三菱商事への転職前に、有価証券報告書で確かめること
このページは、三菱商事を中途で受ける人と、いま三菱商事にいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「ROEが4期で15.8%から8.5%へ半減——932人が2,045億円を稼ぎ、1万7,830人が833億円」です。
決算の要点(有報から3点)
ROEが4期で15.8%から8.5%へ。分子も分母も悪い方向に動いた。当期純利益は9,507億円から8,004億60百万円(△15.8%)へ、売上総利益はピークの2兆5,599億円から1兆6,550億74百万円へ(3期で9,049億円減)。8セグメント中6つが減益で、理由の多くが「前年度の一時益の反動」です。一方で当社所有者帰属持分は9兆4,406億円まで積み上がっており、ROEの分母は重いまま。PERは11.08倍から25.21倍へ跳ね上がりました。利益が減って株価が維持されたという形で、市場が何を織り込んでいるかが、この倍率に表れています。
1年でネット有利子負債が8,410億円増え、自己資本比率は43.6%から39.1%へ。総資産が2兆6,556億円増えたのに資本の増加は963億円。投資活動のキャッシュアウトは4,485億84百万円へ拡大しました。「経営戦略2027」の下で投資を積んでいる局面で、有報も「投資の順調な実行等で追加資金が必要となった際は財務健全性を維持できる範囲でレバレッジの活用も検討しながら」と書いています。短期資金7,361億円に対し流動性3兆2,290億円、格付AA/A2/Aなので財務不安はありませんが、レバレッジを効かせる方向に舵を切ったことは押さえておくべきです。
利益の最大の変数は、経営努力ではなく銅の価格。監査法人がKAMに選んだのは銅の中長期価格見通しただ1点で、チリ・ペルーの銅事業関連資産が1兆2,366億70百万円。感応度は「極めて高い」とされ、外部機関の見通しですら上限と下限の乖離が大きいと書かれています。当期は過年度減損の一部戻入れ531億93百万円が利益を押し上げました。金属資源セグメントは全社最大の2,045億円を稼ぎますが、その前提は自社では決められない——総合商社を評価するときの、いちばん本質的な事実です。
転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)
932人で2,045億円、1万7,830人で833億円——47倍の差
セグメント別の1人あたり利益を全部出す
提出会社5,328人・平均年間給与2,112万5千円(+3.9%)
ここまで解剖した28社で最高額。ただし就業人員は4,456人
女性管理職13.1%、男女賃金差異64.7%
「総合職に限ると73.9%」と、理由を2つ書いている
中途でこの会社を受けるなら
人数が少ないセグメントほど、1人あたりの利益が大きい
経営企画部長が唸る逆質問10本
ROEが4期で半減した会社に、何を聞くか
入社後も、自分で有報を読み続けるために
毎年見るべき3か所
面接までの3ステップ
① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。
② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る
注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。
③ その数字から、逆質問を1本作る
上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。