ワークマン(7564)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、ワークマンを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「440人で1人4.8億」です。
有報の数字(第45期)
- 従業員数(単体)
- 440人
- 平均年間給与(単体)
- 805万円
- 平均年齢
- 37.0歳
- 平均勤続年数
- 11.6年
出典:ワークマンの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
ワークマンを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、ワークマンに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはワークマンの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社ワークマン 有価証券報告書 第45期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。同社は子会社を持たないため、単体決算です。
ワークマンは、少人数の本部と加盟店の店舗網、自社企画の商品で稼ぐ会社だ。
知っておきたいことは3つある。
従業員は440人しかいない。 加盟店を含む全店の売上(チェーン全店売上高)は2,092億円で、1人あたり約4.8億円になる。
本部の収入(営業総収入)の84.7%が加盟店関連だ。 店を運営するのは加盟店(本部と契約して店を営む事業者)で、直営店の収入は15.2%である。
売上の71.9%が自社企画のプライベートブランド(PB)だ。 利益を厚くできる一方、売れ残りや為替のリスクは自社が負う。
この記事では、会社が何に賭け、どこに課題があり、収益がどんな仕組みで生まれるかを確かめる。
第1章 ワークマンは何に賭けているのか
1-1. 賭けの中身は「すべての人に機能性ウエアを」
有報(有価証券報告書。会社が法律に基づいて出す年次報告書)には、この会社の存在意義が書かれている。「機能と価格に新基準を実現し、生活者の『可処分所得』を増やします。」 可処分所得とは、自由に使える手元のお金のことだ。安く売ることが、そのまま存在意義になっている。
当期の方針は「中期成長ビジョン2030」に紐づく。掲げた言葉は「すべての人に機能性ウエアを」で、目標年は2030年だ。28卒の入社は2028年4月だから、仕上げの局面に入ることになる。
賭けは3つある。1つ目はPB商品の拡大だ。2つ目は新設した「法人フランチャイズ制度」で、ショッピングセンターへの出店を強める。3つ目は加盟店の発注や品出しの効率化と、物流への投資だ。
プロ向けに磨いた技術を普段着へ転用する方針も明確だ。疲労軽減をうたうリカバリーウエアは、代表的なヒット商品に育った。
志望動機で「機能と価格で生活者の手元のお金を増やす理念に共感した」と軸を示せる。「2030年に向けた仕上げ局面で何を担いたいか」まで語ると、具体性が出る。
1-2. 賭けは数字に表れている——増収を上回る増益
当期(2026年3月期)のチェーン全店売上高は2,092億円で、前年同期比14.3%増だった。既存店(すでにある店)の売上も9.0%伸びた。新店の効果だけでなく、いまある店が伸びている。
営業利益は21.7%増だった。売上の伸びより、利益の伸びのほうが大きい。
店舗は全部で1,094店ある。うち92.0%はフランチャイズ(加盟店が運営する店)だ。法人が加盟できる制度も始まり、法人FCの店が6店出ている。
新規出店の中心は、一般消費者向けの新業態「ワークマンカラーズ」だ。新規48店のうち38店を占めた。PB商品の売上構成比は、前年より上がって71.9%になった。
志望動機で「既存店が伸びており、賭けが数字で確認できる」と根拠にできる。逆質問では「一般向け新業態を、どこまで増やす計画か」と聞ける。
1-3. 課題は在庫・物流コスト・職人の減少
有報は課題も率直に書いている。PB商品が増えて、在庫の水準が高まった。当期は棚卸資産(売れ残りうる在庫)が58億円増え、現金の増え方を押し下げた。
PB商品の増加は、物流コストの上昇にも響いている。働き方改革関連法で、運送費の上昇も想定されている。会社は流通センターの増設などの物流投資で、コストを抑える方針だ。
もう一つは市場の構造だ。人口減少と高齢化で、建設技能労働者(職人)が減っている。有報はこれを「構造的な課題」と書く。原点である作業服の市場は、縮む可能性がある。だから客層の拡大が要る。
一方で追い風もある。熱中症対策の義務化や猛暑、暖冬といった気候変動が、機能性ウエアの需要を生んでいる。
課題指摘で「在庫の最適化と物流の効率化が優先課題だ」と述べ、自分の貢献に結べる。逆質問では「需要予測の精度を、どう高めているか」が聞ける。
1-4. 働く側の事実——440人、平均年収804万円
従業員は440人で、ほかに臨時雇用者が116人いる。平均年齢は37.0歳、平均勤続年数は11.6年だ。平均年間給与は804万円である。
店で働くのは加盟店の人たちだ。本部社員は、商品開発・仕入・物流・加盟店支援・データ分析を担う。労働組合は結成されていない。
評価の方法は具体的に書かれている。同じ職種・職位の社員を、3〜5名程度の評価者が相対的に評価する。優れた評価なら、早期の昇格もある。
