マツキヨココカラ(3088)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、マツキヨココカラを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「旧2社で2倍の差」です。
有報の数字(第19期)
- 売上高
- 1兆1,174億円
- 純利益
- 558億円
- ROE
- 10.5%
- 従業員数(連結)
- 14,293人
- 従業員数(単体)
- 74人
- 平均年間給与(単体)
- 746万円
- 平均年齢
- 48.3歳
- 平均勤続年数
- 10.7年
出典:マツキヨココカラの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
マツキヨココカラ&カンパニーを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、マツキヨココカラ&カンパニーに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはマツキヨココカラ&カンパニーの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社マツキヨココカラ&カンパニー 有価証券報告書 第19期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。
結論:マツキヨココカラは売上1兆1,174億円の国内トップクラスだが、統合から5年たっても、旧2社の数字は1つになっていない。
知っておきたいことは3つある。
会社は、稼いだ現金の45%を成長に、45%を株主に返す方針を、2031年3月期まで掲げている。
旧マツキヨ側は増収、旧ココカラ側は減収だ。従業員1人あたりの利益は865万円と433万円で、約2倍の差がある。
同じグループの中で、平均年収は543万円と480万円。63万円の開きがある。
この記事では、第1章で会社の賭けと社内の差を、第2章で利益の出どころを確かめる。
第1章 マツキヨココカラは何に賭けているのか
1-1. 稼いだ現金を「成長45・株主45・守り10」に分ける
有報(有価証券報告書)は、会社が法律に基づいて出す年次の報告書だ。そこに現金の使い道の方針がある。
2031年3月期までに本業で稼ぐ現金を、成長投資に45%、株主還元に45%、財務基盤の強化に10%配る。成長投資の中身は、出店・改装、中小型M&A、海外事業などである。
配当では、減配しない「累進配当」とDOE 6%を目指すと書く。DOEとは、会社の純資産に対し、配当を何%払うかを示す割合だ。
目指す姿は「アジアNo.1のドラッグストア」。非財務の目標には、グループ会員4,500万人を置く。有報は自社の強みを、店舗網ではなく顧客データと書いている。
28卒の入社は2028年4月で、この方針の中盤にあたる。志望動機で「成長に現金の45%を振る時期に挑戦したい」と語れる。
1-2. 買収した会社を統合しない「連合体構想」
有報は、成長の方法を「連合体構想」と呼ぶ。買った会社を1社にまとめず、複数社が並ぶ形で規模を広げる考えだ。M&Aは「中小型」と明記され、小さく数多く買う方針になる。
2025年8月に、中間持株会社(傘下の会社をまとめる会社)のアンドカンパニーを新設した。九州北部で調剤薬局を展開する新生堂薬局を、その子会社にしている。
形は組織にも残る。連結従業員14,293人に対し、会社本体の従業員は74人。純粋な持株会社だ。旧2社は今も別々のセグメントで開示される。
打ち手には、大都市圏への出店強化、調剤併設の推進、ASEAN(東南アジア)での新規国進出が並ぶ。調剤併設とは、店に処方薬の窓口を併設することだ。
逆質問で「買った会社の看板を残す利点と、統合が進みにくい点を、どう見ているか」と聞ける。
1-3. 第19期決算——飛躍は終わり、通常の成長に戻った
第19期(2026年3月期)の売上高は1兆1,174億円で、前期比+5.3%だ。
純利益は557億円。伸びは+2.0%で、売上より小さい。有報は、物価上昇などのコスト上昇圧力を理由に挙げている。
営業利益率は7.6%。これは売上に対する本業の利益の割合で、ドラッグストアとしては高い水準だ。第16期に売上が大きく伸びたのは、ココカラファインとの統合が通年で効いたためである。今はその効果が一巡している。
課題指摘で「統合効果が一巡した今、売上ほど利益が伸びていない点が論点だ」と話せる。
1-4. 旧2社の明暗と、のれん償却
旧マツキヨ側の売上は+6.6%、旧ココカラ側は△0.3%だった。従業員1人あたりのセグメント利益は、それぞれ865万円と433万円。約2倍の差だ。
