スシロー(3563)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、スシローを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「海外の利益が国内を抜いた」です。

有報の数字(第11期)

売上高
4,296億円
純利益
229億円
ROE
26.9%
従業員数(連結)
11,720人
従業員数(単体)
333人
平均年間給与(単体)
893万円
平均年齢
41.3歳
平均勤続年数
3.7年

出典:スシローの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

スシローを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、スシローに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたは株式会社FOOD & LIFE COMPANIESの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、株式会社FOOD & LIFE COMPANIES 有価証券報告書 第11期(2024年10月1日〜2025年9月30日)に基づきます。

結論から言う。スシローは、国内の回転寿司の会社から、海外で稼ぐ会社へ軸足を移している。

知っておきたいことは3つある。

海外が、利益の面で国内に並び始めた。利益率(売上のうち本業で残る割合)は、海外が12.42%、国内が6.77%だ。直近の累計では、海外の利益が国内を上回った。

これから作る店の大半は海外にある。投資予定額は、海外が国内の3.9倍だ。国内では閉店も進んでいる。

働き方が国内と海外で大きく違う。国内はアルバイト中心で、海外は正社員中心で回している。

この記事では、会社の賭けとその裏付けを確かめ、面接で語れる論点を持ち帰る。

第1章 FOOD & LIFE COMPANIESは何に賭けているのか

1-1. 会社が掲げた目標は、一度作り直されている

会社は今、回転寿司を中核に1,198店舗(国内964店舗、海外234店舗)を展開している。

目標は、2026年9月期に売上4,850億円、営業利益405億円(本業の利益。営業利益率8.4%)だ。当期の実績は、売上4,295億円、営業利益360億円である。

この目標は、中期経営計画(2024年9月期〜2026年9月期)を見直して設定された。有報は、外部環境の変化と業績の動きを踏まえたと明記している。

目標の下には、3つの賭けがある。

国内の出店を、郊外から都市部へ切り替える

投資の大半を海外に振り向ける

効率化ではなく、店内調理の手間で商品力を上げる

3つ目は、外食チェーンとしては逆張りに見える。有報は、あえて手間をかけ、うまい部位を使うと書いている。

面接での使い方

志望動機で「計画を状況に合わせて作り直す会社に惹かれた」と言える。逆質問では、2026年9月期の目標に対する現在地を聞ける。

1-2. 賭けは投資額に表れている——海外は国内の3.9倍

戦略は、いくら出すと書いたかで本気度が分かる。有報には新設予定の店と投資額が並んでいる。

国内:21店舗、44億円

海外:83店舗、174億円

海外への投資額は、国内の3.9倍だ。

実績も同じ向きである。当期は国内30店舗、海外55店舗を新規出店した。一方で国内合計は972店舗から964店舗へ減った。

閉店が目立つのは、次の2ブランドだ。

京樽:117店舗から100店舗

回転寿司みさき・三崎丸:95店舗から87店舗

国内で進めているのは、増やすことではなく作り替えることだ。画面で寿司を選ぶ「デジロー」は、国内123店舗に入った。AIによる需要予測も、フードロス削減に使うと書かれている。

面接での使い方

課題指摘では「海外で開き、国内で閉じる動きをどう両立するか」を論点にできる。国内の作り替えにどう貢献できるかも語れる。

1-3. 国内の出店余地が尽きる前に、海外が稼ぎ頭になった

有報の中で最も率直な一文がある。会社は、国内の人口減少と出店余地の減少が予測されるため、都市部への出店を進めると書いている。

転換は数字に出ている。海外のセグメント利益(事業ごとの利益)は、71億円から163億円へ2.27倍になった。利益率は7.81%から12.42%へ上がり、国内の6.77%を上回った。