一方、管理的地位にある労働者に占める女性の割合は1.7%と低い。有報に載る事実であり、会社の課題の一つだ。
逆質問で「少人数の本部で、若手がどんな裁量を持てるか」を聞ける。「女性管理職を増やす取り組みは何か」も、事実に基づく質問になる。
第2章 小売業の収益構造
2-1. 企画して、卸して、加盟店と分け合う
一般的な小売は、仕入れた商品を自社の店で売る。家賃・人件費・在庫のリスクは、すべて自社が負う。ワークマンは流れが違う。
商品は自社で企画し、海外から直接仕入れる。それを加盟店に卸す。この卸売が、営業総収入の58.9%を占める。残りは、加盟店への情報提供などの対価として得る収入と、直営店の売上だ。直営店は15.2%である。
この構造の効果は3つある。人が少なくて済む。設備が軽い。利益率が高い。経常利益(本業以外を含む利益)の営業総収入に対する割合は、19%に達する。
ただし、加盟店が儲からなければ仕組みは回らない。有報も「共存共栄」と明記している。加盟店に利益が残る商品と価格を設計することが、本部の役割だ。
志望動機で「本部は商品と仕組みを供給する役割だ」と整理して話せる。逆質問では「加盟店の利益を守るために、本部が何をしているか」を聞ける。
2-2. 自社企画のリスク——為替・輸送費・在庫
PB商品は、概ね海外から直接仕入れる。中間の業者を通さないので、価格を自分で決めやすい。他社と同じ商品ではないため、価格で比べられにくい。だから利益が残りやすい。
その分、リスクも自社が負う。有報は3つ挙げる。1つ目は円安だ。為替予約をしても、完全には回避できないと書かれている。2つ目は原材料価格や海上輸送費の高騰だ。3つ目は異常気象による需要の低下と、過剰在庫である。
アウトドアやカジュアル商品は、流行の変化も受けやすい。プロ向け商品より、短い期間で変わる可能性が高いと有報は書く。
自分で企画する以上、売れ残りも自社の責任になる。
課題指摘で「強みの裏側に、為替と在庫のリスクがある」と語れる。逆質問では「商品企画の段階で、在庫リスクをどう抑えているか」が聞ける。
2-3. 職人の店から都市の店へ
営業総収入のうち、最も伸びたのは直営店売上高だ。前年同期比41.7%増の約244億円になった。直営店には、ショッピングセンター内の店舗が含まれる。客層は職人ではなく、一般消費者が中心だ。
地域別にも変化が出ている。東京・神奈川・大阪・埼玉・千葉の5都府県で、直営店売上の52.6%を占める。なかでも大阪府は127.7%増と急拡大した。
もともとは職人向けの郊外店だった会社が、都市の商業施設へ広がっている。ただし一般消費者向けは、職人向けより流行に左右されやすい。伸びる代わりに、読みにくくなる。
志望動機で「客層拡大の最前線で働きたい」と方向性を示せる。逆質問では「都市部の店と、職人向けの店の役割分担をどう考えるか」と聞ける。
ワークマンの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(加盟店に依存する構造/為替と輸送費という、自社で負うリスク/天候と流行——読みにくい2つの変数/2027年3月期は+13.7%の計画、第1四半期は既存店+13.3%)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。チェーン全店売上高2,092億円(+14.3%)に対し営業総収入は1,608億円で、その内訳は加盟店向け商品供給58.9%・加盟店からの収入25.8%・直営店15.2%と収入の84.7%が加盟店由来、経常利益305億円(+22.7%)・当期純利益206億円(+22.1%)と増収を大きく上回る増益で経常利益率19.00%は解剖した小売・外食企業で最高、その源泉はチェーン全店売上高の71.9%を占めるプライベートブランドと海外からの直接仕入、従業員はわずか440人(臨時116人)で1人あたりチェーン全店売上高4億7,553万円・1人あたり当期純利益4,686万円、自己資本比率82.8%は5期を通じて80%台、直営店売上高は+41.7%と急伸し東京・神奈川・大阪・埼玉・千葉で52.6%、女性管理職1.7%は解剖企業で最低、そして2027年3月期第1四半期は既存店+13.3%・営業利益+33.3%——ワークマンの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 小売業の構造的課題——加盟店に依存する構造/為替と輸送費という、自社で負うリスク/天候と流行——読みにくい2つの変数/2027年3月期は+13.7%の計画、第1四半期は既存店+13.3%
- 第3.5章 面接前に押さえるワークマンの最新ニュース10本——440人・自社ブランド71.9%・既存店+13.3%まで
- 第4章 内定者の正体——「ワークマンが好きです」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収805万円の読み方と、440人組織のキャリア
- 第6章 働く環境の現実——複数評価者による相対評価、女性管理職1.7%、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問8本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生