ソフトバンクグループへの転職前に、有価証券報告書で確かめること
このページは、ソフトバンクグループを中途で受ける人と、いまソフトバンクグループにいる人に向けたものです。求人票や口コミには載らない、会社自身が有価証券報告書に書いた数字を並べます。直近の有報から出てきた事実は、「純利益5兆23億円、営業キャッシュ・フローは△4,288億円——23兆円の投資の87%に市場価格がない」です。
決算の要点(有報から3点)
5兆23億円の純利益は、現金ではない。投資利益7兆2,865億円のうち6兆7,304億円がOpenAI関連の評価益で、営業キャッシュ・フローは△4,288億円、財務キャッシュ・フローは+6兆3,773億円でした。利益は評価から、現金は借入から来ています。この構造は会社も隠しておらず、だからこそ会社自身が見る指標をNAVとLTVに置いているわけです。PER4.1倍という数字を、通常の会社と同じ意味で読んではいけません。
23兆4,957億円のSVF投資のうち、20兆5,104億円(87.3%)がレベル3。監査法人(有限責任監査法人トーマツ)は無限定適正意見を出していますが、監査上の主要な検討事項(KAM)はこのレベル3評価の妥当性ただ1点です。有報は評価技法として取引事例法・類似会社比較法・割引キャッシュ・フロー法を挙げ、「取引事例法において採用される取引価格が、測定日時点における公正価値を最もよく表すという判断」が重要な見積りだと書いています。OpenAIの評価額は、直近の資金調達ラウンドの価格に強く依存するということです。2026年2月の追加出資はプレマネー評価額7,300億米ドル——前回の2,600億米ドルの2.8倍でした。
事業として現金を稼いでいるのは、ソフトバンク事業だけ。売上7兆408億円・セグメント利益9,650億円(+6.5%)で、連結売上7兆7,986億円の90.3%を占めます。AIコンピューティング事業は売上6,403億円・損失1,372億円で、赤字が13倍に拡大しました。持株会社投資事業は4,720億円の損失。つまり「AIへの投資会社」としての損益は、SVF事業の評価益がすべてです。来期はOpenAIへ300億米ドル(うち200億米ドル実行予定)、ABBのロボティクス事業の買収完了も控えています。LTVの上限35%と、2年分の社債償還資金という手元流動性の方針を守りながらこれをやり切れるかが、この会社の実質的な財務テストになります。
転職前に確かめる数字(有料レポートの目次)
244人で6兆4,446億円——1人あたり264億円のセグメント
7万3,677人の内訳と、桁違いの生産性
提出会社276人、平均年間給与1,319万5千円(△3.2%)
5兆円を稼いだ年に、年収は下がっている
ソフトバンク㈱871万円、LINEヤフー㈱902万円
最大人員会社2社の数字が、有報に書いてある
女性社員47.5%・女性管理職27.0%、賃金差異55.2%
持株会社と事業会社で、数字がまったく違う
中途でこの会社を受けるなら
「ソフトバンクを受ける」では、どの会社か決まらない
経営企画部長が唸る逆質問10本
NAVとLTVで経営する会社に、何を聞くか
入社後も、自分で有報を読み続けるために
毎年見るべき3か所
面接までの3ステップ
① 「従業員の状況」で、提出会社と連結の人数・平均年収・勤続を見る
有価証券報告書の「従業員の状況」には、提出会社(本体)と連結の従業員数、平均年間給与、平均勤続年数が載っています。自分が入るのが本体なのか子会社なのかで、この数字の意味は変わります。
② 「セグメント情報」で、自分が受ける事業の利益率を見る
注記の「セグメント情報」で、自分が受ける事業の売上と利益を見ます。会社全体の利益率と、その事業の利益率が同じとは限りません。
③ その数字から、逆質問を1本作る
上の2つの数字を組み合わせて、逆質問を1本作ります。「この事業の利益率は全社平均より低いですが、どう変える計画ですか」のように、有報を読んだ人にしか出せない問いになります。