大東建託(1878)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、大東建託を受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「売上増の67%は本業外」です。

有報の数字(第52期)

売上高
1兆9,847億円
純利益
990億円
ROE
20.4%
従業員数(連結)
19,326人
従業員数(単体)
8,400人
平均年間給与(単体)
966万円
平均年齢
44.0歳
平均勤続年数
11.6年

出典:大東建託の有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

大東建託を受ける就活生は必ず読んでほしい。また、大東建託に勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたは大東建託の面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、大東建託株式会社 有価証券報告書 第52期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。

大東建託は、縮む賃貸住宅市場の中で、本業の外側から稼ぎを伸ばしている会社だ。

知っておきたいことは3つある。

市場は縮んだ。主要市場の賃貸住宅着工戸数は前年同期比13.5%減だったが、売上は7.7%増えた。

増収の中身は偏っている。売上増の67.2%は不動産開発事業で、本業の建設事業は減益だった。

会社が掲げる目標は資本効率ただ1つだ。ROE(株主から預かったお金で、1年にどれだけ利益を出したかの割合)20%を掲げ、達成した。

この記事では、会社が何に賭け、どこで稼ぎ、働く側から見て何が論点かを確かめる。

第1章 大東建託は何に賭けているのか

1-1. 会社が掲げる目標はROE 20%ただ1つ

有報の「目標とする経営指標」には、ROE 20%の1つしか書かれていない。売上目標でも利益額でもなく、資本効率に絞っている。当期はこの目標を達成した。

土台は、2024年度から2026年度の中期経営計画「グループ一丸 新たな挑戦」だ。最終年度の2026年度は、売上高2兆500億円、営業利益1,420億円を計画している。

重点テーマは「人的資本経営の推進」「強固なコア事業の確立」「新たな注力分野への対応」の3つだ。有報は人的資本経営を「計画の一丁目一番地」と位置づけている。

面接での使い方

志望動機で、目標を資本効率1本に絞る姿勢への共感を語れる。逆質問では「2026年度の計画の達成見込みと、その先の指標」を聞ける。

1-2. デベロッパーを取り込み、「管理戸数世界一」を狙う

賭けの中身は、買収による事業の広がりに表れている。有報によると、マンション開発や土地仕入れに強いデベロッパーを複数グループに迎え入れた。これでアパート中心から、商業施設・アパートメントホテル・物流施設まで扱える形になった。

さらに有報は「北米を起点に海外での不動産管理・販売を展開し、『管理戸数世界一』を目指す」と書く。グループ会社のケアパートナーは、住宅型有料老人ホームにも参入した。有報は、新規開設の費用が先に出ることも自ら開示している。

面接での使い方

志望動機で、物件の種類と地域を広げる動きに賭けを見ている、と語れる。逆質問では「取り込んだ会社との連携で、現場の仕事がどう変わったか」を聞ける。

1-3. 縮む市場で営業利益は伸びたが、本業の建設は減益

賃貸住宅着工が13.5%減った年に、営業利益は13.8%増えた。数字だけ見れば強い決算だ。

ただし、増収を作ったのは不動産開発事業だった。同事業の売上は186.5%増え、売上増の約3分の2を占める。投資用マンションと買取再販(中古物件を買い、改装して売る事業)が好調だった。

一方、本業の建設事業は、売上が伸びても利益が4.2%減った。稼ぎ頭の不動産開発事業は従業員が379人で、連結の約2%にすぎない。

面接での使い方

課題指摘として「本業の建設の採算をどう戻すか」を挙げられる。逆質問では「開発事業への依存を、会社はどう見ているか」を聞ける。

1-4. 稼ぎの土台は一括借上で、売上の半分超を占める

最大の収入源は一括借上事業収入の1兆654億円で、連結売上の53.7%にあたる。一括借上(サブリース)とは、オーナーが建てた賃貸住宅を会社が丸ごと借り上げ、入居者から家賃を受け取る仕組みだ。

建築請負は1回きりの取引だが、借上は契約が続く限り毎月収入が入る。数字から見ると、この会社は建設会社というより賃貸住宅の運営会社に近い。

面接での使い方

志望動機で「建てて終わりではなく、運営で稼ぐ点に惹かれた」と語れる。逆質問では「入居率を保つために現場が何をしているか」を聞ける。

1-5. 働く側の事実:平均年収966万円、勤続は短め

平均年間給与は965万円余りで、前期比5.2%増だった。平均年齢は44.03歳、平均勤続は11.57年である。この記事で比べた大手ゼネコンより勤続は短い。

平均年齢から勤続を引くと、入社時の平均は32.5歳になる。中途採用が多い組織だと読める。単体従業員8,400人のうち6,081人が建設事業で、中心は土地オーナーへの営業だ。

