東京海上HDへの転職前に、有価証券報告書で確かめること

このページは、東京海上HDを中途で受ける人と、いま東京海上HDにいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「同じ年の純利益が9,804億円と5,313億円——IFRS移行でROEは18.68%から7.06%に見える」です。

決算の要点(有報から3点)

同じ年度に2つの利益があり、どちらで見るかでROEが2.6倍違う。日本基準9,804億円・ROE18.68%・PER14.18倍に対し、IFRSは5,313億円・ROE7.06%・PER26.16倍。当期から正式な数字はIFRSで、日本基準は監査すら受けていない参考値です。IFRS第17号は保険料を「保険収益」として期間配分し、CSMという将来利益の在庫を負債に積むため、利益が後ろ倒しになります。だから今期の利益は小さく見え、その分がCSM(国内生保だけで1兆1,497億円)として将来に残る。低いROEをそのまま「収益性が落ちた」と読むのは誤りです。ただし株価はすでに日本基準で形成されてきたので、市場がIFRSでどう評価し直すかは、これからの論点です。

利益の94.6%が海外。国内損保の増益は自然災害の減少が主因。海外保険事業5,027億円に対し、国内損保2,375億円(+77.8%)、国内生保は△2,048億円。国内損保の増益理由を会社は「当年度の自然災害が減少したことを主因として」と明記しており、再現性のある実力ではありません。そして海外の中身は北米(HCC、Delphi、Philadelphia、Privilege Underwriters)——監査法人のKAMに社名が並んでいます。この会社は「日本の損保」ではなく「北米を主戦場とする保険グループ」として見るのが実態に近いです。

総負債の81.0%が保険契約負債で、その評価は見積りに依存している。残存カバー負債13兆6,078億円、発生保険金負債6兆6,112億円。監査法人はKAM4件のうち2件をこの負債評価に充て、保険数理の専門家を使って独自に見積額と許容範囲を設定し、経営者の見積りがその中に収まるかを検証しています。IFRS移行で見積りの要素が増え、不確実性が増したとも明記されました。保険会社の決算を読むときは、損益計算書より先に負債の評価前提を見るべきだ——監査報告書がそう教えてくれます。

転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)

従業員が1年で1万6,090人増えた——ただし採用ではない

注記に「IFRSへの移行に伴う連結範囲の見直しにより」と書いてある

持株会社1,339人・平均年間給与1,487万1千円(△3.2%)

ただし大部分が子会社からの出向者

東京海上日動火災16,064人・906万円、あんしん生命2,208人・1,030万円

最大人員会社2社の数字が有報に載っている

女性管理職は持株会社7.0%、東京海上日動30.5%

賃金差異は逆に東京海上日動のほうが低い。その理由

中途でこの会社を受けるなら

利益の94.6%を稼ぐ場所に、従業員の35.9%がいる

経営企画部長が唸る逆質問10本

IFRSへ移行した年に、何を聞くか

入社後も、自分で有報を読み続けるために

毎年見るべき3か所

面接までの3ステップ

① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る

有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。

② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る

注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。

③ その数字から、逆質問を1本作る

上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。

よくある質問

Q. 数字の出典は何ですか。
A. 各社が金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINET(金融庁の開示システム)で誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 無料で読める範囲はどこまでですか。
A. note記事の投資家向けパート(決算の解剖)は無料で読めます。社員・転職者向けのパート(人員の配置、年収と勤続の中身、逆質問)が有料で、2,480円の買い切りです。