みずほFG(8411)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、みずほFGを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「利益の2割は1,289人」です。
有報の数字(第24期)
- 売上高
- 9兆854億円
- 純利益
- 1兆2,486億円
- ROE
- 11.5%
- 従業員数(連結)
- 52,427人
- 従業員数(単体)
- 2,867人
- 平均年間給与(単体)
- 1,166万円
- 平均年齢
- 42.5歳
- 平均勤続年数
- 16.9年
出典:みずほFGの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
みずほFGを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、みずほFGに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはみずほFGの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社みずほフィナンシャルグループ 有価証券報告書 第24期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。同社は日本基準で決算を開示しています。
みずほFGは、金利上昇の追い風で利益を伸ばし、少人数の市場部門が稼ぎを押し上げるメガバンクだ。
知っておきたいことは3つある。
・目標を2年前倒しで達成し、さらに引き上げた。2028年度にROE 12%超、連結業務純益1.8〜2.0兆円を掲げる。
・純利益は1兆2,486億円で、前期比+41.0%。増益を支えたのは、金利の上昇と、保有株の売却益だ。
・少人数の部門が、利益の2割近くを担う。市場部門は従業員1,289人で、連結業務純益の17.8%を占める。
この記事では、目標の置き方、買う動きと売る動き、利益の出どころと人数のズレ、働く側の事実を確かめ、面接で自分の言葉で語れる形にする。
第1章 みずほFGは何に賭けているのか
1-1. 会社が自分で決めた目標——2028年度にROE 12%超
会社は第24期に、中期財務目標を2年前倒しで達成した。東証基準のROEと連結業務純益の2つで、旧目標を満たした。
ROEは、株主のお金でどれだけ稼いだかを示す割合だ。業務純益は、粗利益から経費を引いた銀行の本業の利益と考えるとよい。第24期の実績は、ROEが11.4%だった。
達成のあとに、目標を引き上げた。新しい目標は、2028年度にROE 12%超を安定的に実現することだ。連結業務純益の目標も、冒頭のとおり引き上げた。
28卒の入社は2028年4月で、目標年度の2028年度の初日と重なる。達成の可否を、新入社員として最初に体感する世代になる。
志望動機では、目標を達成したうえで引き上げる姿勢を根拠にできる。逆質問では、ROE 12%超を安定させる条件を聞ける。
1-2. 買うだけでなく、売る——足りない領域を提携で埋める
買う側では、みずほ銀行が2025年9月、UPSIDERホールディングスの株式76.9%を取得した。有報は、AIと人の共創による新たな与信モデルの構築を、共同の取り組みの軸に挙げる。みずほ証券は、インドの投資銀行Avendus Capitalを買収する契約を2025年12月に結んだ。実行には当局の認可等が前提で、有報の時点では実行前だ。
2026年5月には、楽天銀行との資本業務提携を決めた。みずほ銀行が楽天銀行の議決権10.52%を持つ主要株主になる予定で、効力発生は2026年10月1日だ。
M&A助言では、2023年12月に米国のGreenhillを買い、今回はインドで同じ型の会社を買う。同じ領域を地域ごとに買い足す動きで、ロールアップの入り口にも見える。ただし会社は自称しておらず、断定はしない。
売る側もある。グローバル・カストディ事業の国外関連分は、2025年10月にステート・ストリートへ譲渡した。政策保有株式(取引関係のために持つ株)も減らしている。
志望動機では、足りない領域を買い足し、不要なものは売る判断を根拠にできる。課題指摘では、買った会社を統合して収益に変える難しさを論点にできる。
1-3. 利益の出どころと、人の数が一致しない
連結業務純益を、5つのカンパニー(顧客別の事業部門)に分けて見る。
最も人が少ないのは、株や為替、債券を売買する市場部門(グローバルマーケッツ)だ。従業員は1,289人で連結のごく一部にすぎないが、業務純益では2割近くを占める。
国内の大企業・金融・公共法人を担当するカンパニーは、従業員4,586人で、業務純益の34.2%を稼ぐ。個人と中小・中堅企業を担当するカンパニーは、19,324人で16.3%だ。ただし後者の業務純益は、前期比の増加額が市場部門に次いで2番目に大きい。
市場部門の利益は市況で振れる。海外を担当するカンパニーは12,565人を抱えるが、業務純益は前期から横ばいだった。
志望動機では、どの部門の稼ぎ方に関わりたいかを語れる。課題指摘では、市況で振れる利益と積み上げ型の利益の配分を論点にできる。逆質問では、少人数の部門に若手がどう関われるかを聞ける。
1-4. 働く側の事実——人数・年齢・勤続・年収
連結の従業員は52,427人で、別に嘱託・臨時従業員が平均12,112人いる。主な会社の数字は次のとおりだ。
・みずほ銀行:23,356人。平均年齢40.7歳、平均勤続年数16.3年、平均年間給与870万1,000円。
