アマダ(6113)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、アマダを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「「過度に積み上がった自己資本」。5年で1,500億円を自社株買いに使う。」です。

有報の数字(第88期)

売上高
4,374億円
純利益
306億円
ROE
5.8%
従業員数(連結)
9,872人
従業員数(単体)
2,842人
平均年間給与(単体)
742万円
平均年齢
44.6歳
平均勤続年数
18.5年

出典:アマダの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

アマダを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、アマダに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはアマダの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、株式会社アマダ 有価証券報告書 第88期(2025年4月1日-2026年3月31日)、および2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月6日公表)に基づきます。

アマダは、M&A(他社の買収)とデータセンター需要に賭けて売上を伸ばした。だが本業のもうけは減っており、この差をどう埋めるかが最大の論点だ。知っておきたいことは3つある。

第88期は、売上が10.3%増えたのに、本業のもうけ(営業利益)は8.7%減った。

会社自身が有報に「過度に積み上がった自己資本」と書き、5年で1,500億円の自社株買い(会社が自分の株を買い戻すこと)を掲げた。

28卒が入社する2028年は、2030年度に営業利益730億円を目指す中期経営計画の3年目にあたる。

この記事では、増収減益の理由、会社が賭けている事業、お金の使い道の3点を確かめる。

第1章 アマダは何に賭けているのか

1-1. 2030年度に会社が掲げた目標

アマダは、金属の板をレーザーで切り、曲げ、つなぐ機械のメーカーだ。配電盤やサーバーラックも、この工程を通る。

2026年に創業80年を迎え、会社は理念を作り直し、数値目標を置いた。2030年度に売上5,200億円、ROE10%以上である。

ROEとは、株主から預かった資本で、どれだけ利益を出せたかを示す指標だ。会社が自分で決めた目標として、ここに残している。

現在地は、営業利益448億円、ROE5.8%だ。営業利益を大きく増やし、ROEをほぼ倍にする計画になる。

面接での使い方

志望動機では「大きな目標を掲げた変革期に関わりたい」と語れる。逆質問では、448億円と目標との差をどの事業で埋めるのかを聞ける。

1-2. 賭けの中身は、大型M&A 2件

前の中期経営計画(2023〜2025年度)で、会社は成長投資の資金を使い、大型M&Aを2件まとめた。半導体基板に穴をあける機械のメーカーと、総合プレス機械メーカーだ。

効果は数字に出ている。プレス部門の売上は前期の約2.2倍になった。「その他」に入った穴あけ機メーカーも、前期はほぼ不動産賃貸だけだったところから大きく伸びた。

売上全体は、目標の4,000億円を超えて4,373億円になった。一方、既存の金属加工機械事業は1.1%減っている。この2つがなければ、この期は減収だった。

面接での使い方

志望動機では「買った事業を育てる段階に自分も関わりたい」と言える。課題指摘では、既存事業が伸び悩んでいる点を挙げられる。

1-3. 増収なのに減益だった理由

増収の理由は、有報に明記されている。M&Aの寄与と、AIの普及に伴うデータセンター関連の投資だ。

減益の理由も書かれている。米国の関税と人件費の上昇である。営業利益率は、前期の12.4%から10.2%に下がった。

ROEも、前期の6.2%から5.8%に下がった。前中期経営計画の総括で、会社は営業利益率とROEが目標未達だったと認めている。

原因として、会社自身が「新商品の展開の遅れ」と「営業・生産拠点の合理化及び最適化の遅れ」を挙げた。遅れを自分で2つ指摘している点が、この会社の特徴だ。

面接での使い方

課題指摘で「増収でも利益率が下がっており、拠点の合理化が鍵だと理解した」と話せる。自分の貢献につなげやすい論点だ。

1-4. 組織を6つの事業に作り替える

中期経営計画2030の重点の1つ目は、組織の作り替えだ。事業・地域・機能を掛け合わせた「ビジネスユニット制」を入れ、権限と収益責任をはっきりさせる。製造・営業・サービス拠点の統廃合も進める。

事業は6つのユニットに分かれた。安定収益を重視する「基盤事業」が1つ、市場の成長性を重視する「成長牽引事業」が2つある。

残る3つ(切削、研削盤、プレス)は、収益性と成長性の改善が必要な「変革事業」だ。6つのうち半分が、改善を求められている。

面接での使い方

逆質問で「変革事業の3つは、最初の2年で何を変えるのか」と聞ける。志望する事業がどの分類かを調べておくと、話が具体的になる。

1-5. 直近の第1四半期は営業利益が大きく伸びた

2027年3月期の第1四半期(2026年4〜6月)は、営業利益が前年同期比で84.0%増えた。国内は人手不足による自動化需要、海外はAI・データセンター関連の需要が支えた。

