サニーサイドアップ(2180)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、サニーサイドアップを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「最高益でも未達」です。
有報の数字(第40期)
- 売上高
- 196億円
- 純利益
- 9億円
- ROE
- 22.3%
- 従業員数(連結)
- 403人
- 従業員数(単体)
- 45人
- 平均年間給与(単体)
- 664万円
- 平均年齢
- 40.6歳
- 平均勤続年数
- 5.7年
出典:サニーサイドアップの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
※本記事の決算数字は、株式会社サニーサイドアップグループが提出した第40期(2024年7月1日〜2025年6月30日)有価証券報告書に基づきます(2026年7月執筆)。
この記事は、最低3回は読み返してほしい。
自ずと「なぜサニーサイドアップグループがこの決算になったのか」を自分の言葉で説明できるようになる。
そこまで来れば、面接で財務の話になったとき、面接官より深く踏み込める。
サニーサイドアップグループは、過去最高の決算を出しながら、自社の利益目標には届かないと有価証券報告書(会社が毎年出す公式の報告書。以下、有報)に書いている会社だ。
知っておきたいことは3つある。
2025年6月期の売上高は196億円で、前期比9.4%増だった。本業の利益である営業利益は16億円で、9.0%増だった。どちらも過去最高だ。
会社は2026年6月期に営業利益20億円を掲げていた。だが有報は、オフィス賃借料などの固定費が増えて届かないと認めている。
3つの事業の利益を足すと28億円になる。ここから本社の費用が引かれ、営業利益は16億円になる。
この記事では、この3点から、会社が何に賭け、どこに課題があるのかを確かめる。
第1章 サニーサイドアップグループは何に賭けているのか
1-1. 営業利益20億円の目標に、届かないと書いた
会社は2023年5月の中長期経営方針で、2026年6月期に連結営業利益20億円を掲げた。連結とは、子会社を含めたグループ全体という意味だ。
有報は、その最終年度の予想が目標に届かないと自分で書いている。理由は、方針を作ったときに想定していなかった本社と子会社のオフィス賃借料などの固定費増だ。
中身も書かれている。前期に改装した本社オフィスと、2024年12月に拡張移転した子会社ステディスタディのオフィスである。ステディスタディは業績が好調な子会社だ。
事業の目標もある。中核のブランドコミュニケーション事業は、売上成長率を3か年平均13%と置いた。販促や商品企画は案件ごとの受注の振れが大きい。そのためPRで安定的に受注を確保することが課題とされている。
志望動機では、未達を理由とともに書く会社の姿勢を挙げられる。逆質問では「オフィスへの投資は、いつ利益に戻る想定ですか」と聞ける。
1-2. セグメント利益28億円が、営業利益16億円になる
セグメントとは、会社が事業ごとに分けた区分のことだ。3つの事業の利益を合計すると28億円になる。だが連結の営業利益は16億円である。
差の約12億円は、主に全社費用で消えている。どの事業にも属さない、本社の管理部門などの費用だ。セグメント利益の43.7%が、全社費用として引かれる計算になる。
事業は伸びているが、固定費も同時に増えている。そのため営業利益の伸びが、売上の伸びに追いつききっていない。
課題指摘に使える。「過去最高益ですね」で止めず、「事業の利益28億円から全社費用を引くと16億円です」と数字で語れば、決算を読み込んだことが伝わる。
1-3. 15億円の投資枠は、人に配った
会社は2024年6月期からの3か年で、成長への戦略投資枠を総額15億円と設定した。対象は技術、人、業務のデジタル化の3領域だ。その中で人への投資に重点を置いた。
使い道は、新卒採用の継続、専門人材の獲得、職場環境の整備である。1-1と合わせると、人とオフィスにお金をかけた結果、利益目標に届かなかったという構図だ。
過去には、2023年9月に連結子会社3社を統合した。重複を減らす動きである。
そのうえで次の一手として、次期成長戦略の策定に着手した。既存事業の強化に、戦略的M&A(企業買収)を組み合わせると書いている。
