りそなHD(8308)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、りそなHDを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「女性管理職35.2%」です。

有報の数字(第25期)

売上高
1兆3,572億円
純利益
2,587億円
ROE
9.2%
従業員数(連結)
20,813人
従業員数(単体)
2,105人
平均年間給与(単体)
907万円
平均年齢
45.1歳
平均勤続年数
14.4年

出典:りそなHDの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

りそなホールディングスを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、りそなグループに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはりそなの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、株式会社りそなホールディングス 有価証券報告書 第25期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。2026年7月31日発表の2027年3月期 第1四半期決算も反映しています。

結論から言う。りそなHDは、金利が戻った追い風の中で、金利に頼らない収益づくりに賭けている会社だ。

知っておきたいことは3つある。

第25期の純利益は2,587億円(前期比+21.3%)だった。ROE(株主のお金でどれだけ稼いだかを示す率)は9.18%である。

新しい中期経営計画は2026年度〜2028年度の3年間だ。28卒が入社する2028年4月は、その最終年度の初日にあたる。

有価証券報告書(以下、有報)は、トップリスクに「AI利活用の進展等による人財余剰」を挙げている。働く側にも関わる論点だ。

この記事では、会社が何に賭け、どこに課題があるかを、面接で自分の言葉で語れるかを確かめる。

第1章 りそなHDは何に賭けているのか

1-1. 3つの賭け——新中期経営計画は2026年度から3年間

有報は、新中期経営計画「Shift to the Next Stage」で3つの賭けを掲げている。計画期間は2026年度〜2028年度で、28卒の入社は最終年度の初日だ。

賭け1は、コア事業の成長である。金利のある世界で、預金や貸出金の量だけでなく質を上げる。あわせて「リカーリング収益」を強める。これは、手数料のように毎年繰り返し入る収益のことだ。金利環境に左右されにくい構造を目指している。

賭け2は、次世代成長ドライバーの創出だ。パーパス「金融+で、未来をプラスに。」のとおり、金融の枠を広げる。

賭け3は、資本循環の加速である。総還元性向(利益のうち株主に返す割合)の目標は50%以上だ。2029年度のDOE(純資産に対する配当の割合)の目標は、3%程度から3.5%程度へ引き上げた。M&Aなどの「インオーガニック投資」も進める。

面接での使い方

志望動機では、「外部環境に左右されにくい収益構造」への賭けに共感した、と言える。逆質問では、最終年度に入社する立場で、2028年度に何を達成したいのかを聞ける。

1-2. 当期は計画を上回った——ただし追い風つきだ

当期(2025年度)は、掲げた数字を上回った。純利益は、計画の2,400億円に対して実績が2,587億円だった。

背景には金利の上昇がある。日本銀行は2025年12月に、政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げた。長期金利は一時2.4%近傍と、約27年ぶりの水準まで上がった。

総資産は減ったのに、経常収益は前期比+21.5%増えた。同じ資産から、より多く稼げるようになったということだ。ただし、金利は自社で決められない。だから計画は、金利に頼らない収益づくりを掲げている。

面接での使い方

課題指摘では、「好決算の主因は金利で、自社で動かせる部分は別にある」と整理できる。逆質問では、金利以外で伸ばした収益はどこかを聞ける。

1-3. 追い風の裏側——市場部門は880億円の損失

金利上昇は、銀行にとって良いことばかりではない。市場部門(債券などの運用を担う部門)は、与信費用控除後の業務純益が△880億円だった。金利が上がると、保有する債券の価格が下がるからだ。

一方で、個人部門と法人部門は伸びている。最大の稼ぎ頭は法人部門で、決済関連業務が順調だった。

貸出の利ざやは改善するが、低金利時代に買った債券は重荷になる。「金利上昇は追い風」は正しいが、片面でしかない。

面接での使い方

課題指摘では、貸出には追い風、既存の債券には逆風という両面を語れる。銀行志望として一段深い見方を示せる。

1-4. 働く側の事実——人員と「人財余剰」リスク

連結従業員は20,813人だ。持株会社本体は2,105人で、連結の約1割にあたる。銀行業務を担うのは、主に傘下の銀行である。持株会社の平均年齢は45.1歳、勤続は14.4年、平均年間給与は907万円だ。

