ファーストリテイリングへの転職前に、有価証券報告書で確かめること

このページは、ファーストリテイリングを中途で受ける人と、いまファーストリテイリングにいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「監査法人が「特に重要」と挙げた2つは、どちらも「ITへの依存」だった——中国は4.0%減り、東南アジアが追いついた」です。

決算の要点(有報から3点)

中国の減速と、それを埋めている東南アジア・欧米。グレーターチャイナは売上△4.0%、事業利益△12.5%。一方、韓国・東南アジア・インド・豪州地区は+14.6%/+20.5%で、事業利益ではすでに中国を上回りました(1,169億円 vs 899億円)。欧州+33.6%、北米+24.5%と、両地域も高成長です。設備投資1,719億円のうち1,200億円が海外ユニクロ、非流動資産は米国が+84.8%。——中国依存から抜けつつあるというのが、数字から読める現在地です。中国は第4四半期に事業利益が約11%増益と底打ちの兆しがあり、ここが戻るかどうかが翌期の焦点になります。

利益の13.3%は本業ではない。税引前利益6,505億74百万円のうち、金融収益・費用のプラス863億円(利息524億円+為替差益338億円)。為替差益は円安が止まれば消えます。本業の利益である事業利益は5,511億円(+13.6%)で十分に強いのですが、「4期連続で過去最高」という見出しの中身には、為替が含まれていることは押さえておくべきです。またジーユー事業は増収減益(営業利益△9.5%)、グローバルブランド事業は営業損失で、ユニクロ以外の2事業はまだ稼げていません。

KAM2本が両方ともIT。強みと弱みは同じ場所にある。棚卸資産4,861億85百万円(総資産の12.6%)と店舗資産5,569億12百万円(同14.4%)、合計総資産の27.0%の評価が、ITシステムに高度に依存しています。これは「リスク」であると同時に「参入障壁」です。3,005店舗を1店ずつ資金生成単位として管理し、SKU単位で値下げを制御する仕組みは、簡単には真似できません。ただし、システムに誤りがあれば会計数値が直接歪みます。監査法人がIT専門家を投入し、IT全般統制まで検証しているのは、そのためです。この会社を見るときは、「服が売れているか」と同じ重みで「在庫が適正か」を見る必要があります。(ジーユー事業の「売れ筋商品の欠品」は、その難しさの実例です。)

転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)

5万9,522人の内訳——海外ユニクロだけで36,161人

外に準社員・アルバイト5万468人がいる

提出会社1,572人の平均勤続年数は5年9ヶ月

平均年間給与1,250万6千円・平均年齢38歳5ヶ月

「常に抜擢・降格をともなう登用」と有報が書いている

少数精鋭の組織を、会社はどう定義しているか

女性管理職は本体21.6%、ユニクロ33.6%

賃金差異の理由を、会社が自分で書いている

中途でこの会社を受けるなら

4事業の利益率は18.0%・16.2%・9.2%・△0.7%

経営企画部長が唸る逆質問10本

KAMがITだったことを、どう聞くか

入社後も、自分で有報を読み続けるために

毎年見るべき3か所

面接までの3ステップ

① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る

有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。

② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る

注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。

③ その数字から、逆質問を1本作る

上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。

よくある質問

Q. 数字の出典は何ですか。
A. 各社が金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINET(金融庁の開示システム)で誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 無料で読める範囲はどこまでですか。
A. note記事の投資家向けパート(決算の解剖)は無料で読めます。社員・転職者向けのパート(人員の配置、年収と勤続の中身、逆質問)が有料で、2,480円の買い切りです。