逆質問に使える。「買収する場合、既存のPRの周辺ですか、別の領域ですか」と聞ける。志望動機では、28卒が入社する頃は新しい計画が動く時期だと触れられる。
1-4. 売上の8割強を、一つの事業が占める
ブランドコミュニケーション事業は、売上の82.8%、セグメント利益の96.2%を占める。実質的に一本足の会社だ。この事業の売上は12.3%増えた。強みは、企画力、メディアとのつながり、契約アスリートらの肖像権を使った自社コンテンツだ。
他の2事業は小さい。飲食のフードブランディング事業は、原材料費などの増加で利益が19.8%減った。新規事業のビジネスディベロップメント事業は、子会社の主力事業を切り替えた影響で売上が65.4%減った。
課題指摘に使える。「利益が一つの事業に集中しているので、残る2事業をどう育てるかが論点だと考えます」と話せる。
1-5. 会社自身が認める課題
有報の「対処すべき課題」には、収益力を上げる改革は進んでいるが、成長スピードに課題があると書かれている。さらに、市場からの評価を獲得することも課題だと認めている。
成長スピードと市場からの評価。この2つを、会社が自分の言葉で課題に挙げている。
逆質問に使える。「成長スピードの課題について、現場で一番の壁は何ですか」と聞ける。会社自身の言葉を引けば、課題指摘にも根拠が出る。
第2章 403人という規模
2-1. 連結403人、前期から43人増えた
2025年6月末の連結従業員数は403人で、前期末から43人増えた。有報は、主にブランドコミュニケーション事業の採用強化によるものと説明している。この事業の従業員は303人で、全体の大半を占める。
教育も広げている。生成AIなどを扱う専門教育プログラムに加え、メディア担当から営業職へ移る若手向けの教育を新設した。
注意したいのは、持株会社であるサニーサイドアップグループ(提出会社)が45人にとどまる点だ。連結子会社への出向者328人を除いた人数である。有報上は事業会社と別法人で、人事の数字も別に開示されている。
志望動機では、採用を強めて人が増えている点を挙げられる。逆質問では「応募先は持株会社と事業会社のどちらで、配属はどう決まりますか」と確認できる。
2-2. 理念と、広告とPRの違い
経営理念は「たのしいさわぎをおこしたい」だ。有報には、PR発想を軸にあらゆる手法で課題を解決し、新しい価値観をつくると書かれている。
有報は広告とPRの違いも説明している。広告は媒体の枠を金銭で買い、広告主の表現で訴える。PRは情報をメディアに発信し、記事や番組として第三者の視点で届けてもらう。
会社は、社会や環境に配慮した企業を認める国際認証「B Corp」も取得している。自社の実践が、クライアント支援の裏づけになる構造だ。
志望動機では、広告とPRの違いを自分の言葉で説明し、理念につなげられる。
サニーサイドアップの構造的課題と追い風は、3つに分けて第3章で扱う(事業ドメインは狭義のPRにとどまらない/3つの事業の役割分担/3か年15億円の戦略投資枠)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。売上195億8,700万円で9.4%増、営業利益15億9,700万円で9.0%増、すべての段階利益が過去最高。ただしセグメント利益の合計28億3,600万円に対し全社費用が12億4,000万円あり、中期目標の営業利益20億円には届かないと会社自身が書いている。ROE22.3%に対しPERは8.54倍。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 PR業界の構造——事業ドメインは狭義のPRにとどまらない/3つの事業の役割分担/3か年15億円の戦略投資枠
- 第3.5章 面接前に押さえるサニーサイドアップ最新ニュース10本——過去最高益、中期目標未達、大阪・関西万博PRまで
- 第4章 内定者の正体——「PRがやりたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収664万5,000円と平均勤続5.7年の読み方
- 第6章 働く環境の現実——取締役女性比率50%、連結管理職女性44.3%という組織
- 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生