SUBARU(7270)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、SUBARUを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「増収なのに営業9割減」です。

有報の数字(第95期)

売上高
4兆7,850億円
純利益
908億円
ROE
3.3%
従業員数(連結)
37,542人
従業員数(単体)
17,948人
平均年間給与(単体)
764万円
平均年齢
40.0歳
平均勤続年数
15.7年

出典:SUBARUの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

SUBARUを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、SUBARUに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはSUBARUの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、株式会社SUBARU 有価証券報告書 第95期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。

売上は増えたのに本業の儲けが約10分の1に減った。第95期のSUBARUの論点は、関税の穴をどう埋めるかだ。

知っておきたいことは3つある。

・売上収益(売上高にあたる)は4兆7,850億円で、前期より2.1%増えた。
・本業の儲けを示す営業利益は約90%減り、営業利益率は8.6%から0.8%になった。
・主因は米国の追加関税だ。会社は電動化の投資を組み替え、コスト削減とブランド戦略で立て直しを図っている。

この記事では、SUBARUが何に賭け、なぜ減益になり、どこで稼ぐ会社なのかを、有報の数字で確かめる。

第1章 SUBARUは何に賭けているのか

1-1. 会社が賭けているもの——電動化は延期、投資の総額は維持

有報によると、SUBARUは自社開発BEV(電気自動車)の導入を延期した。開発の力は、ICE(ガソリンなどのエンジン車)へ回す。ただし成長投資の総額は1.2兆円のまま変えない。

「BEVをやめる」のではなく、同じ金額をいまはエンジン車やハイブリッド車に回す判断だ。有報が示す賭けは3つある。

1つ目は「モノづくり革新」だ。制御統合ECU(車の頭脳にあたる電子部品)をBEVとエンジン車で共通化し、開発を効率化する。有報はBEVを、モノづくりを鍛える手段と位置づけている。

2つ目は「価値づくり」だ。「減価ゼロ」の発想で、買った後もソフトとハードの更新で価値を保つ。

3つ目はブランドだ。有報は「プレミアムブランドではなく、お客様の人生に寄り添うブランド」と言い切る。グッズやモータースポーツも、収益の柱に育てるという。

面接での使い方

志望動機で「電動化を延期しても、ECUの共通化で成果を生かす点に共感した」と語れる。逆質問では、3つの賭けのうち自分の職種がどこに関わるかを聞ける。

1-2. 賭けを支える数字——「原価維新20-30」と世界120万台

会社は関税への反撃として、2,000億円規模のコスト低減プロジェクト「原価維新20-30」を始動した。設計の段階から取引先と協力して進める。

販売の目標も置かれている。2030年代前半に世界で120万台を売り、「業界高位の利益率」を実現するという。台数だけでなく、利益率で勝つ宣言だ。

28卒の入社は2028年4月である。120万台の目標は、入社3〜5年目にあたる。生産は、同じラインでBEVもエンジン車も作る方式を採る。日米の工場を連携させ、需要の変動に合わせる。

面接での使い方

逆質問で「2,000億円の低減は、何年でどこまで進んでいますか」と聞ける。志望動機には「120万台に向かう時期に入社したい」と使える。

1-3. 減益の主因は米国の追加関税

営業利益は401億円で、前期比90.1%の減益だった。有報は主因を「米国の追加関税影響など」と書く。

売上は、台数減と円高の減収要因があった。それでも「価格構成の改善」で増収を保った。それでも関税というコストは吸収しきれなかった。

売上の大半を占める自動車の利益は、4,204億円から321億円へ減った。SUBARUは日本で生産し、最大の市場である米国へ輸出する比率が高い。関税の影響を最も受けやすい構造だ。

