SCREEN(7735)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、SCREENを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「洗浄装置で世界45%」です。
有報の数字(第85期)
- 売上高
- 6,057億円
- 純利益
- 920億円
- ROE
- 20.3%
- 従業員数(連結)
- 6,884人
- 従業員数(単体)
- 653人
- 平均年間給与(単体)
- 1,080万円
- 平均年齢
- 42.0歳
- 平均勤続年数
- 13.9年
出典:SCREENの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
SCREENホールディングスを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、SCREENホールディングスに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはSCREENホールディングスの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
SCREENは、半導体洗浄装置で世界シェア45%超を持ち、半導体投資の拡大に乗って増益を狙う会社だ。
知っておきたいことは3つある。
印刷の会社ではない。1868年(明治元年)創業の京都の企業で、旧社名は大日本スクリーン製造。いまの主力は半導体製造装置だ。
2026年3月期は減収減益だった。それでも売上に占める本業の利益の割合(営業利益率)は20.2%ある。2027年3月期は営業利益1,500億円を見込む。
現在の中期経営計画は2027年3月期までだ。28卒が入社する2028年4月は、次の計画の中にある。
この記事では、会社が何に賭けているか、数字はそれを裏づけているか、他社と何が違うかを確かめる。
第1章 SCREENホールディングスは何に賭けているのか
1-1. 会社が賭けているのは3つ——事業の見える化、米国拠点、積み上げる技術
会社が毎年出す公式の報告書(有価証券報告書)には、会社の方針が書かれている。中期経営計画は「Value Up Further 2026」(2025年3月期〜2027年3月期)だ。報告書はこの3年間を、長期の成長を支える経営基盤を構築する期間と位置づけている。
賭けの1つ目は、事業ごとの現在地を見える化することだ。成長性とROIC(事業に投じたお金に対する利益の割合)の2軸で各事業を並べる。そのうえで、M&Aや組織改編で選択と集中を進める。
2つ目は、米国ニューヨーク州の研究開発拠点「ATCA」の設立だ。彦根や洛西の研究拠点と連携し、顧客や研究機関との協業を広げる狙いがある。
3つ目は、アドバンスドパッケージと呼ぶ分野だ。複数の半導体チップを積み重ねて1つにする技術で、AI半導体の性能を左右する。2025年9月にウエハー接合技術の研究開発事業を譲り受けた。2026年4月には、ディスプレー・成膜装置事業(FT)に担当部署を移し、開発から販売までを一体で進める体制を整えている。
志望動機では、米国拠点や積み上げる技術に賭ける姿勢を共感の根拠にできる。逆質問では、アドバンスドパッケージをFTに移したことで何が変わるのかを聞ける。
1-2. 目標は財務も非財務もすでに超えている
2年目の時点で、会社が自分で決めた目標を上回った項目が多い。
営業利益率の目標は、3年通算で19%以上だ。当期は20.2%だった。
ROICの目標は、最終年度で15%以上だ。当期は20.0%に達している。
働く側の事実もある。従業員エンゲージメント(会社への好意的な回答の割合)は、目標の70%以上を超えて74%だった。前年から9ポイント上がっている。
主力の半導体製造装置事業(SPE)は、営業利益率の目標が23〜25%だ。当期は25.2%だった。背景には、AIデータセンター向けの高性能半導体の需要がある。
志望動機では、目標を上回り続ける会社で働きたいという根拠にできる。逆質問では、目標を超えたいま、次の計画で何を新しい目標にするのかを聞ける。
1-3. 28卒が入るのは「次の中期経営計画」の中
現計画の最終年度は2027年3月期だ。28卒の入社は2028年4月なので、入社時には次の3カ年計画が走っている。
会社はそのために、滋賀県野洲市で用地の取得を進めている。報告書は、次期中期経営計画における成長を支えるためと説明している。半導体製造装置の生産能力を広げる動きの一部だ。
働く環境への評価もある。「健康経営銘柄」に3年連続で選ばれている。調査に回答した上場企業1,317社のうち、選ばれたのは44社だ。
志望動機では、次の計画を担う世代として入社したいと時間軸で語れる。逆質問では、次期計画で若手にどんな役割を期待するかを聞ける。
1-4. 減収減益でも営業利益率は20%台——来期は増収予想、弱みはSPEへの依存
2026年3月期の売上高は6,057億円で、前期より3.1%減った。営業利益も減ったが、営業利益率は20.2%を保った。
2027年3月期は、売上高7,250億円と大幅な増収を見込む。背景は、生成AI向けなどの半導体投資の拡大だ。
事業の内訳には偏りがある。SPEは売上の約80%を占める。FTはOLED(有機ELディスプレー)向けの成膜装置が伸び、営業利益が182%増えた。
祖業に近い印刷機器(GA)とプリント基板関連機器(PE)は、規模が小さい。PEは営業利益が64%減った。
リスクも整理しておく。半導体の設備投資の波が、SPEを通じて業績に直接響く。中国向けは、米国の輸出規制で制限がある。海外での売上が多く、円高は逆風になる。洗浄装置では、東京エレクトロンなどとの競争も続く。
課題指摘では、SPEへの依存と、小さな事業の収益力を自分の言葉で挙げられる。逆質問では、PEの利益が減った理由と今後の位置づけを聞ける。
第2章 業界比較——半導体製造装置「日本4強」の中での独自ポジション
2-1. 規模は東京エレクトロンに次ぐ2番手、洗浄装置では世界首位
日本の半導体製造装置メーカーには、東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREEN、ディスコ、レーザーテックが並ぶ。それぞれ得意分野が違う。
東京エレクトロンは、エッチング・成膜・洗浄などを広く手がける総合型だ。ディスコはダイシング・グラインディング、レーザーテックはEUVマスク検査で世界トップ級にいる。
SCREENは、規模では東京エレクトロンに次ぐ2番手だ。装置の種類を洗浄に絞ると、世界シェア45%超を持つ。洗浄装置は、製造の各工程でちりや薬液を取り除く装置だ。微細化が進むほど重要性が増し、シェアは維持されやすい。
「なぜ東京エレクトロンではないのか」と聞かれたとき、洗浄装置という得意分野の強さで答えられる。
2-2. 「なぜSCREENなのか」を語る3つの軸
1つ目は、洗浄装置の世界シェア45%超という、ほぼ独占に近い位置だ。
2つ目は、4事業体制(SPE・GA・FT・PE)だ。SPEの景気の波を、他の3事業が和らげる設計になっている。ただし規模は小さい。
3つ目は、祖業の印刷機械から半導体製造装置へ大きく事業を転換した経営史だ。京都に本社を置き、創業から157年(2025年時点)の歴史を持つ。島津製作所や村田製作所など、京都の精密産業の企業群の一角でもある。
志望動機の3本柱として使える。逆質問では、祖業からの転換の経験が、いまの事業判断にどう生きているかを聞ける。
SCREENの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(生成AI・HBM・先端ロジック需要の継続/先端パッケージ技術と洗浄工程/ディスプレー業界のOLED投資再開/米中半導体覇権争いと地政学リスク)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題と追い風——生成AI・HBM・先端ロジック需要の継続/先端パッケージ技術と洗浄工程/ディスプレー業界のOLED投資再開/米中半導体覇権争いと地政学リスク
- 第3.5章 押さえておくべきSCREEN HD 最新ニュース
- 第4章 内定者の正体——選考プロセスとES・面接攻略
- 第5章 職種別キャリア分析
- 第6章 働く環境の現実
- 第7章 面接攻略——財務分析を組み込んだ回答例
- 第8章 やましゃんの総合評価