・みずほ証券:6,479人。平均年齢40.5歳、平均勤続年数15.1年。
・持株会社(みずほFG):2,867人。42.5歳、16.9年、平均年間給与1,166万5,000円。
持株会社の2,867人のうち2,319人は、5つのカンパニーに入らない「その他」に属する。持株会社は本社機能が中心の組織だ。給与も銀行などの転籍元で支払われた額を含む。年収は、働く会社と年齢を揃えて比べる必要がある。
有報は、2024年度に人事の枠組み〈かなで〉へ移ったと書き、「年次・経験によらない役割の大きさに応じた処遇・配置」を徹底するとしている。
志望動機では、年次でなく役割で任される環境を選ぶ理由にできる。逆質問では、役割の大きさを誰がどう決めるかを聞ける。
第2章 銀行業の収益構造
2-1. 銀行の稼ぎは4本の柱
銀行の売上にあたる「連結粗利益」は、4本の柱でできている。
・資金利益:貸出や債券の利息収入から、預金の利払いなどを引いたもの。1兆3,770億円で、粗利益の約4割を占める。
・役務取引等利益:融資や決済、M&A助言などの手数料。1兆804億円。
・特定取引利益:市場部門の売買損益。
・その他業務利益:外国為替の売買益など。
金利が上がると資金利益が増えるのが、銀行の基本形だ。
志望動機では、利息だけでなく手数料でも稼ぐ銀行像を語れる。逆質問では、どの柱を伸ばすのかを聞ける。
2-2. 利益から引かれるもの——経費と貸倒れの備え
粗利益から、経費と貸倒れへの備え(与信関係費用)を引いて、利益が残る。
営業経費は前期比+14.3%で、粗利益の伸び(+19.1%)を下回り、利益が残った。貸倒れへの備えは前期から増えた。有報は、一部の取引先の費用に加え、中東情勢を踏まえた引当を先に積んだと説明する。
課題指摘では、経費の伸びが粗利益の伸びを下回り続けられるかを論点にできる。逆質問では、貸倒れへの備えをどう積む方針かを聞ける。
2-3. この構造で働くとは、どういうことか
みずほは、顧客の種類で5つのカンパニーを置き、銀行・信託・証券をまたいで動く。個人・中小・中堅、国内の大企業・金融・公共法人、海外、市場、運用の5つと、全体を横断する2つのユニットだ。
2026年5月の発表で、会社はみずほ銀行を「国内上場企業の約8割と取引を有する強固な法人顧客基盤」と説明している。同じ顧客に、融資、資産管理、M&A助言、市場商品を束ねて提案する働き方になる。
2026年4月には、みずほ銀行とみずほリサーチ&テクノロジーズが合併し、リサーチ・コンサルティング・IT・技術開発の機能も銀行に入った。技術や調査を含めて顧客に向き合う組織へ寄せている。
志望動機では、一つの顧客に複数の機能を束ねて提案する働き方を選ぶ理由を語れる。逆質問では、カンパニーをまたぐ提案の実例を聞ける。
みずほFGの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(金利の追い風と預金コスト/株式売却益の持続性/経費とシステム/規制資本と成長投資)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
■この会社の面接で落ちる人の共通点
「日本経済を支える仕事がしたいからです」と言ったあとに、面接官から「それは三菱UFJにも三井住友にも当てはまります。みずほを選ぶ理由は何ですか」と返されて、言葉が止まる。3メガバンクの中でROEは最も高いのに、純利益は三菱UFJの約半分という違いを、数字で言えない。第4章では、この止まり方を3パターンに分けて書いた。
■逆質問の1本目だけ、ここに置いておく
「純利益は前期比で3,631億円増えましたが、そのうち1,839億円は株式等関係損益の増加でした。株式の売却益に頼らない利益は、今後どこで積み上げていく計画でしょうか。」
この質問に必要な数字は、純利益の増加3,631億円と、株式等関係損益の増加1,839億円の2つだ。残り6本は、ROE 12%超の条件、市場部門の振れ、楽天銀行との提携、買収後の統合、銀行とITの合併、役割に応じた処遇を、同じ型で組んである。
ここまでが無料パートです。第24期の純利益は1兆2,486億円(前期比+41.0%)、うち株式等関係損益の増加は+1,839億円、市場部門は1,289人で業務純益の17.8%、2028年度のROE目標は12%超——みずほFGの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 銀行業の構造的課題——金利の追い風と預金コスト/株式売却益の持続性/経費とシステム/規制資本と成長投資
- 第3.5章 面接前に押さえるみずほFGの最新ニュース10本——第1四半期4,229億円・通期見通し1兆4,000億円まで。1本ごとに「面接で使うなら」
- 第3.6章 数字で補足——5期の推移・カンパニー別の利益と人員・ROEの分解・財務・株主還元・リスク
- 第4章 内定者の正体——「日本経済を支えたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年間給与870万1,000円の読み方と、52,427人でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——勤続16.9年の読み方、女性役員比率、雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本(それぞれの狙いつき)
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生