面接での使い方

課題指摘で「減益は需要の弱さではなく、関税という外部要因だ」と切り分けて話せる。逆質問では「関税の影響をどう減らす計画ですか」と聞ける。

1-4. 働く側の事実——減益の年も給与は上がった

連結従業員は3万7,542人で、このうち自動車事業が3万4,404人だ。単体の従業員は平均年齢40.0歳、平均勤続15.7年である。

平均年間給与は764万円で、前期より4.6%上がった。大幅減益の年でも賃上げは続いている。

財務の体力も見ておく。自己資本比率は50.6%で、現金は約1兆円ある。減益でも赤字にはならず、財務は堅実な部類だ。

面接での使い方

志望動機で「減益の年も賃上げを続ける会社で、長く働きたい」と話せる。企業の安定性を問われたときの根拠にもなる。

第2章 自動車業の収益構造

2-1. 「作る場所」と「売る場所」が利益を決める

日本で作って米国で売れば、関税は直接コストになる。米国で作って米国で売れば、関税はかからない。同じ台数でも、どこで作るかで利益は変わる。

SUBARUは米国が最大の市場でありながら、日本での生産比率が高い。だから関税の影響を最も強く受けた。

為替も効く。平均レートは1ドル=150円で、前期より2円の円高だった。有報はこれも減収要因に挙げている。

輸出型のメーカーは、関税と為替という2つの外部要因に利益を握られている。

面接での使い方

課題指摘として「利益の鍵は、どこで作りどこで売るかにある」と語れる。逆質問で「生産の場所の考え方」を聞くのにも使える。

2-2. 価格構成の改善という打ち手

台数減と円高がある中で、売上が2.1%増えたのは「価格構成の改善」による。単価の高い車種やグレードの比率を上げたということだ。

支えているのは、アイサイト(運転支援システム)とAWD(全輪駆動)という付加価値である。ただし値上げや構成の改善には限界がある。関税のコストは、これだけでは吸収できなかった。

面接での使い方

強みの分析として「SUBARUは台数より単価で稼ぐ」と説明できる。逆質問では、価格構成の改善がこの先も続くかを聞ける。

2-3. 航空宇宙——赤字を脱し、受注が積み上がる

自動車が沈む中で、唯一明るいのが航空宇宙事業だ。売上は1,417億円、セグメント利益(事業ごとの利益)は35億円だった。前期は196億円の損失だった。

受注残高は7,075億円で、年間売上の約5倍に当たる。航空機は受注が先に積み上がる。全体の売上では3%ほどだが、赤字の解消と成長が同時に進んでいる。

SUBARUの前身は中島飛行機で、航空宇宙は会社の原点でもある。

面接での使い方

航空宇宙志望なら「赤字を脱し、受注が積み上がる局面で貢献したい」と志望動機にできる。他の職種でも、自動車一本ではない会社の強みとして話せる。

SUBARUの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(関税と地政学リスクは続く/電動化への投資と、その負担/トヨタとの関係——依存か、強みか/自動車が売上の96.9%という集中)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。売上収益4兆7,850億円(+2.1%)に対し営業利益401億円(△90.1%)・営業利益率は8.6%から0.8%へ、主因は米国の追加関税、自動車セグメント利益は4,204億円から321億円へ△92.4%、航空宇宙は△196億円から+35億円へ黒字転換、生産88.0万台(△7.0%)はBEV工事によるライン停止、それでも自己資本比率50.6%・平均年収+4.6%——SUBARUの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 自動車業の構造的課題——関税と地政学リスクは続く/電動化への投資と、その負担/トヨタとの関係——依存か、強みか/自動車が売上の96.9%という集中
  • 第3.5章 面接前に押さえるSUBARUの最新ニュース10本——関税・BEV・航空宇宙・第1四半期決算まで
  • 第4章 内定者の正体——「スバル車が好きです」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収764万円(+4.6%)の読み方と、3.7万人組織でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——女性役員比率25.0%の他社比較、勤続15.7年の意味、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. SUBARUの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第95期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は764万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. SUBARUの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第95期)では、提出会社(単体)が17,948人、連結が37,542人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. SUBARUが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。