益貢献がほとんどなくなります。そして負債の金額は「カナダのたばこ市場規模」と「JTIのシェア」の予想で動くため、事業が好調になるほど負債も増えるという構造を持ちます。加えて、喫煙と健康に関する訴訟は決算日現在142件が係属中で、米国Vector Group買収で引き継いだ訴訟にも引当金を計上しています。

利益成長はEMAに集中している。たばこ事業の調整後営業利益9,521億61百万円のうち、EMAが4,500億45百万円(47.3%)で前期比+42.9%。Asia(日本を含む)は+2.2%にとどまりました。EMAにはトルコ、ルーマニア、ロシアが含まれると有報が明記しています。利益率で見ればWestern Europeの37.7%が最高ですが、成長を牽引しているのはEMAです。新興国通貨・地政学・各国のたばこ規制という、日本からは見えにくい変数が、この会社の利益の半分近くを左右します。なお医薬事業の売却により、事業ポートフォリオはたばこ(利益の大半)と加工食品(利益率5.4%)の2本になりました。

転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)

5万2,867人の内訳——たばこ事業が47,900人で90.6%

加工食品3,906人は利益の0.9%

提出会社5,303人・平均年間給与1,003万9,116円

平均勤続年数に「日本専売公社」が含まれている

女性管理職は提出会社10.9%、連結26.4%

そして連結の男女賃金格差は110.7%

中途でこの会社を受けるなら

2事業の利益率は28.8%と5.4%

経営企画部長が唸る逆質問10本

カナダの負債とEMA集中を、どう聞くか

入社後も、自分で有報を読み続けるために

毎年見るべき3か所

面接までの3ステップ

① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る

有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。

② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る

注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。

③ その数字から、逆質問を1本作る

上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。

よくある質問

Q. 数字の出典は何ですか。
A. 各社が金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINET(金融庁の開示システム)で誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 無料で読める範囲はどこまでですか。
A. note記事の投資家向けパート(決算の解剖)は無料で読めます。社員・転職者向けのパート(人員の配置、年収と勤続の中身、逆質問)が有料で、2,480円の買い切りです。