良品計画(7453)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、良品計画を受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「営業利益が31.5%増」です。
有報の数字(第47期)
- 売上高
- 7,846億円
- 純利益
- 508億円
- ROE
- 16.3%
- 従業員数(連結)
- 13,912人
- 従業員数(単体)
- 4,039人
- 平均年間給与(単体)
- 670万円
- 平均年齢
- 36.9歳
- 平均勤続年数
- 7.5年
出典:良品計画の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
良品計画を受ける就活生は必ず読んでほしい。また、良品計画に勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたは良品計画の面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
良品計画は、「手に取りやすい価格」を掲げ、店とシステムに投資して、2025年8月期に過去最高益を出した会社だ。
知っておきたいことは3つある。
売上にあたる営業収益は7,846億円、本業の儲けである営業利益は738億円。どちらも過去最高だ。
儲けを支えるのは国内と中国である。一方で、儲からない店は閉じる方針で、欧州では実際に閉めた。
論点は、出店とシステム投資の成果が、28卒が入社する2028年ごろにどう数字に出るかだ。
この記事では、会社が何に賭けているか、どこで稼いでいるか、競合と何が違うかを確かめる。
第1章 良品計画は何に賭けているのか
1-1. 「手に取りやすい価格」を使命に掲げる
良品計画の有価証券報告書は、企業理念から始まる。第一の使命は、次のように書かれている。
「第一の使命は、日常生活の基本商品群を誠実な品質と倫理的な視点から開発し、使うことで社会を良くする商品を、手に取りやすい価格で提供することです」
「手に取りやすい価格」とは、高い利益率を取らないという宣言だ。対象の「基本商品群」は、文房具・衣類・食品・日用品のような毎日使うものである。単価は低いが、繰り返し買われる。つまり「安く売って、たくさん回す」商売を選んでいる。
時間軸も長い。報告書には「100年後のより良い未来を見据えて、2030年までのビジョンを策定しました」とある。28卒が入社する2028年は、このビジョンの最終盤にあたる。
志望動機を「世界観が好き」で終わらせず、「安く回す商売を選んだ会社が、2030年に向けて何を積み上げているかを知りたい」と語る。
1-2. 設備投資の配分に「賭け」が出ている
会社が何に賭けているかは、設備投資の計画に出る。新規出店への投資は、全地域の合計で約266億円だ。そのうち国内が145億円で最大である。
東アジアは81億円で、国内に次ぐ。成長の主戦場は日本と東アジアだと読める。資金の使い道も、新規出店・既存店の改装・情報システムの3つに絞られている。
注目はソフトウェア投資だ。全社共通で121億円あり、国内の出店に次ぐ2番目の大きさになる。店を増やすだけなら、ここまで要らない。在庫の最適化や、ネットと店舗をつなぐ仕組みに投じていると読める。
逆質問に使える。「ソフトウェア投資が121億円と、国内出店に次ぐ規模です。在庫の最適化と店舗網の拡大のどちらに効いていますか」と聞く。
1-3. 店を閉じて利益を増やした欧米
欧米事業は、不採算店を閉じて店舗数を減らした。それでも増収増益だった。売上にあたる営業収益は421億円である。
地域ごとの利益(セグメント利益)は69億円で、前期より25.7%増えた。報告書の説明はこうだ。
「欧州では、前期の事業再編に伴う構造改革で不採算店を閉鎖し、収益性の改善が進んだことにより増収増益となりました」
赤字の店を閉じれば、売上は減るが利益は増える。残った店に人と在庫を集められるので、既存店の売上も伸びた。有価証券報告書に、買収の記述はない。成長は、1店ずつ出し、儲からない店を閉じる積み重ねだ。