直近の2026年9月期第3四半期(累計)では、海外の利益204億円が、国内の172億円を上回った。

28卒が入社する2028年ごろは、海外の比重がさらに高い時期にあたる。

面接での使い方

志望動機では「海外で稼ぐ会社に入り、成長の中心で働きたい」と言える。最新ニュースの文脈としても使える。

1-4. 働く側の事実——国内はアルバイト、海外は正社員

連結の従業員は11,720人で、臨時雇用者(パート・アルバイト)は23,789人だ。臨時が正社員の2倍を超えている。

国内と海外では、雇用の形が違う。

国内スシロー:正社員2,023人、臨時19,840人

海外スシロー:正社員8,683人、臨時2,266人

従業員は前期末から2,742名増えた。有報は、主に海外の積極的な事業展開によるものと記している。

持株会社(提出会社)の従業員333人については、次の数字が開示されている。

平均年齢:41.3歳

平均勤続年数:3.7年

平均年間給与:892万7,507円

勤続が短く、人の入れ替わりや中途採用が多いと読める。ただし、これは持株会社だけの数字だ。

会社は人件費の上昇を、コストではなく人的資本への投資として捉えるとも書いている。

面接での使い方

逆質問では「国内のアルバイト中心の運営を、海外の正社員中心と比べてどう見ているか」と聞ける。志望動機では、人への投資という姿勢に触れられる。

第2章 外食業の収益構造

2-1. なぜ海外の利益率は国内の1.8倍なのか

この会社の最大の論点は、国内と海外の利益率の差だ。海外は国内の1.8倍である。

有報に直接の説明はない。数字から考えられる理由は次の2つだ。

海外は出店が続く成長局面にある。外部収益は42.6%伸びており、売上が伸びると固定費の負担が薄まり、利益率が上がりやすい。

運営の形が違う。国内はアルバイトで柔軟に人を配置し、海外は正社員を軸に回している。

同じ「スシロー」でも、稼ぎ方の仕組みは別物だ。

面接での使い方

課題指摘では「この差は成長局面の一時的なものか、構造的なものか」を問いにできる。自分の仮説を添えて逆質問にするのがよい。

2-2. 京樽の黒字転換——売上を追わず、採算を取る

もう1つの注目点が京樽事業だ。持ち帰り寿司の「京樽」と、回転寿司の「みさき」「海鮮三崎港」を運営している。

売上は減ったのに、赤字から黒字に変わった。セグメント利益は、マイナス3億円から0.6億円になった。

売上が減っているため、不採算店の整理など、採算を重視する動きが進んだと読める。第1章で見た17店舗の閉店とも合う。

直近の累計でも、売上は164億円と8.1%減る一方、利益は4億円まで増えている。

面接での使い方

課題指摘で「買収した事業の立て直しに、売上ではなく採算で貢献したい」と語れる。この黒字化が持続するかも、逆質問にできる。

2-3. 成長は速いが、財務の厚みは薄い

当期は、売上が19.0%伸び、営業利益率は6.48%から8.40%へ上がった。外食としては速い成長だ。

一方、財務は厚くない。総資産のうち自己資金が占める割合(親会社所有者帰属持分比率)は24.0%だ。前期の20.5%からは改善している。

店舗の賃借や設備投資が重く、成長には資金が要る。会社は、新型コロナの長期化に備えつつ、成長投資を続けるために借入を行ったと書いている。

面接での使い方

逆質問では「海外への投資を続けながら、財務の厚みをどう高めていくか」と聞ける。成長のスピードと財務の安全性を、両方見ている学生だと伝わる。

スシローの構造的課題と追い風は、3つに分けて第3章で扱う(国内の利益率6.77%と、人手の確保/海外への集中投資と、そのリスク/自己資本比率24.0%という財務)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。海外スシロー事業は外部収益+42.6%・利益2.27倍・利益率12.42%と急伸し、国内6.77%の1.8倍に。セグメント利益の増加額128億円の71.2%が海外でした。雇用構造も国内は正社員1人にアルバイト9.8人、海外は0.26人とまったく違い、臨時23,789人は正社員11,720人の203.0%です。そしてROE 26.9%は、財務レバレッジを9.1%下げながら達成されました——借金を減らしつつ収益性を上げた年です。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 外食業の構造的課題——国内の利益率6.77%と、人手の確保/海外への集中投資と、そのリスク/自己資本比率24.0%という財務
  • 第3.5章 面接前に押さえるスシローの最新ニュース10本——海外2.27倍・臨時9.8倍・中国100店舗まで
  • 第4章 内定者の正体——「寿司が好き」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——持株会社の年収893万円の読み方と、11,720人でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続3.7年、労働組合なし、臨時が正社員の2倍の意味
  • 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問8本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. スシローの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第11期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は893万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. スシローの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第11期)では、提出会社(単体)が333人、連結が11,720人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. スシローが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。