ココカラ側の減収は、意図的な面もある。不採算店を閉め、人を配置し直す「スクラップ&ビルド」を進めたためだ。ただ、利益も△1.5%と減った。絞り込みは、まだ利益に結びついていない。
ココカラ側には、のれん償却64億円もある。のれんとは、買収価格が相手の純資産を上回った差額で、毎年費用にする。同事業の利益の約27%にあたる。
課題指摘で「ココカラ側の利益を上げることに貢献したい」と言える。逆質問では、スクラップ&ビルドが利益に結びつく時期を聞ける。
1-5. 同じグループで年収が63万円ちがう
有報の「従業員の状況」には、事業会社ごとの平均年収が出ている。マツモトキヨシが543万円、ココカラファインヘルスケアが480万円だ。
差は63万円。平均年齢はココカラ側が39.6歳で、マツキヨ側の37.5歳より高い。年上の側のほうが、年収は低い。
年収の前期比は、マツキヨ側が増え、ココカラ側はわずかに減った。差は縮まっていない。
逆質問で「旧2社の処遇や評価の仕組みは、今後どう揃えていく計画か」と聞ける。
第2章 ドラッグストア業の収益構造
2-1. 化粧品と都市部で高い利益率を取る
マツキヨココカラの営業利益率7.6%は、同じドラッグストアのツルハHDの4.3%より高い。理由は商品構成にあり、この会社は化粧品に強い。
有報は旧マツキヨ側の好調を、都市部の人流増加と訪日客の需要を取り込み、化粧品が伸びたためと説明する。化粧品は人が集まる場所で売れるため、立地への依存が大きい。
渋谷などに旗艦店を構える都市型だ。郊外に出店するツルハHDとは、商売の設計が違う。
志望動機で「都市の一等地で化粧品を売る強み」を挙げられる。課題指摘では、立地への依存を論点にできる。
2-2. PBと顧客データが利益を支える
PB(プライベートブランド)は、自社ブランドとして作らせて売る商品だ。仕入れて売るより中間マージンが減り、利益率が上がる。有報は「matsukiyo」や、新スキンケアブランド「MQURE derma×」の展開を挙げる。
商品開発の土台は顧客データだ。有報は、1億6,955万の顧客接点を活用すると記す。何がどこで誰に売れているかが分かれば、次に作る商品も決まる。
志望動機で「データで商品を作る会社に魅力を感じた」と語れる。逆質問では、顧客データをPB開発にどう使っているかを聞ける。
2-3. ツルハHDとの違い
利益では、マツキヨココカラの営業利益849億円が、ツルハHDの630億円を上回る。
一方、国内の店舗数はツルハHDが5,676店、マツキヨココカラが3,618店だ。店数で規模を取るツルハHDに対し、マツキヨココカラは都市部の化粧品とPBで稼ぐ。同じドラッグストアでも、商売の形が違う。
志望動機で「規模ではなく、利益の出し方で選んだ」と語れる。他社との違いを聞かれたときの軸にもなる。
マツキヨココカラの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(旧2社の格差をどう埋めるか/訪日客と都市部への依存/競争環境——「狭小商圏化」という言葉/最終利益の伸びが最も小さい)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。売上1兆1,174億円(+5.3%)・営業利益849億円(+3.5%)・純利益557億円(+2.0%)、マツモトキヨシグループ事業は+6.6%増収/+4.9%増益でココカラファイングループ事業は△0.3%減収/△1.5%減益、1人あたり利益は865万円と433万円で2.0倍差、年収は543万2千円と479万9千円で63万3千円の差、のれん償却64億円がココカラ事業の利益の27.3%、国内3,618店のうち調剤1,112店、営業利益率7.6%はツルハHDの1.8倍——マツキヨココカラの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 ドラッグストア業の構造的課題——旧2社の格差をどう埋めるか/訪日客と都市部への依存/競争環境——「狭小商圏化」という言葉/最終利益の伸びが最も小さい
- 第3.5章 面接前に押さえるマツキヨココカラの最新ニュース10本——旧2社格差・連合体構想・2027年3月期予想まで
- 第4章 内定者の正体——「マツキヨが好きです」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——事業会社別の年収差と、1.4万人組織でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——事業会社ごとの勤続年数の違い、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問8本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生