リクルート(6098)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、リクルートを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「稼ぎ頭はIndeed」です。
有報の数字(第66期)
- 売上高
- 3兆6,974億円
- 純利益
- 4,969億円
- ROE
- 31.0%
- 従業員数(連結)
- 45,586人
- 従業員数(単体)
- 130人
- 平均年間給与(単体)
- 1,162万円
- 平均年齢
- 40.2歳
- 平均勤続年数
- 9.3年
出典:リクルートの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
リクルートホールディングスを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、リクルートホールディングスに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはリクルートホールディングスの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
リクルートは、日本の人材会社の顔をした「米国Indeed(インディード)の親会社」である。
知っておきたいことは3つある。
売上の約半分は海外、特に米国のIndeedで稼がれている。「9割は日本」と思われがちだが、実態は違う。
2025年3月期の売上収益は3兆5,574億円(前年比+4.1%)。営業利益は4,905億円(+21.9%)で、過去最高だった。
働く側の事実として、平均年収は1,145万円(平均年齢40.5歳)、中途採用比率は約82%である。
この記事では、リクルートが何に賭け、どこに課題があり、同業の中でどこに立つのかを確かめる。
第1章 リクルートホールディングスは何に賭けているのか
1-1. 会社の物差しは「1分あたりの採用者数」
有価証券報告書(有報)は、会社が株主向けに出す年次報告書だ。そこに、採用の進み具合を測る物差しがこう書かれている。
「採用プロセスの効率化の進捗度合いを表す指標は、Indeed上における1分当たりの平均採用者数であると考えています」
売上や利益ではなく、1分間に何人が仕事に就いたかを見ている。
戦略名は「Simplify Hiring」、つまり採用をかんたんにすることだ。採用にかかる時間とコストを減らすこと自体が目的であり、指標と戦略は一致している。手段はAIで、有報には「マッチングの更なる効率性向上と高速化に注力」とある。
志望動機で「売上でなく採用の速さを物差しにしている点に、事業への本気を感じた」と語れる。
1-2. 買った会社が、グループの中核になった
有報は、M&A(企業買収)の中心をHRテクノロジー事業だと明記している。投資の判断基準も書かれている。
「個別の投資案件の実行の是非を判断する際には、資本コストを上回るハードルレートを適用する」
ハードルレートとは、「この利回りを超えないなら投資しない」という最低ラインのことだ。資本コストは、株主や債権者が求める利回りを指す。
IndeedとGlassdoorは、どちらも買収した会社だ。それがいまグループの中核になっている。
買って終わりでもない。日本ではタウンワークやリクナビNEXTに蓄積したデータと、Indeedの技術を組み合わせた求人配信基盤「Indeed PLUS」を展開している。買った技術で、元からあった事業を作り替えている。
逆質問で「ハードルレートを資本コストの上に置くとのことですが、Indeed買収当時はどう判断したのですか」と投資の基準に踏み込める。
1-3. 3つのSBUと「世界のRecruit」
事業は3つの戦略ビジネスユニット(SBU)に分かれ、それぞれに統括会社が置かれている。
・HRテクノロジー(Indeed、Glassdoor、Indeed PLUS)
・人材派遣
・マーケティング・マッチング・テクノロジー(MMT:ホットペッパー、じゃらん、スタディサプリなど)
会社は、HRテクノロジーと人材派遣を一体で運営すると明言している。2026年3月期からは日本の人材領域がMMTに移り、区分が見直された。
利益の柱はIndeedで、営業利益の過半を米国本社のIndeedが稼ぐ構造だ。扱う求人は2,000万件以上にのぼる。
志望動機で「3つのうち自分が関わりたいのはここだ」と事業を区別して話せば、準備の深さが伝わる。
1-4. 利益は伸びるが、売上は伸びていない
2026年3月期の第3四半期累計は、売上収益が+1.5%、営業利益が+21.1%だった。通期予想(上方修正後)の営業利益は5,906億円(+20.4%)である。
売上の伸びを超えて利益が伸びた要因は、3つとされている。Indeedの収益化施策、Glassdoorの統合効果、コスト削減だ。収益化施策の代表が「Premium Sponsored Jobs」で、有料求人広告の効果を高める機能をまとめたものである。
米国Indeedの売上は四半期で13.3億ドル(+5.8%)。ただし米国の求人需要は、緩やかな減少が続く見通しだ。人材派遣も、欧米の売上は▲3.9%と鈍っている。
ROE(株主のお金でどれだけ利益を出したかを示す率)は31.0%で、前期の22.6%から上がった。
課題指摘として「売上の伸びが小さいなか、利益に頼る構造をどう変えるのか」を逆質問にできる。
第2章 業界比較——パーソル・パソナとの立ち位置
2-1. 国内の同業と並べる
リクルートHDの売上は、パーソルHDの約2.7倍ある。平均年収はリクルートHDの1,145万円に対し、パーソルHDは約700万円、パソナGは約650万円である。
同じ人材サービスでも、規模と働く側の待遇には差がある。
「なぜ同業ではなくリクルートか」を問われたとき、国内で比べる軸の一つとして使える。
2-2. 世界の中での立ち位置
世界で見ると、リクルートHDはADP(米)、Randstad(蘭)、Adecco(瑞)と並ぶ主要プレイヤーの一角を占める。Indeedは、ZipRecruiter、LinkedIn(Microsoft傘下)と並ぶ世界3大求人プラットフォームのひとつだ。
比べる相手は、国内の人材会社だけではない。
志望動機で「競合を国内でなく世界で見ている会社だから受ける」と語る根拠になる。
リクルートの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(### 追い風——HRテックのグローバル成長/### 追い風——日本の労働力不足/### 構造的課題——米国求人需要の減速/### 構造的課題——欧米人材派遣の停滞)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題と追い風——### 追い風——HRテックのグローバル成長/### 追い風——日本の労働力不足/### 構造的課題——米国求人需要の減速/### 構造的課題——欧米人材派遣の停滞
- 第3.5章 押さえておくべきリクルートHD最新ニュース
- 第4章 内定者の正体——選考プロセス分析
- 第5章 職種別キャリア分析
- 第6章 働く環境の現実
- 第7章 面接攻略——有報を使った回答例と逆質問
- 第8章 やましゃんの総合評価