DeNA(2432)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、DeNAを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「利益の94%はゲーム1本」です。
有報の数字(第28期)
- 売上高
- 1,477億円
- 純利益
- 190億円
- ROE
- 8.0%
- 従業員数(連結)
- 2,483人
- 従業員数(単体)
- 1,400人
- 平均年間給与(単体)
- 1,118万円
- 平均年齢
- 38.6歳
- 平均勤続年数
- 7.0年
出典:DeNAの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
DeNAを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、DeNAに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはDeNAの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社ディー・エヌ・エー 有価証券報告書 第28期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。
結論:DeNAは利益の大半をゲーム事業に頼る会社で、その構造をどう変えるかが最大の論点だ。
知っておきたいことは3つある。
・利益の94.0%を、ゲーム事業の297億円が占める。ヘルスケア・メディカルは赤字だ。
・売上の21.0%を、株式会社ポケモン1社との取引が占める。
・会社は戦略を作り直している最中で、年限つきの数値目標を掲げていない。
この記事では、この3点が有価証券報告書のどこに書かれているかを確かめる。
第1章 DeNAは何に賭けているのか
1-1. 利益の94.0%を、ゲーム事業が稼いでいる
会社の稼ぎを事業別に見る数字を、セグメント利益という。5事業を合計すると、ゲーム事業の297億円が94.0%を占める。
赤字の事業もある。ヘルスケア・メディカルは23億円の損失で、新規事業も赤字だ。
人員の置き方にも偏りが出ている。連結従業員2,483人のうち、525人がヘルスケア・メディカルにいる。ゲームの744人に次ぐ多さだ。黒字化していない事業に、多くの人を置いている。
課題指摘と逆質問に使える。「利益の大半をゲームに頼る構造を、今後どう変えるのか」と聞ける。
1-2. 売上の21.0%を、1社との取引が支えている
有価証券報告書(会社が毎年提出する公式の報告書。以下、有報)には、取引先別の売上が載る。株式会社ポケモン向けは311億円で、売上全体の21.0%だ。単一の取引先が、売上の5分の1を占める。
DeNAは『Pokémon Trading Card Game Pocket』を2024年10月に配信した。有報は、ゲーム事業の減収減益を「配信当初の初速からの反動」と説明する。ゲーム事業の売上は、前期より17.6%減った。
課題指摘に使える。「特定のヒット作や取引先に頼らない収益の柱を、どう育てるのか」と逆質問にできる。
1-3. 戦略は作り直し中。28卒は新しい計画の下で働く
有報の「対処すべき課題」で、会社は戦略の「アップデート、具体化、実行」を最優先に挙げる。2025年3月期から走る中期戦略を、いま作り直している最中だ。
28卒の入社は2028年4月である。働く頃に動いているのは、これから固まる新しい戦略になる。
経営指標では、ROEも重視しつつ、売上や利益を重視すると書く。ROEは、株主から預かったお金でどれだけ利益を出したかを示す割合だ。当期の実績は8.0%だが、年限を切った数値目標はない。
方針は「各事業とも有意な利益貢献をする構造を目指しております」と書かれている。裏を返せば、いま利益貢献していない事業がある。
志望動機と逆質問に使える。新戦略が公表済みなら読んだ上で志望動機に織り込み、未公表なら公表時期を聞ける。
1-4. 減収減益の期に、資産を絞って財務を固めた
第28期(2026年3月期)の売上収益(売上高にあたる)は1,477億円で、前期より9.9%減った。
本業の稼ぎを示す営業利益は、35.5%減った。一方で総資産は、1年で609億円減っている。
資産を絞った中身は、保有していた株式などの売却だ。得た資金で、借入金の返済と自社株の取得を行った。
自己資本比率(返す必要のないお金が総資産に占める割合)は、61.3%から69.8%に上がった。売上が減る中で、次の戦略を作る前に守りを固めた形だ。次の投資に踏み出す土台にもなる。
