電通グループへの転職前に、有価証券報告書で確かめること
このページは、電通グループを中途で受ける人と、いま電通グループにいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「3期連続の赤字と、黒字935億円が同じ決算に載っている——海外で3,960億円を減損した」です。
決算の要点(有報から3点)
同じ決算に、3,276億円の赤字と935億円の黒字が載っている。差の4,211億円の主因は、海外事業ののれん減損3,960億74百万円です。「調整後」の数字は、買収に伴う無形資産の償却費、M&A費用、構造改革費用、減損損失などを除いた恒常的な業績指標だと有報が定義しています。現金が出ていく費用ではないので、営業キャッシュ・フローは前期の1.97倍(1,179億円)に増えました。ただし減損は「過去に払った買収価格が回収できない」と認めた記録でもあります。どちらの数字も嘘ではありませんが、片方だけを見てはいけません。
自己資本が5期で55.6%減り、自己資本比率は11.7%。8,450億円あった親会社所有者帰属持分が3,748億円へ、当期だけで3,220億円減りました。1株当たり純資産は3,088円から1,444円。総資産3兆2,067億円に対し自己資本3,748億円という構成で、なお3,201億円ののれんを抱えています(総資産の10%、うちAmericasが2,783億円)。現金は2,951億円まで減り、財務キャッシュ・フローは3期連続で大きな流出。追加の減損に耐える余地は、以前より確実に小さくなっています。
プラス成長は日本だけ。しかし売上総利益の41.6%しかない。日本はオーガニック+6.2%・マージン24.4%で5年連続の過去最高。対してAmericas△3.0%、EMEA△1.8%、APAC△6.8%。買って広げた海外が、いま価値を削っている構図です。そして中期経営計画の財務目標は2026年2月に一部取り下げられ、新目標は未設定。「2026年度に海外事業全体が株主価値向上に貢献」という約束が消えたことの意味は小さくありません。次の目標が出るまで、この会社の進捗を測る物差しは存在しません。
転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)
6万7,454人の内訳——日本は23,874人で35.4%
1人あたり調整後営業利益は、日本507万円・APAC 24万円
提出会社135人・平均年間給与1,595万9千円
ここまで解剖した中で最高額。ただし135人しかいない
㈱電通の女性管理職14.4%、賃金差異71.3%
グループ4社の数字が並んでいる
労働組合は提出会社になく、グループで5,363人
有報に組合員数が書いてある
中途でこの会社を受けるなら
成長しているのは日本だけ。海外は減損した側
経営企画部長が唸る逆質問10本
財務目標を取り下げた会社に、何を聞くか
入社後も、自分で有報を読み続けるために
毎年見るべき3か所
面接までの3ステップ
① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。
② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る
注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。
③ その数字から、逆質問を1本作る
上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。