ネクソン(3659)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、ネクソンを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「日本の上場企業なのに、従業員の84.8%は韓国にいる」です。
有報の数字(第24期)
- 売上高
- 4,751億円
- 純利益
- 921億円
- ROE
- 8.9%
- 従業員数(連結)
- 9,834人
- 従業員数(単体)
- 233人
- 平均年間給与(単体)
- 910万円
- 平均年齢
- 40.1歳
- 平均勤続年数
- 8.1年
出典:ネクソンの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
ネクソンを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、ネクソンに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはネクソンの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社ネクソン 有価証券報告書 第24期(2025年1月1日〜2025年12月31日)に基づきます。
ネクソンは日本の上場企業だが、働く人も稼ぎも、ほぼ韓国にある会社だ。
知っておきたいことは3つある。
連結従業員の84.8%が韓国にいる。日本は2.4%の233人にすぎない。
売上収益は約4,751億円で前期比+6.5%。だが親会社の所有者に帰属する当期利益は約920億円で、前期より31.7%減った。
黒字は韓国(セグメント利益約1,329億円)と北米だけ。日本は約41億円の赤字だ。
この記事では、会社が何に賭けているのか、その賭けを誰が支えているのかを確かめる。
第1章 ネクソンは何に賭けているのか
1-1. 会社が決めた目標は「売上と営業利益」——賭けは2方向
有報によると、会社が重視する経営指標は売上収益と営業利益だ。ROEなどの目標は載っていない。目指す姿は「世界最高のゲーム会社」である。
2つは別の話ではない。当期の営業利益約1,240億円は、次のIPを生む原資でもある。
志望動機で「既存IPで稼ぎ、新規IPに賭ける2方向の戦略に共感した」と語れる。逆質問では、営業利益のうち新規IPへ回す考え方を聞ける。
1-2. IPは「作る」だけでなく「買って」きた
有報には、開発会社への出資や買収でIPを獲得していると書かれている。主力の『アラド戦記』は、2008年に買収したNEOPLE INC.が権利を持つ。稼ぎ頭の一つは、17年前の買収で手に入れたIPだ。
いまも同じ動きが続く。スウェーデンのEmbark Studios ABは「その他」の主要子会社で、連結子会社は36社ある。買収した会社の名前は、そのまま残っている。
志望動機で「作るだけでなく、買って育てる点に惹かれた」と言える。逆質問では、買収したスタジオとの連携の仕方を聞ける。
1-3. いまは投資期、2026年から回収期
NEXON Koreaは、2026年1月から12月にかけて設備投資を計画している。合計は約116億円で、資金はすべて自己資金だ。有報は、必要な資金水準を満たす流動性があると説明している。
回収も始まりかけている。2026年12月期の上期は、最終利益が前年同期の2倍になった。牽引したのは、Embarkの『ARC Raiders』である。
志望動機で「新規IPが当たり始めた局面で働きたい」と語れる。逆質問では、次に育てるIPの考え方を聞ける。
1-4. 韓国が売上の84.3%、日本は赤字
当期は増収だが減益だった。税引前当期利益は約1,404億円で、前期の約1,959億円から28.3%減った。当期は持分法による投資の減損損失(出資先の価値を切り下げた損失)約86億円も計上している。
地域別の差は大きい。韓国は売上の84.3%を占め、利益も約1,329億円ある。日本は売上の1.2%で、約41億円の赤字だ。日本・その他・中国の赤字は合計約137億円で、韓国の利益が吸収している。
課題指摘として「日本事業の赤字をどう縮めるか」を自分の貢献に結びつけられる。逆質問では、日本セグメントの黒字化の目標時期を聞ける。
1-5. 韓国8,342人と、日本233人
働く側の事実を並べる。連結従業員は9,834人で、うち韓国が8,342人。日本の提出会社は233人で、連結の2.4%にあたる。提出会社の平均年齢は40.1歳、平均勤続年数は8.1年、平均年間給与は約910万円だ。
提出会社に労働組合はない。一方、韓国子会社のNEOPLE INC.では、当期に長期のストライキが起きた。最終的に会社側の提案で合意している。有報は、影響は一部の新規開発タイトルの日程に限られ、サービスは止まらないと記す。
働く側の事実として、日本は少数精鋭の拠点だと理解を示せる。逆質問では、日本の233人が韓国の開発とどう協働しているかを聞ける。
第2章 ゲーム業界の収益構造
2-1. 「ライブ運用」という稼ぎ方——作って売るのではなく、育て続ける
ゲームの稼ぎ方は2つある。ソフトを売って終わる売り切り型と、配信後も更新を続けて長く稼ぐライブ運用型だ。ネクソンは後者に振り切っている。
有報は「業界トップクラスのライブ運用力」を自社の強みとする。面白いゲームを作り、育て続ける力を持つ企業は世界でも非常に稀だと、会社自身が書いている。
収益は積み上がりやすい。ただし、長く運用するほど仕様や歴史を知る人への依存が強まる。
志望動機で「作る力より育てる力に価値を感じた」と語れる。課題指摘では、人への依存をどう仕組みで支えるかを提案できる。
2-2. 潜在市場が「数億人」から「数十億人」へ
有報は、市場の変化をこう説明する。エンタメの中心が、受け身の体験から参加型の体験へ移った。さらにモバイルの進歩で、高性能PCがなくても遊べるようになった。
その結果、会社は潜在市場が数億人から数十億人規模に広がったと見ている。ただし広がっただけでは意味がない。PCで磨いた運用力を、モバイルでも発揮できるかが論点だ。
志望動機では、市場拡大の機会に自分がどう関わるかを語れる。逆質問では、PCで培った運用力をモバイルへどう移すかを聞ける。
2-3. PCオンラインが売上の70.6%
製品別の売上は、PCオンラインが約3,353億円で70.6%を占める。モバイルは約1,362億円で28.7%だ。スマホ主流と言われる時代でも、稼ぎの中心はPCである。
『アラド戦記』や『メイプルストーリー』は、PCで10年20年と運営されてきた。この長期運用の積み上げが、会社の言う運用力の中身だ。
課題指摘として「PCへの依存が高い点を、モバイルの伸びでどう補うか」を問える。志望動機では、長期運用型の事業に魅力を感じた理由と結びつけられる。
ネクソンの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(日本事業が赤字である意味/韓国への一極集中と、労使リスク/利益の振れ——前期比△31.7%をどう見るか/2026年12月期は上期で最終2倍——『ARC Raiders』が効いた)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。日本の上場企業なのに、従業員の84.8%は韓国にいる——ネクソンの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 ゲーム業界の構造的課題——日本事業が赤字である意味/韓国への一極集中と、労使リスク/利益の振れ——前期比△31.7%をどう見るか/2026年12月期は上期で最終2倍——『ARC Raiders』が効いた
- 第3.5章 面接前に押さえるネクソンの最新ニュース10本——韓国84.8%・日本は赤字・ARC Raidersまで
- 第4章 内定者の正体——「ゲームが好き」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収910万円の読み方と、233人でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——勤続8.1年、日本に組合なし、韓国のストライキが意味すること
- 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問8本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生