営業利益は、増収と円安に加え、製造合理化などの取り組みが寄与した。合理化の効果が、すでに出始めている。

ただし通期の予想は据え置かれ、営業利益は480億円のままだ。

面接での使い方

最新ニュースの文脈として話せる。逆質問では「第1四半期が好調でも通期予想を据え置いた理由」を聞ける。

第2章 金属加工機械メーカーの収益構造

2-1. 需要の中身は、4地域すべてでデータセンター

板金機械の需要は、有報の地域別の説明で分かる。日本ではデータセンター向けの配電盤やサーバーラックが堅調で、北米はデータセンターとインフラ向けが活況だ。

欧州では防衛やインフラ向けが牽引した一方、ドイツやフランスなどは苦戦した。アジアも全体では慎重だが、中国、インド、ベトナムではデータセンター向けが堅調だった。

サーバーラックも配電盤も、金属の板でできている。AI向けのデータセンターが世界で建つほど、その筐体を作る工場が板金機械を買う。

面接での使い方

志望動機として「AI投資の波が、製造現場の機械需要に届く構造に魅力を感じた」と語れる。需要が地域でばらつく点も、課題として添えられる。

2-2. 「直販・直サービス」を、売って終わりから変える

アマダは長く、代理店を介さず、自社で売り、自社で保守する体制を敷いてきた。有報が繰り返し挙げる強みだ。

中期経営計画2030は、この体制を次の収益源にしようとしている。AIによる加工課題の提案、稼働監視、予知保全などを通じ、機械を売って終わりにしない事業への転換だ。

直販だからこそ、顧客の現場のデータが自社に集まる。それが新しいサービスの土台になる。

面接での使い方

志望動機で「機械を売る会社から、工場の稼働を支える会社への転換に関わりたい」と言える。逆質問では、サービス収益をどう伸ばすかを聞ける。

2-3. 5年のお金の使い道は、自社株買いで資本を減らす

財務方針には、金額まで書かれている。5年間で約3,500億円の現金を稼ぎ、手元の現預金も活用して、成長投資に1,500億円、株主還元に2,500億円を配る。

株主還元の柱が、冒頭の自社株買い1,500億円だ。目的は、自己資本を5,000億円未満に適正化することにある。

配当と自社株買いを合わせた総還元は、利益の120%程度を予定している。稼いだ利益の1.2倍を株主に返す計算だ。

利益を増やすだけでなく、資本も減らしてROE10%以上を目指す。これがこの会社の設計である。

面接での使い方

課題指摘と逆質問に使える。「成長投資より株主還元が大きい配分で、若手に任される投資の機会は増えるのか」と聞ける。

アマダの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(営業利益率10.2%を14.0%にする/主力事業が減収である/「変革事業」が6BUのうち3つある/自己資本を減らすという方針)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。売上収益が10.3%増えたのに営業利益が8.7%減った理由が、米国の関税影響と人件費上昇にあること。増収を作ったのが半導体基板穴あけ機メーカーと総合プレス機械メーカーという大型M&A2件で、主力の金属加工機械事業は1.1%の減収だったこと。前中期経営計画が「売上目標4,000億円は超過達成、営業利益率とROEは未達」で終わったこと。そして会社自身が「過度に積み上がった自己資本」と書き、5年で1,500億円の自己株式取得を掲げたこと。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 アマダが抱える構造的課題——営業利益率10.2%を14.0%にする/主力事業が減収である/「変革事業」が6BUのうち3つある/自己資本を減らすという方針
  • 第3.5章 面接前に押さえるアマダの最新ニュース10本——中期経営計画2030、BU制への移行、監査等委員会設置会社への移行まで
  • 第4章 内定者の正体——「ものづくりの現場を支えたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収7,415,000円の読み方と、連結9,872人・単体2,842人の組織でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——平均年齢44.6歳・勤続18.5年の読み方、女性役員比率15.4%、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. アマダの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第88期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は742万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. アマダの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第88期)では、提出会社(単体)が2,842人、連結が9,872人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. アマダが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。