PPIH(7532)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、PPIHを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「海外は人員の3割で利益は5%」です。

有報の数字(第46期)

売上高
2兆4,453億円
純利益
1,101億円
ROE
16.8%
従業員数(連結)
17,784人
従業員数(単体)
3,704人
平均年間給与(単体)
690万円
平均年齢
42.5歳
平均勤続年数
16.0年

出典:PPIHの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)を受ける就活生は必ず読んでほしい。また、PPIHに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはPPIHの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 有価証券報告書 第46期(2025年7月1日〜2026年6月30日)に基づきます。

PPIHは、ドン・キホーテで稼いだ利益を、買収した店舗の作り替えと新業態に注ぎ、2035年6月期の営業利益3,300億円をめざす小売グループだ。

知っておきたいことは3つある。

・28卒が入るのは、買収した98店舗の転換の最中だ。Olympicグループは2026年7月に完全子会社になり、2029年10月までに全店の業態転換が計画されている。入社する2028年4月は、その2年目にあたる。
・稼ぎは国内に偏っている。営業利益の94.8%は国内事業が占め、従業員の30.5%がいる海外は5.2%にとどまる。ただし前期の2.6%からは倍になった。
・増収でも利益率は下がる見通しだ。2027年6月期の営業利益率は、当期の7.2%から6.7%への低下を会社は見込む。

この記事では、目標、買収、稼ぎ方、働く側の事実を確かめ、面接で語れる形にする。

第1章 PPIHは何に賭けているのか

1-1. 会社が自分で決めた目標——2035年6月期に売上4兆2,000億円・営業利益3,300億円

会社は2025年8月、長期経営計画「Double Impact 2035」を定めた。ゴールは2035年6月期で、売上高4兆2,000億円、営業利益3,300億円である。

当期(2026年6月期)の営業利益は1,748億円で、目標に対する進捗率は53.0%になる。残り9年で届くには、営業利益を年平均7.3%(計算値)ずつ伸ばす必要がある。当期の伸びは7%台後半で、ペースはほぼ合っている。

計画の柱は5つだ。出店、既存店、インバウンド(訪日客需要)、新業態、M&A(企業の買収・統合)である。有報はM&Aについて「今後はM&Aを戦略の1つとします」と書く。

28卒の入社は2028年4月で、目標まで7年あまりを残す。計画の序盤から中盤に、現場で入ることになる。

面接での使い方

志望動機では、進捗率が半分を超えた計画の、次の段階を担いたいと語れる。逆質問では、年平均7.3%の成長を何で支えるのかを聞ける。

1-2. 買う、作り替える、閉じる——3つを同じ年に進めている

買う側から見る。2025年8月に、弁当・寿司・惣菜を作るカネ美食品を連結子会社にした。2026年7月には、首都圏に98店舗を持つOlympicグループを、株式交換で完全子会社にした。会社は決算説明資料で、これを新しい長期計画のもとでの「M&A戦略の第一弾」と位置づけている。

作り替える側では、Olympicの98店舗を2029年10月までに、MEGAドン・キホーテ、ドン・キホーテ、ロビン・フッドへ転換する。ロビン・フッドは2026年4月に1号店を出した食品強化型の新業態で、2035年までに200〜300店舗をめざす。

閉じる側もある。当期は30店舗を出し、10店舗を閉じた(国内4、北米1、アジア5)。総店舗数は779店から799店になった。

ロールアップ(同じ領域の会社を買い重ねて規模を作る手法)の目で見ると、PPIHは同じ小売を買い、自社の屋号に統合する型だ。買収後の統合作業(PMI)に、ユニーでは6年かかった。Olympicでは3年で終える計画を立てている。

面接での使い方

課題指摘として、98店舗の転換を3年で終える難しさを論点にできる。逆質問では、ユニーの6年とOlympicの3年の差を何で埋めるのかを聞ける。

1-3. 従業員の30.5%がいる海外は、利益の5.2%

国内事業の営業利益は、全体の94.8%を占める。従業員は12,362人で、ドン・キホーテやユニーの店舗を動かしている。

海外は北米3,086人とアジア2,336人の計5,422人で、全体の30.5%にあたる。営業利益は北米とアジアの合計で、全体の5.2%だった。

ただし動きは良い。前期の海外の比率は2.6%で、倍になった。アジアは営業利益が+186.0%と大きく伸び、北米も増益だった。

会社は2027年6月期に、アジアの全店黒字化を計画する。北米とアジアの長期方針は、同期中に決めるとしている。

面接での使い方

志望動機では、海外の立ち上げ期に関わる意味を語れる。課題指摘として、人員の3割で利益が1割に満たない構造を、どう変えるかを論点にできる。

1-4. 働く側の事実——社員17,784人に、メイト47,791人

連結の従業員は17,784人で、前期より709人増えた。このほかに、パート・アルバイトの「メイト」が平均47,791人いる。社員の2.69倍だ。

有報の平均年間給与690万4,384円は、持株会社である提出会社の数字だ。3,704人、平均年齢42.5歳、平均勤続年数16.0年である。実際に配属される事業会社は別で、株式会社ドン・キホーテは3,486人、平均年齢35.6歳、平均勤続年数9.6年、平均年間給与551万7,100円だ。