有報は、トップリスクの筆頭に「社会構造・産業構造・経済環境の変容に伴う競争力低下等」を挙げる。その中に「AI利活用の進展等による人財余剰」と書いてある。銀行自身が、人が余る可能性を認めているのだ。だから「最適な人的資源の再配賦」を課題としている。

面接での使い方

志望動機では、人が余る可能性を自ら書く会社で、自分はどう役割を作るかを語れる。逆質問では、AIで業務が変わる中、若手にどんな配置転換の道があるかを聞ける。

第2章 銀行業の収益構造

2-1. 銀行の収益は3つ——金利に頼らない柱を育てる

銀行の収益は、大きく3つに分かれる。資金利益は、預金を集めて貸出などで運用して得る利ざやだ。役務取引等利益は、振込や投資信託の販売、信託報酬といった手数料収入である。残りは、市場関連の損益だ。

低金利が続いた間、日本の銀行は利ざやが薄く、手数料への依存を強めてきた。金利が戻れば、重心は利ざやに戻る。りそなは「リカーリング収益の強化」を掲げ、金利頼みに戻らない姿勢を示している。

面接での使い方

志望動機では、金利が戻っても繰り返し入る収益を厚くする方針に触れられる。逆質問では、手数料収益を伸ばす具体策を聞ける。

2-2. 経費率の改善は「削減」ではなく「投資」の結果

銀行は、店舗・システム・人件費という固定費が大きい。そのため、稼ぎのうち経費に消える割合(経費率)が、効率を決める。連結経費率は、前年度の64.2%から57.5%へ下がった。

内訳を見ると、業務粗利益は1,172億円増えた。経費の増加は216億円にとどまる。その増加分には、人財投資による人件費85億円が含まれる。単なる節約ではなく、人に投資しながら効率を上げた形だ。

面接での使い方

志望動機では、人に投資しながら効率を上げている点を評価できる。逆質問では、経費率の次の目標水準と、人財投資の優先分野を聞ける。

2-3. りそなの武器——信託とリテール特化

第1の武器は、日本で唯一「銀行と信託を併営する商業銀行」であることだ。信託財産は30.9兆円ある。相続や資産承継など、金利に左右されにくいサービスを出せる。高齢化が進む日本で、相続関連の需要は構造的に広がる。

第2の武器は、個人と中小企業へのリテール特化だ。メガバンクが大企業や海外で稼ぐのに対し、りそなは首都圏・関西圏に集中する。純利益はメガバンクの約4分の1だが、ROEは遜色ない水準だ。規模でなく効率で戦う構造である。

面接での使い方

志望動機では、「メガバンクの縮小版ではなく別の競技をしている銀行」という位置づけを理由にできる。逆質問では、信託とリテールを組み合わせた仕事に若手がどう関われるかを聞ける。

りそなHDの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(金利上昇の両刃——市場部門880億円の損失が語ること/与信費用の増加——好景気の裏で不良債権は増えている/人口減少と地盤——首都圏・関西圏という選択の意味/デジタル化とコストの綱引き)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。純利益2,587億円(5期で2.35倍)、ROE 9.18%、業務粗利益+1,172億円と金利復活の果実、市場部門880億円の損失という両刃、信託財産30.9兆円、そして女性管理職35.2%——りそなの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 銀行業の構造的課題——金利上昇の両刃——市場部門880億円の損失が語ること/与信費用の増加——好景気の裏で不良債権は増えている/人口減少と地盤——首都圏・関西圏という選択の意味/デジタル化とコストの綱引き
  • 第3.5章 面接前に押さえるりそなの最新ニュース10本——1Q純利益+14.2%・通期3,300億円予想・DOE3.5%まで
  • 第4章 内定者の正体——「安定してるから」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収907万円の読み方と、連結2.1万人・単体2,105人でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——女性管理職35.2%・男性育休99%の意味、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. りそなHDの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第25期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は907万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. りそなHDの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第25期)では、提出会社(単体)が2,105人、連結が20,813人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. りそなHDが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。