大和ハウス工業への転職前に、有価証券報告書で確かめること
このページは、大和ハウス工業を中途で受ける人と、いま大和ハウス工業にいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「過去最高益なのに、営業キャッシュ・フローは55.0%減った——投資7,260億円を、借入6,310億円で埋めた1年」です。
決算の要点(有報から3点)
過去最高益の年に、営業キャッシュ・フローは55.0%減った。純利益3,505億68百万円は過去最高ですが、営業CFは1,892億77百万円。理由は「販売用不動産の取得」——開発用地の仕込みです。そして投資CF △7,260億53百万円(設備投資6,108億30百万円+住友電設の取得1,230億72百万円等)を、財務CF +6,310億58百万円(借入とコマーシャル・ペーパー)で埋めました。自己資本比率は34.4%へ2.7ポイント低下。「利益は出ているが、現金は出ていっている」——この形は成長投資の局面では正常ですが、金利が上がる環境では調達コストが直接効いてきます。
投資の8割超は、事業施設と商業施設。根拠は受注残高。設備投資6,108億30百万円のうち事業施設3,351億円(54.9%)+商業施設1,629億1百万円(26.7%)。裏付けは受注残高2兆602億96百万円(+23.0%)で、事業施設だけで1兆1,204億77百万円(+34.3%)あります。さらに住友電設(電気設備工事)を1,230億72百万円で連結子会社化し、事業施設セグメントののれんが291億71百万円→989億41百万円へ3.4倍。物流施設・データセンター等の「事業施設」に、資本と人を集中させているのが、この1年の実像です。一方、賃貸住宅の受注残高は△18.3%で、マンション事業の利益率は2.2%。主力6事業の中に、明確な濃淡があります。
収益の3分の1は「見積り」でできている。KAM2本は、工事原価総額の見積り(対象売上1兆8,200億89百万円=売上の32.6%)と、SPCへの不動産売却(開発物件売却売上3,337億6百万円)。前者は未発注の資材価格が動けば進捗率が変わる構造で、監査法人は機械学習の「進捗度異常検知ツール」まで投入しています。後者について監査法人は、「当該不動産に係るリスクと経済価値のほとんど全てが移転していないにも関わらず、多額の収益が認識される可能性がある」と明記しました。どちらも不正があったという話ではありませんが、この会社の利益の質を考えるうえで、避けて通れない2つの論点です。
転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)
5万5,712人の内訳——事業施設14,711人が最大
外に臨時雇用者2万3,928人がいる
提出会社16,508人・平均年間給与1,101万1,469円
前年比+11.0%。そして賞与が年2回から年1回になる
女性管理職6.3%、賃金差異59.6%——なのに職位別は95%超
差の正体を、会社が数字で説明している
中途でこの会社を受けるなら
6事業の利益率は15.9%から2.2%まで
経営企画部長が唸る逆質問10本
営業CFの半減とSPC取引を、どう聞くか
入社後も、自分で有報を読み続けるために
毎年見るべき3か所
面接までの3ステップ
① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。
② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る
注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。
③ その数字から、逆質問を1本作る
上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。