CKD(6407)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、CKDを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「生成AI特需で一転増益」です。
有報の数字(第106期)
- 売上高
- 1,579億円
- 純利益
- 136億円
- ROE
- 9.4%
- 従業員数(連結)
- 4,826人
- 従業員数(単体)
- 2,389人
- 平均年間給与(単体)
- 731万円
- 平均年齢
- 41.5歳
- 平均勤続年数
- 16.7年
出典:CKDの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
CKDは、半導体工場の薬液バルブで稼ぐ隠れ優良企業であり、次の3年で売上1,900億円以上を目指す会社だ。
知っておきたいことは3つある。
事業は2本柱だ。 工場の自動化(FA)に使う空気圧機器などを作る「機器部門」が、売上の約88%を占める。半導体製造装置向けの薬液バルブで高いシェアを持つ。
2026年3月期は増収増益だった。 売上高は1,579億円、営業利益(本業のもうけ)は196億円。期中に通期予想を一度引き下げたが、期の後半に生成AI向けの半導体投資が立ち上がり、増収増益で着地した。
前の計画は未達に終わった。 目標だった売上1,800億円に届かなかった。次の3年計画では、さらに高い目標を置き直している。
この記事では、CKDが何に賭けているか、どこが課題か、同業のSMCとどう違うかを確かめる。
第1章 CKDは何に賭けているのか
1-1. 前の計画は未達、次の目標は売上1,900億円以上
有価証券報告書(会社が年に一度出す公式の報告書)には、前の計画の結末が率直に書かれている。第5次中期経営計画で掲げた売上1,800億円は、「半導体関連需要の回復が想定より遅れた」ために未達となった。
次の第6次中期経営計画は「All CKD Together 2028」。2027年3月期から2029年3月期までの3年間だ。目標は3つある。
売上高:1,900億円以上
営業利益率:13.7%以上(売上のうち、本業で残る割合)
ROE:10%以上(株主から預かったお金で、どれだけ利益を出せたかを示す率)
成長方針は4つ。人的資本経営の推進と経営基盤の強化、R&D体制強化、グローバル成長領域への経営資源集中、高付加価値ビジネスモデルへの移行だ。
志望動機では「未達を認めたうえで、より高い目標を置く姿勢に惹かれた」と言える。逆質問では「4つの方針のうち、配属先に最も関わるのはどれですか」と聞ける。
1-2. 3年で3か国に工場を建てた
CKDの賭けは、海外の生産拠点に向いている。2022年に米国オースティン工場、2024年にインド工場、2025年にマレーシア新工場が稼働した。3年続けて、別々の国に建てている。
有価証券報告書に、買収の記述はない。拠点はすべて自前で建てている。顧客の工場のそばに拠点がなければ、納期でも保守でも勝てないからだ。
資金の配分にも特徴がある。2025年度の設備投資は28億円、研究開発費は34億円だった。研究開発費のほうが大きい。成長方針の「R&D体制強化」と対応している。
志望動機では「自前で海外拠点を広げ、研究にも厚く投じる点に魅力を感じた」と言える。逆質問では「米国・インド・マレーシアの3拠点は、それぞれどんな役割ですか」と聞ける。
1-3. 機器は伸び、自動機械は減った
事業の中身は明暗が分かれている。自動機械部門は、薬品包装機やリチウムイオン電池製造システムを作る事業だ。売上は194億円に減った。ジェネリック医薬品向けの大型投資が一巡し、電気自動車(BEV)向けの投資も慎重になったためだ。
一方、機器部門は半導体向けが大きく伸びた。2025年11月、CKDは通期予想を引き下げた。これを下方修正という。ところが期の後半に生成AI向けの投資が広がり、増収増益で着地した。来期の会社予想は、売上1,800億円、営業利益245億円だ。
前の計画では「回復が遅れた」と書かれていた。それが期の後半には回復している。この時間差が、いまのCKDの位置だ。
課題指摘では「売上の大半を占める機器が半導体に左右される構図だ」と整理できる。逆質問では「自動機械を再び伸ばすために、どんな手を考えていますか」と聞ける。
1-4. 人を中心に置く会社
CKDは目指す姿の一つに「Human & Sustainability」を掲げ、人材を価値創造の源泉と位置づけている。新しい中期計画でも、人的資本経営(人への投資を経営戦略と結びつける考え方)が筆頭に来る。