人件費は販管費の増加の55.1%を占めた。人的資本経営を掲げる方針と重なる。

面接での使い方

新卒として何を武器にするかを語る材料になる。逆質問では「中途入社者が多い中で、新卒に期待する役割」を聞ける。

第2章 賃貸住宅事業の収益構造

2-1. 建てて、借り上げる:フローとストックの2段構え

事業は2段構えだ。まず建設事業で、土地を持つオーナーに賃貸住宅を建てる提案をする。次に不動産賃貸事業で、完成した物件を借り上げて運営する。

一括借上物件が増えれば、賃貸の収入も積み上がる。当期は建設事業の利益が4.2%減ったが、不動産賃貸事業の利益は6.5%増えて全体を支えた。建てる収入が揺れても、運営の収入が下支えする構造だ。

面接での使い方

志望動機で、景気の波に強い収益の形に触れられる。逆質問では「建設と賃貸の間で、営業と管理はどう連携しているか」を聞ける。

2-2. 一括借上が背負うリスク

この仕組みには弱点もある。会社はオーナーに賃料を払う義務を負う。空室でも払うため、入居率が下がれば利益を圧迫する。有報も「入居率の維持向上」を方針に掲げる。

賃料の改定をめぐるトラブルは社会問題になり、2020年に賃貸住宅管理業法が施行され、勧誘時の説明義務が強まった。将来の賃料が保証されない点を、オーナーにどう説明するかが営業の質を左右する。

長期では人口減少も重い。長期ビジョン「DAITO Group VISION 2030」のテーマは「まちの活性化・地方創生」で、需要そのものを作る方向を示している。

面接での使い方

課題指摘として、入居率と説明責任を挙げられる。逆質問では「オーナーへの説明で、新人が最初に身につけること」を聞ける。

2-3. 不動産開発:売上2.86倍になった第3の柱

不動産開発事業の売上は514億円から1,473億円へ、2.86倍になった。セグメント利益率は12.58%と、4つの報告事業の中で最も高い。収益不動産事業の収入は約3倍に伸びた。中期経営計画も、この事業を「注力分野」として強化・拡大すると明記している。

ただし性格は他の2事業と違う。自社で物件を仕入れ、在庫として持ち、売る事業だ。市況が良ければ利益率は高いが、売れなければ資金が寝る。

面接での使い方

志望動機で、第3の柱への挑戦に関われる点を語れる。逆質問では「在庫と市況の変化に、どんな基準で向き合っているか」を聞ける。

大東建託の構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(本業の建設事業が減益/市場そのものが縮んでいる/不動産開発への依存とキャッシュフロー/勤続11.57年という組織)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。主要市場である賃貸住宅着工戸数が△13.5%と縮む中で売上1兆9,847億円(+7.7%)・営業利益1,352億円(+13.8%)、ROE 20.45%は5期連続18%超で建設・住宅業界トップ、ただし売上増1,423億円の67.2%は不動産開発事業(+186.5%)によるもので本業の完成工事高は+0.6%、建設事業のセグメント利益は△4.2%の減益、一括借上事業収入1兆654億円は連結売上の53.7%、金融事業49人の1人あたり利益は建設事業の18.4倍、営業CFは半減し財務CFは+372億円へ転じた、平均勤続11.57年は業界で最短——大東建託の構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 賃貸住宅事業の構造的課題——本業の建設事業が減益/市場そのものが縮んでいる/不動産開発への依存とキャッシュフロー/勤続11.57年という組織
  • 第3.5章 面接前に押さえる大東建託の最新ニュース10本——市場△13.5%・不動産開発2.86倍・第1四半期まで
  • 第4章 内定者の正体——「営業をやりたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収966万円の読み方と、建設・賃貸・開発・金融のキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続11.57年の意味、人的資本経営が一丁目一番地である理由
  • 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問8本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. 大東建託の平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第52期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は966万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. 大東建託の従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第52期)では、提出会社(単体)が8,400人、連結が19,326人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. 大東建託が金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。