富士フイルムHDへの転職前に、有価証券報告書で確かめること
このページは、富士フイルムHDを中途で受ける人と、いま富士フイルムHDにいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「6期連続で最高益、なのにROEは5期連続で下がっている——のれん9,970億円は総資産の16.5%」です。
決算の要点(有報から3点)
「6期連続で最高益」と「ROE5期連続低下」は両立している。純利益は5期で1.31倍、株主資本は1.53倍。包括利益が純利益の2.10倍という数字が示すとおり、海外売上65.2%の会社に円安が効くと、損益を通らずに資本が積み上がります。本業が失速しているのではなく、分母が速い。ただし投資家にとっての事実は変わりません——中計の2026年度目標ROE8.1%に対し、会社自身の見通しは7.8%です。
利益の67.2%を、従業員の17.3%が稼いでいる。イメージング(利益率25.5%)とエレクトロニクス(同22.1%)の2部門です。逆に売上の35.0%を占めるビジネスイノベーションは利益率5.4%で減収減益、ヘルスケアは増収なのに営業利益△20.3%(銀価格と為替)。この会社は「4つの事業の集合体」ではなく、「2つの稼ぎ頭と、2つの重い事業」として見たほうが実態に合います。
投資が営業キャッシュ・フローを5期連続で上回っている。当期のフリーキャッシュ・フローは△1,440億円、現金は5期で64.9%減、有利子負債は8,949億円でキャッシュ・フロー対有利子負債比率は1.6年→2.2年へ。会社は「2026年度は引き続き先行投資の時期となります」と明記しています。バイオCDMOと半導体材料への投資が、いつリターンに変わるか——ROEの分母が先に太る以上、ここが回収されない限りROE目標は遠のきます。そしてのれん9,970億円(総資産の16.5%)、うち構造的に縮む市場に3,118億円。投資の回収と、のれんの維持。この2つが同時に走っています。
転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)
従業員の46.1%がいる部門が、営業利益の16.4%
1人あたり営業利益2,360万円と、188万円
持株会社1,198人・平均年収1,085万円——ただし注記を読むと違う数字が出てくる
△3.45%の裏に「+3.62%」が書いてある
事業会社3社の年収が、有報に載っている
富士フイルム㈱1,039万円/BI㈱1,059万円/BIジャパン789万円
女性管理職7.6%、賃金差異74.6%——ただし管理職同士なら97.3%
会社が等級別に分解して開示している
中途でこの会社を受けるなら
4つの部門は、まったく違う局面にある
経営企画部長が唸る逆質問10本
ROEとROICを有報に書いた会社に、何を聞くか
入社後も、自分で有報を読み続けるために
毎年見るべき3か所
面接までの3ステップ
① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。
② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る
注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。
③ その数字から、逆質問を1本作る
上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。