メルカリ(4385)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、メルカリを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「US事業が初の黒字に」です。
有報の数字(第13期)
- 売上高
- 1,875億円
- 純利益
- 144億円
- ROE
- 30.5%
- 従業員数(連結)
- 2,159人
- 従業員数(単体)
- 1,543人
- 平均年間給与(単体)
- 1,176万円
- 平均年齢
- 36.3歳
- 平均勤続年数
- 3.8年
出典:メルカリの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
メルカリを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、メルカリに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはメルカリの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
メルカリは、フリマアプリに金融と米国事業を重ねた会社で、直近1年は利益が大きく伸びた。
知っておきたいことは3つある。
稼ぎ頭はフリマの手数料だけではない。決済・カードなどの金融(Fintech)と米国事業も柱で、2025年6月期の売上収益は1,926億円(前年比+3%)だった。
利益は大きく伸びた。コア営業利益(会社が公表する本業の利益)は275億円(+46%)、純利益は261億円(+94%)で、3期連続の過去最高益だ。
働く側の事実として、平均年収は1,176万円、平均年齢は36.3歳、連結従業員数は約1,400名規模である。
この記事では、会社が何に賭け、どこに課題があり、面接で何を聞けるかを確かめる。
第1章 メルカリは何に賭けているのか
1-1. 会社が自分で決めた物差し——GMVとコア営業利益
有価証券報告書には、会社自身が掲げた目標指標が書かれている。それは「GMV(流通取引総額)及び売上収益の成長、また、コア営業利益などの指標を通じて、企業価値の向上を図って参ります」というものだ。
GMVはメルカリの売上ではなく、アプリ上で売買された金額の総額である。売上はその一部(手数料)にすぎない。取引が増えれば、手数料も決済も広告も伸びる。会社は「取引の量」を成長の軸に置いている。
2025年6月期のMarketplaceのGMVは前年比で約4%増えた。有報には、日本と米国では事業の成長段階が異なるとも書かれている。
志望動機で「GMVの成長にどう関わりたいか」を指標の言葉で語れる。逆質問では、日本と米国で成長段階がどう違うのかを聞ける。
1-2. 買収ではなく、米国事業の黒字化
有報には大型買収の記述が出てこない。この1年の最大の成果は、米国事業の黒字化だった。
セグメント利益は、前期の約53億円の損失から約7億円の利益に変わった。約60億円の改善である。手段は3つで、顧客1人あたりの採算(ユニットエコノミクス)の改善、マーケティング費用の効率化、固定費の見直しだ。
課題も残る。米国事業はGMVと月間利用者数の下落が続いており、黒字化と成長はまだ両立していない。2026年6月期は、GMVを反転させられるかが問われる。
課題指摘として「黒字化の次の論点は利用者の回復だ」と言える。逆質問では、日本と米国で1人あたりの採算構造に何が違うのかを聞ける。
1-3. 伸びているのは金融(Fintech)
Fintechの売上は506億円(+15%)、コア営業利益は45億円(+479%)だった。背景には、メルカードの会員が500万人を超えた(2025年7月)ことと、後払い・融資サービスの債権残高の拡大がある。
後払いや融資は、貸したお金が戻らないリスクを伴う。会社はAIによる与信管理で、債権回収率99.22%を保っている。金融に踏み込んだ分、管理の力が事業の前提になる。有報にも、内部監査・法務・財務・経理・情報セキュリティの専門人材を採用する方針が明記されている。
志望動機で、決済や与信側に関わりたい理由を語れる。逆質問では、与信の精度をどう保っているかを聞ける。
1-4. 利益は急増、売上の伸びは鈍い
売上が+3%だったのに対し、コア営業利益は+46%、純利益は261億円(+94%)と大きく伸びた。上場時は赤字だった会社が、約7年で年261億円を稼ぐ規模になった。
一方で、売上の伸びは会社が目標とした10%に届かなかった。業績予想(2,000〜2,100億円)も下回っている。利益は出たが、売上の成長は鈍っている。これが市場の評価の分かれ目になっている。
課題指摘として「利益の改善は進んだが、売上成長は目標に届いていない」と整理できる。逆質問では、売上成長を再加速させる計画を聞ける。
1-5. 次の一手——AI-Native Company
2025年8月の決算発表で、山田CEOは「AI-Native Company」への転換を打ち出した。AIを足すだけでなく、AIを前提に組織とプロダクトを作り直す宣言である。
2026年6月期の予想は、売上収益2,000〜2,100億円、コア営業利益280〜320億円だ。施策には、AIによるUI/UXの強化、メルカードのメインカード化、コインチェックとメルコインの協業、エンタメ・ホビーを軸にした越境取引の強化が並ぶ。
志望動機で、AI-Nativeの中のどの取り組みに関わりたいかを具体的に語れる。逆質問では、予想の幅(上限と下限)を分けるものは何かを聞ける。
第2章 業界比較——楽天・LINEヤフー・DeNAとの立ち位置
2-1. 働く側の事実——年収は高く、組織は若い
メルカリは年収で、並べた競合を上回っている。要因として、ストックオプション制度の充実、エンジニア・PMの高待遇、グローバル水準を意識した報酬体系が挙げられる。
志望動機で、報酬と成長環境を理由に挙げるときの根拠になる。逆質問では、職種ごとの報酬の決まり方を聞ける。
2-2. 規模は小さいが、フリマでは独走
課題指摘として「規模で上回る相手が同じ領域に来たとき、どこで差をつけるか」を論点にできる。逆質問では、その差別化の考え方を聞ける。
メルカリの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(### 追い風——循環型消費の社会的トレンド/### 追い風——インバウンド経済と越境取引/### 構造的課題——US事業のGMV反転/### 構造的課題——CtoCの成長鈍化)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題と追い風——### 追い風——循環型消費の社会的トレンド/### 追い風——インバウンド経済と越境取引/### 構造的課題——US事業のGMV反転/### 構造的課題——CtoCの成長鈍化
- 第3.5章 押さえておくべきメルカリ最新ニュース
- 第4章 内定者の正体——選考プロセス分析
- 第5章 職種別キャリア分析
- 第6章 働く環境の現実
- 第7章 面接攻略——有報を使った回答例と逆質問
- 第8章 やましゃんの総合評価