KDDIへの転職前に、有価証券報告書で確かめること
このページは、KDDIを中途で受ける人と、いまKDDIにいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「自己資本比率が45.0%から26.6%に落ちた5年——代理店手数料6,866億円は「資産」に載っている」です。
決算の要点(有報から3点)
自己資本比率26.6%は、銀行を連結した見え方。実態は48.5%。ただしその48.5%も前期の50.9%から下がり、銀行を除いた有利子負債は2兆8,189億円から3兆2,694億円へ4,504億円増えています。総資産が5期で1.72倍になった中身は、金融事業の預金と貸出金。KDDIを「通信会社」として見るか「通信+金融のコングロマリット」として見るかで、財務指標の読み方が変わります。会社自身が両方の数字を出しているので、どちらで見るかは読み手が決められます。
売上の79.3%を占めるパーソナルが減益で、原因は資産化した代理店手数料の減損。契約コスト7,325億円(総資産の3.84%)のうち6,866億円が代理店への販売手数料で、「見積契約期間」という仮定の上に乗っています。監査法人もKAMに挙げました。解約率が上がればこの資産は削られる。会社が新中計でLTV重視の構造改革を柱に据えたのは、この構造への回答と読めます。モバイルARPU+100円、スマホ稼働数+36万契約という実績は、その第一歩が効いていることを示しています。
成長はビジネスセグメントが担っている。売上+8.7%・営業利益+12.2%で、中身はIoT(コネクティッドカー)とデータセンター。2026年1月に大阪堺データセンターを開業し、AI用途に振っています。新中計「Power-to-Connect 2028」(2026〜2028年度)ではセグメントをテレコムコア/パーソナルグロース/ビジネスグロースの3つに再定義し、調整後営業利益のCAGR5%、そしてROEとROICスプレッドを重要な経営指標に掲げ、役員報酬と連動させると明記しました。来期からは、この3区分で追いかけることになります。
転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)
7万3,198人の内訳と、臨時従業員4万4,964人
ビジネスは正規3万9,707人に対し臨時2万9,759人
従業員が5期で2万4,369人増えた——ただし当期の増加は「集計方法の変更」
注記を読むと実質の増加は約776人
提出会社9,891人・平均年間給与1,051万円(+3.2%)
ただし出向社員3,641人はこの数字に入っていない
女性管理職10.8%、賃金差異83.3%
連結子会社15社の数字が並んでいて、5.9%から62.7%まで開く
中途でこの会社を受けるなら
来期からセグメントが3つに変わる
経営企画部長が唸る逆質問10本
ROICスプレッドを役員報酬に連動させる会社に、何を聞くか
入社後も、自分で有報を読み続けるために
毎年見るべき3か所
面接までの3ステップ
① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。
② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る
注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。
③ その数字から、逆質問を1本作る
上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。