志望動機と逆質問に使える。「厚くした財務を、どの事業の投資に回す方針か」と聞ける。
1-5. 待遇:平均年間給与は1,118万円、前期比+26.6%
単体の従業員は1,400人だ。平均年齢は38.6歳、平均勤続は7.0年である。平均年間給与は1,118万円で、前期より26.6%増えた。
減収減益の年に、なぜ上がったのか。有報には、前期の費用に特別賞与の支給に向けた人件費を計上したとの記述がある。この賞与が当期に支払われたなら、給与が跳ね上がる理由になる。
働く側の事実として、志望動機の裏づけに使える。「給与の上昇は特別賞与の影響か、水準自体が上がったのか」を逆質問にできる。
第2章 エンターテインメント業の収益構造
2-1. ゲーム:当たれば利益率46.1%、外れれば損失になる
利益率は、売上のうち利益として残る割合だ。ゲーム事業は46.1%と高い。ソフトは、追加で1回ダウンロードされてもコストがほぼかからないためだ。
だが外れれば、開発費がそのまま損失になる。減損損失(価値が下がった資産を損として計上すること)は、当期99億円に達した。高い利益率は、多数の失敗を織り込んだ平均値だと読める。
ヒット作には寿命もある。ポケポケは当期、初速からの反動で減収減益の要因になった。
課題指摘に使える。「ヒットの反動を吸収する収益の柱を、どう作るか」を、自分の貢献案と合わせて語れる。
2-2. ライブストリーミング:広告を絞って黒字転換した
ライブストリーミング事業(Pococha・IRIAM)のセグメント利益は、40億円だった。前期は2億円の損失なので、黒字転換である。
背景は広告の絞り込みだ。国内のPocochaは2025年3月期の上期にTVCMなどを実施したが、下期以降は収益性の改善を優先した。IRIAMは堅調だった。
広告を絞れば、売上は伸びにくい。それでも利益は出る。成長より収益性を選んだ、という経営判断だ。
志望動機と逆質問に使える。「次は成長と収益性のどちらを優先するのか」と聞ける。
2-3. 球団と持分法:ゲーム以外の稼ぎ口
スポーツ・スマートシティ事業(横浜DeNAベイスターズ・BASEGATE横浜関内)は、5事業で唯一の増収だった。2025年シーズンの観客動員は、球団史上最多を更新している。
利益が微減だったのは、2026年3月にグランドオープンした2つの直営施設の準備費用が、先行したためだ。
もう一つの稼ぎ口が、持分法による投資利益88億円である。出資先(Cygames、GO株式会社)の利益のうち、自社の持分を取り込むものだ。自社で運営しない事業からも、利益が入る。
営業利益の落ち込みに比べ、税金を引く前の利益の落ち込みが小さいのは、この88億円が支えたためだ。
逆質問に使える。「出資先との関係を、自社の事業にどう生かしているか」と聞ける。
DeNAの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(ゲーム1本への集中というリスク/単一取引先への依存/新規事業がまだ赤字/資産を売って財務を良くする、その先)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。売上収益1,477億円(△9.9%)、営業利益187億円(△35.5%)、セグメント利益316億円のうちゲームが297億円で94.0%、株式会社ポケモンが売上の21.0%、持分法投資利益88億円(+281.7%)、保有金融資産617億円を売却して自己資本比率69.8%へ——DeNAの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 エンターテインメント業の構造的課題——ゲーム1本への集中というリスク/単一取引先への依存/新規事業がまだ赤字/資産を売って財務を良くする、その先
- 第3.5章 面接前に押さえるDeNAの最新ニュース10本——ポケポケ反動・GO上場・第1四半期決算まで
- 第4章 内定者の正体——「DeNAのゲームが好き」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収1,118万円(+26.6%)の読み方と、2,483人組織でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——女性役員比率30.0%の他社比較、勤続7.0年の意味、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生