持株会社の数字だけで、自分の年収を見積もれない。第5章で、会社ごとに読み分ける。

面接での使い方

志望動機では、メイトとともに店を動かす働き方を選ぶ理由を語れる。逆質問では、平均35.6歳の事業会社で、若手の裁量がどう決まるのかを聞ける。

第2章 ディスカウント小売の収益構造

2-1. 売上のうち、営業利益として残るのは1割未満

売上総利益率は31.4%、営業利益率は7.2%だ。売上の1割に満たない額が、営業利益として残る。薄い利益を、量で積み上げる商売である。

粗利を支えるのは、自社で企画するPB/OEM商品だ。PBは自社ブランド、OEMはメーカーに作らせる商品を指す。国内の売上は5,082億円で、売上構成比は26.2%まで上がった。仕入れて売る商品より、粗利が高い。

もう1つの柱がインバウンドだ。免税売上は2,286億円で、過去最高を更新した。中国大陸と香港の構成比は下がり、台湾や欧州が伸びた。特定の国に頼らない集客へ移っている。

面接での使い方

志望動機では、商品開発で粗利を作る仕事を選ぶ理由を語れる。逆質問では、PB/OEMの構成比を2035年へ向けてどう上げるのかを聞ける。

2-2. 店を動かすのは「個店主義」と、メイト

商品の仕入れも売り方も、店ごとに決める。有報はこの「現場主義」「個店主義」を、他社との差別化要因に挙げる。人材の方針には「権限委譲」と「実力主義」を置き、半年ごとの評価と「大胆な抜擢」を行うと書く。

一方で、店は少人数の社員と多数のメイトで回る。国内の社員12,362人に対し、メイトは45,111人で、3.65倍だ。メイトの商品企画担当(MDプランナー)を毎年200人出す目標に、当期は213人を輩出した。

店長の仕事は、売るだけではない。商品を決め、人を育て、シフトを回す。

面接での使い方

志望動機では、若いうちに店の運営を任される働き方を語れる。課題指摘では、メイト比率の高い現場での定着と教育を論点にできる。

2-3. 総合スーパー「アピタ」という、もう1つの顔

ユニーが運営するアピタとピアゴは、食品中心の総合スーパーだ。決算説明資料では、この事業の営業利益は前期より減り、売上総利益率も下がった。米の相場の反動や、季節衣料品の苦戦が重なった。

会社は2年間の改革で、衣料の売場を16,900坪見直した。若い客を取り込む策は効果が限られたと認め、50歳前後を主な客層とする「ライフスタイル提案型」へ方針を変えた。ドン・キホーテで効いた手法が、そのままは通じなかったことになる。

面接での使い方

課題指摘として、ドン・キホーテ型の手法がアピタには合わなかった理由を論点にできる。逆質問では、2027年6月期の大型改装で何を検証するのかを聞ける。

PPIHの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(利益率の逆風/インバウンドと国内依存/買収後の統合負荷/人件費と海外の方向性)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

■この会社の面接で落ちる人の共通点
「ドンキが好きで、よく行きます」と言ったあとに、面接官から「その楽しさは、営業利益率7.2%のどこに効いていると思いますか」と返されて、言葉が止まる。客としての体験を話すだけでは、売上総利益率31.4%や、自社企画の商品が26.2%という数字に触れられない。第4章では、この止まり方を3パターンに分けて、どこで差がつくかを書いた。

■逆質問の1本目だけ、ここに置いておく
「2027年6月期の営業利益率は7.2%から6.7%へ下がる計画で、Olympicグループを除いても7.1%です。売上総利益率の一時的な低下を容認して、何の指標を優先して取りにいく判断でしょうか。」
この質問に必要な数字は、当期の7.2%と計画の6.7%の2つだ。残り6本は、Olympicの統合期間、ロビン・フッドの非食品、免税の国別構成、海外の方向性、メイトの定着、資本配分を同じ型で組んである。

ここまでが無料パートです。営業利益1,748億円(+7.7%)の94.8%は国内、従業員の30.5%がいる海外は5.2%、2027年6月期は営業利益率が7.2%から6.7%に下がる計画、Olympicの98店舗は2029年10月までに転換、平均年間給与は提出会社で690万4,384円——PPIHの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 ディスカウント小売の構造的課題——利益率の逆風/インバウンドと国内依存/買収後の統合負荷/人件費と海外の方向性
  • 第3.5章 面接前に押さえるPPIHの最新ニュース10本——第4四半期の営業利益373億円・2027年6月期予想まで。1本ごとに「面接で使うなら」
  • 第3.6章 数字で補足——5期の推移・セグメント別の利益と人員・ROEの分解・財務・株主還元・リスク要因
  • 第4章 内定者の正体——「ドンキが好き」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収690万4,384円の読み方と、ドン・キホーテ3,486人・ユニー1,449人でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続16.0年の読み方、女性役員比率13.3%の他社比較、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本(それぞれの狙いつき)
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. PPIHの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第46期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は690万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. PPIHの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第46期)では、提出会社(単体)が3,704人、連結が17,784人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. PPIHが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。