ユニオンツール(6278)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、ユニオンツールを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「自己資本比率91%の会社が、268億円を新たに調達した。中間期の営業利益は+81.4%」です。
有報の数字(第65期)
- 売上高
- 402億円
- 純利益
- 61億円
- ROE
- 8.0%
- 従業員数(連結)
- 1,530人
- 従業員数(単体)
- 905人
- 平均年間給与(単体)
- 714万円
- 平均年齢
- 42.2歳
- 平均勤続年数
- 19.2年
出典:ユニオンツールの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
ユニオンツールを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、ユニオンツールに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはユニオンツールの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、ユニオンツール株式会社 有価証券報告書 第65期(2025年1月1日-2025年12月31日)、および2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信(2026年8月6日公表)に基づきます。
ユニオンツールは、生成AI向けの需要に合わせて工場と資本を一気に積み増し、その賭けが決算に出始めた会社だ。
知っておきたいことは3つある。
主力は、プリント基板(電子部品をのせる板)に穴をあける超硬ドリルだ。いまの追い風は、層を何枚も重ねた高多層基板の需要である。
2026年12月期の中間期(1〜6月)は、売上が270億円(前年同期比+48.3%)で、中間期として過去最高だった。
同じ期に、自己株式(会社が持つ自社株)を売って資本を268億円増やした。借金がほぼない会社が、なぜ資本を増やしたのかが論点になる。
この記事では、会社が何に賭け、それが数字にどう出て、どこに課題があるのかを確かめる。
第1章 ユニオンツールは何に賭けているのか
1-1. 賭けは3つ——高多層基板、長岡工場、新しい資本
ユニオンツールは、プリント基板に穴をあける超硬ドリルを中心に、精密切削工具を作る会社だ。スマートフォンやサーバーの基板は、薄い板を何層も重ね、極細の穴を無数にあけて作る。その穴をあける道具が主力である。
1つ目の賭けは、生成AI向けの高多層基板だ。決算短信は、AIサーバーやデータセンター向けの基板が市場全体を明確に牽引したと書く。層が多い基板ほど深く細い穴が要り、難しい仕事ほど単価も利益率も高い。
2つ目は、生産能力だ。高付加価値工具の生産拠点である長岡工場に、大規模な設備投資をしている。設備の取得に使った74億円は、減価償却費(設備の目減り分)の2.2倍にあたる。
3つ目は、資本そのものだ。自己株式を公募で売り、会社の資本が268億円増えた。自己資本比率(返さなくてよい資金が総資産に占める割合)は90.7%で、もともと借金がほぼない。
志望動機では「生成AI向けの基板用工具と長岡工場に賭けている点に魅力を感じた」と、賭けの中身を3つに分けて語れる。逆質問では、借金がほぼない中で資本を増やした資金の使い道を聞ける。
1-2. 賭けは数字に出ている——中間期の営業利益と通期予想
2026年12月期の中間期は、本業の利益である営業利益が75億円(前年同期比+81.4%)だった。売上と同じく、中間期として過去最高を更新している。
通期の営業利益予想は、2026年2月の100億円から、8月に168億円へ上方修正された。わずか半年で、会社自身が見通しを大きく引き上げたことになる。
建設仮勘定(まだ完成していない設備)は、中間期に30億円増えた。いま作っている設備が、28卒の入社する2028年4月には動いている。
志望動機では「営業利益の予想が半年で100億円から168億円に上がり、需要の強さを数字で確認できた」と根拠を示せる。逆質問では、2028年に動く新しい設備で何を増産するのかを聞ける。
1-3. 日本は増収減益だった——先行投資の負担を読む
2025年12月期の日本は、売上が+15.5%増えたのに、地域別の利益(セグメント利益)は△15.5%減った。長岡工場で増産体制を作るため、償却費や立ち上げの費用が先に出たからだ。
一方、アジアの利益は2倍以上に増えた。決算短信によると、現地の生産拠点の稼働率が上がったためである。日本が費用を負担し、アジアが稼ぐ形だった。
翌2026年の中間期には、日本の利益も+101.1%に転じた。先行投資が回収局面に入ったと読める。
課題指摘では「日本の減益は長岡への先行投資が原因で、すでに回収が始まっていると理解した。その回収を確実にする仕事で貢献したい」と話せる。
1-4. 働く側の事実——人員・年齢・年収
2025年12月末の連結従業員は1,530人だ。内訳は日本905人、アジア583人で、海外の人員はほぼアジアに集まっている。
単体の平均年齢は42.2歳、平均勤続は19.2年、平均年間給与は約714万円である。23歳前後で入社して定着している人が多い姿だ。
女性役員比率は10.0%で、本シリーズで扱ってきた機械系の会社のなかでは最も低い。
志望動機では、勤続19.2年という長く働ける環境を理由にできる。逆質問では、女性役員比率10.0%を今後どう高めていく考えかを聞ける。
第2章 プリント基板用ドリルメーカーの収益構造
2-1. 「消耗品」で「高精度品」——だから利益率が高い
ドリルは、穴をあけ続ければ摩耗し、寿命が来れば交換される消耗品だ。同時に、高多層基板では穴が細く深くなる。折れずに真っすぐ、決まった径であけ続ける高い精度が求められる。
消耗品だから、顧客の基板工場が動く限り注文は続く。高精度品だから、価格競争になりにくい。安いドリルで不良が出れば、基板1枚の損失のほうが大きいためだ。
結果として、営業利益率(売上のうち本業の利益が占める割合)は2025年12月期で21.7%という水準になる。「工具メーカーは価格競争が厳しい」という一般論では、この会社を説明できない。
志望動機では「消耗品で高精度という二つの性質が高い利益率を支えている」と、事業の強みを自分の言葉で語れる。
2-2. 需要の波を強く受ける——売上の振れと地域の役割
売上は2023年12月期に12.9%減ったあと、2年で1.6倍になった。スマートフォンやパソコンの需要が弱い年は基板が作られず、ドリルも売れない。生成AI向けのサーバー基板が増えれば、注文は一気に積み上がる。
役割分担もある。長岡工場のある日本は高付加価値工具の拠点で、アジアは現地生産の拠点だ。顧客の基板メーカーの多くは中国・台湾にいて、中間期にはアジアの売上が日本を上回った。
課題指摘では、需要の波を強く受ける点を弱みとして挙げられる。逆質問では、需要が落ちる年に日本とアジアの拠点をどう使い分けるのかを聞ける。
ユニオンツールの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(顧客の産業が、AIに偏りはじめている/資本が余りすぎている——それでも資本を増やした/生産能力を増やすことのリスク/組織の同質性)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。生成AI向け高多層基板用工具という主力と、長岡工場への大規模投資。財務レバレッジ1.09倍・自己資本比率90.7%という構造がROE8.0%を作っていること。日本セグメントが増収減益だった理由と、翌期に+101.1%へ転じたこと。そして中間期に売上+48.3%・営業利益+81.4%を記録し、同時に自己株式の公募処分で268億円を調達したこと。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 プリント基板用工具業界の構造的課題——顧客の産業が、AIに偏りはじめている/資本が余りすぎている——それでも資本を増やした/生産能力を増やすことのリスク/組織の同質性
- 第3.5章 面接前に押さえるユニオンツールの最新ニュース10本——通期予想の上方修正(営業利益168億円)、自己株式の公募処分、増配まで
- 第4章 内定者の正体——「ものづくりが好きです」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収7,144,882円の読み方と、連結1,530人・単体905人の組織でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——勤続19.2年の読み方、女性役員比率10.0%、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生