働く側の事実も確認する。連結従業員数は4,826人。平均年間給与は731万円だ。平均年齢は41.5歳、平均勤続年数は16.7年である。
報告書は、社会課題として「人手不足」を挙げている。自社が人を採りにくい課題であると同時に、顧客の工場で自動化の需要が生まれる機会でもある。28卒が入社する2028年は、第6次中期経営計画の3年目にあたる。
志望動機では「人への投資を明記し、工場の拡大に人材が要る点に共感した」と言える。逆質問では「中期計画の3年目に、新人にどんな役割を期待しますか」と聞ける。
1-5. 課題は利益率にある
目標との差を確認する。直近のROEは9.4%で、新計画の目標は10%以上だ。営業利益率は12.4%で、目標は13.7%以上である。どちらも、まだ届いていない。
差を埋める柱が、成長方針の「高付加価値ビジネスモデルへの移行」だ。売上の規模だけでなく、利益の質を変える狙いと読める。
海外にも課題はある。2026年3月期は、欧州の子会社で約3.4億円の減損損失を計上した。減損損失とは、資産の価値を切り下げる損失のことだ。
課題指摘では「目標との差は利益率で、鍵は高付加価値化だ」と自分の言葉で語れる。逆質問では「営業利益率13.7%に向けて、最初に動かす施策は何ですか」と聞ける。
第2章 業界比較——SMCという巨人との共存戦略
空気圧機器業界の構図
CKDが属する空気圧機器業界には、圧倒的な王者がいる。SMCだ。2026年3月期の営業利益率は、SMCが22.6%、CKDが12.4%だった。約10ポイントの差がある。規模でも、SMCはCKDの5倍超だ。
生成AI向けの需要は、両社に追い風になっている。それでも投資家は、CKDを「SMCの劣化版」とは見ていない。
「なぜSMCではなくCKDか」と聞かれたときの出発点になる。まず差を認めたうえで、次の強みを語る。
CKDの差別化——王者が手薄な領域で勝つ
CKDの最大の武器は、半導体製造装置向けの薬液バルブと流体制御機器だ。酸やアルカリなど腐食性の高い薬液を、「漏れなく、正確に、高い純度で」流し、止める必要がある。回路が細かくなるほど、求められる精度は高まる。
新中期経営計画では、注力先を広げると明記した。成膜・エッチング・洗浄といった前工程に加え、中・後工程のアドバンストパッケージング(先端半導体の封止・積層技術)まで含める。
自動機械部門を持つ点も特徴だ。2026年3月期の利益率は、自動機械が25.2%、機器が14.3%だった。機器だけに頼らない構造になっている。
志望動機では「薬液バルブという専門領域と、機器・装置の両方を持つ点」を軸にできる。SMCとの違いを、利益率の数字とあわせて語りたい。
収益力の差はどう埋めるのか
CKD自身も、この差を課題として認識している。新計画の柱の一つが「高付加価値ビジネスモデルへの移行」だ。単品のバルブ販売から、複数機器を組み合わせたユニット商品、ソリューション・サービスへ広げる方針である。
10年VISIONには、2035年度に営業利益率15%以上という目標がある。SMCとの距離を縮める意志の表れと読める。
逆質問では「利益率15%以上に向けて、ユニット商品はどの領域から広げますか」と聞ける。志望動機では、この転換期に自分が関わりたい理由につなげられる。
CKDの構造的課題と追い風は、3つに分けて第3章で扱う(### 追い風——生成AIが起こした半導体投資の巨大な波/### 逆風——二次電池と医薬の踊り場/### 技術的参入障壁)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。期中に営業利益166億円へ下方修正しながら、生成AI需要の立ち上がりで196億円・増収増益に着地し、来期は245億円(+25%)を予想——。ここから先は、この数字を「選考で使える武器」に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題と追い風——### 追い風——生成AIが起こした半導体投資の巨大な波/### 逆風——二次電池と医薬の踊り場/### 技術的参入障壁
- 第3.5章 面接前に押さえるCKDの最新ニュース9本——決算V字回復・新10年VISION・新中計・大幅増配・監査等委員会移行まで
- 第4章 内定者の正体——選考フロー、ES「なぜCKDか」の組み立て、面接で聞かれること
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収731万円の中身、技術系・営業系のキャリアパス、海外駐在
- 第6章 働く環境の現実——勤続16.7年・男性育休80.6%の意味、注意すべきポイント
- 第7章 面接攻略——財務分析を組み込んだ志望動機と逆質問例
- 第8章 やましゃんの総合評価——5軸スコアリングと向き不向き