課題指摘に使える。「欧州の立て直しの判断を、他の地域の不採算店にも広げられるか」を自分の言葉で考えて話す。
1-4. 2025年8月期の決算——増収を上回る増益
売上にあたる営業収益は7,846億円で、前期比18.6%増だ。過去最高である。
本業の儲けである営業利益は738億円で、31.5%増えた。これも過去最高だ。売上より利益の伸びが大きい。
売上に対する利益の割合(営業利益率)も、9.4%に上がった。理由は3つある。
内製化による原価低減。企画から調達・生産までを自社で管理する製造小売(SPA)の強みを活かした
海外での値下げ抑制。安易な値引きを減らし、商品を売って残る利益の割合(粗利率)が改善した
販管費率の低下と円安。売上増で固定費の比率が下がり、円安が海外売上を押し上げた
逆質問に使える。「増益のうち、円安の追い風と自社の改善は、それぞれどの程度ですか」と聞く。
1-5. 国内と中国で稼ぐ構造
地域は4つに分かれる。国内、東アジア、東南アジア・オセアニア、欧米だ。最大の柱は国内で、営業収益は4,701億円である。
国内の成長を支えたのは「生活圏出店」だ。都心の大型店だけでなく、住宅地やショッピングセンターに中型店を出し、日常使いの店にする戦略である。国内は71店を出店し、683店体制になった。
東アジア(中国・台湾・香港・韓国)は、売上2,222億円に対して利益が428億円ある。利益率は19%超で、国内の約11%を上回る。海外、特に中国が、会社全体の利益率を引き上げている。
中国大陸では、不採算店を閉じて好立地に新店を出す入れ替え(スクラップアンドビルド)を進めている。韓国は既存店の売上が伸びたが、為替の影響で減益だった。
志望動機に使える。「国内の基盤」と「中国の高収益」のどちらに関わりたいかを、数字を添えて話す。
第2章 業界比較——SPA・ライフスタイル小売の構造
2-1. 競合は何に特化しているか
比べる相手は、衣料・家具・低価格衣料の各社だ。立ち位置の違いを並べる。
良品計画(7453):衣料・生活雑貨・食品まで暮らし全般を、「感じ良い暮らし」という一つの世界観でカバーする
ファーストリテイリング(9983):ユニクロ。衣料に特化し、世界規模で展開する
ニトリHD(9843):家具・インテリアに特化し、製造から物流・小売まで自社で持つ。価格の安さが武器
しまむら(8227):低価格衣料を多店舗で展開する。仕入れの巧みさが強み
「なぜ同業他社でなく当社か」に答える材料になる。志望動機で、競合が特化している領域と対比する。
2-2. 良品計画の独自性は3つある
第1に、品揃えが生活全般に及ぶ点だ。服も家具も食品も文具も、一つの世界観で提案する。特定の分野に絞る競合とは、組み立てが違う。
第2に、ブランドの思想だ。ロゴを前面に出さず、素材・工程・包装を見直す。商品の機能だけでなく、価値観でファンを集める点は、他社が真似しにくい。
第3に、海外での受け入れられ方だ。「シンプルで機能的」という価値観は国境を越える。中国をはじめ海外で高い利益率を出していることは、1-5で見たとおりだ。
志望動機に使える。「暮らし全般を一つの世界観で扱う会社だから志望する」と、品揃え・思想・海外の3点で語る。
良品計画の構造的課題と追い風は、5つに分けて第3章で扱う(### 課題1:原材料・調達コストと為替/### 課題2:海外(特に中国)依存のリスク/### 課題3:出店戦略の規律/### 課題4:国内市場の成熟/### 課題5:競争とブランド維持)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題——### 課題1:原材料・調達コストと為替/### 課題2:海外(特に中国)依存のリスク/### 課題3:出店戦略の規律/### 課題4:国内市場の成熟/### 課題5:競争とブランド維持
- 第3.5章 押さえておくべき良品計画・業界の最新ニュース
- 第4章 内定者の正体
- 第5章 職種別キャリア分析
- 第6章 働く環境の現実
- 第7章 面接攻略——財務分析を組み込んだ回答例
- 第8章 やましゃんの総合評価