FUJI(6134)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、FUJIを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「工作機械事業は営業赤字」です。
有報の数字(第80期)
- 売上高
- 1,806億円
- 純利益
- 157億円
- ROE
- 7.0%
- 従業員数(連結)
- 3,132人
- 従業員数(単体)
- 1,771人
- 平均年間給与(単体)
- 833万円
- 平均年齢
- 44.2歳
- 平均勤続年数
- 19.8年
出典:FUJIの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
FUJIを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、FUJIに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはFUJIの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社FUJI 有価証券報告書 第80期(2025年4月1日-2026年3月31日)、および2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月3日公表)に基づきます。
結論から言う。FUJIは工作機械の会社ではなく、電子部品実装ロボットの会社であり、AIサーバー向けの需要で業績が大きく伸びている。
知っておきたいことは3つある。
売上の93.4%はロボットソリューション事業が占める。工作機械にあたるマシンツール事業は、この期は営業赤字だった。
売上の90.8%は海外である。国内は1割に満たない。
2027年3月期の通期予想は、中期経営計画(会社が自分で決めた3か年の目標)の最終年度目標を上回っている。
この記事では、会社が何に賭けているか、その賭けがどこまで数字に表れているか、残る課題は何かを確かめる。
第1章 FUJIは何に賭けているのか
1-1. 会社が賭けているのは半導体の後工程
FUJIが掲げるビジョンは、「半導体後工程チェーンにおけるFAブランドとして業界No.1へ」だ。FAとは工場の自動化のことである。パーパス(存在意義)には「製造・介護・物流」の分野が並ぶ。工作機械メーカーの言葉ではない。
後工程とは、半導体を切り出して基板に載せ、封止する工程をいう。この会社が軸に置くのは、次の2つの装置だ。
マウンター:電子部品を基板に載せる装置
ダイボンダ:半導体チップを基板に接合する装置
志望動機で「半導体後工程でNo.1を掲げる点に引かれた」と、会社の賭け先を自分の言葉で言える。
1-2. 賭けは数字に出ている——売上が41.8%伸びた
第80期(2026年3月期)の売上高は1,806億円で、前期より41.8%増えた。営業利益(本業の儲け)は292億円である。
有報が挙げる理由は、AIサーバー関連の設備需要だ。タイとインドを中心としたアジアで、需要が高水準で推移したと書かれている。
最新の追い風として「AIサーバー向けの需要が業績を押し上げた」と語れる。この需要がどこまで続くと見ているかは、逆質問にできる。
1-3. 海外売上比率90.8%——ほぼアジアの会社
売上に占める海外の割合は90.8%である。アジア(中国・タイ・他アジア)だけで70.1%を占める。
国内は9.2%にとどまる。国内売上は増えているが、海外がそれ以上に伸びたため、海外比率はさらに上がった。
売上の9割が海外という事実を、志望動機の前提に置ける。国内の1割をどう育てるかは、逆質問になる。
1-4. 中期経営計画の目標を、予想で超える
中期経営計画の最終年度は2027年3月期だ。目標は売上高2,110億円、営業利益436億円で、ROE 11%以上も掲げている。ROEは、株主から預かった資本でどれだけ利益を出したかを示す指標である。
2026年8月3日に公表された通期予想は、売上高2,440億円、営業利益600億円だ。どちらも目標を上回る。配当は前期の年間90円から、190円の予想に増えた。
一方、第80期のROEは7.0%で、目標の11%以上とは差がある。
「目標を上回る予想の中で、ROE 11%以上をどう実現するのか」を逆質問にできる。会社自身が掲げた指標を使うため、質問の根拠が明確だ。
第2章 電子部品実装という事業の構造
2-1. AIサーバーが需要を作っている
AIサーバーには、GPUやメモリを載せた基板が大量に使われる。その基板に部品を載せる装置が、FUJIのマウンターだ。ダイボンダを含む半導体関連の設備需要も伸びたと、有報は書いている。
今後の見通しとして、会社はAI関連やデータセンター需要の増加、自動車の電動化・高度化を挙げている。
「AIサーバーとデータセンターの需要を、実装機とダイボンダで取り込む会社」と説明できる。事業の成長性を語る志望動機の根拠になる。
2-2. マシンツール事業は赤字でも続ける
マシンツール事業の売上は97億円で、全体の5.4%にすぎない。営業損失は1億円で、前期は黒字だった。自動車関連の設備需要が低調で、とくに北米の販売数量が大きく減ったためである。
会社は撤退ではなく、強化の方針を示している。強みとするのは「ターンキーソリューション」だ。機械単体でなく、治具や工具、プログラムまで含め、「鍵を回せば動く」状態で納める方式である。
赤字事業をどう立て直すのかは、課題指摘と自分の貢献につなげやすい。「規模ではなく黒字化が目標と読んだが、何が変われば黒字になるのか」と逆質問できる。
2-3. 働く側の事実——長く勤める会社
連結の従業員は3,132人。そのうち提出会社(単体)が1,771人である。連結の内訳は、ロボットソリューション事業が2,563人、マシンツール事業が282人だ。
提出会社の平均年間給与は833万円、平均年齢は44.2歳、平均勤続年数は19.8年である。研究開発は「主に当社にて」行うと書かれており、開発は本体に集約されている。
「勤続19.8年」を根拠に、長く働く前提で志望動機を語れる。開発が本体に集まる点を踏まえ、「若手が開発にかかわる場面」を逆質問にできる。
FUJIの構造的課題と追い風は、5つに分けて第3章で扱う(売上の93.4%が1つの事業に集中している/5期で売上が1,271億円まで落ちた履歴がある/マシンツール事業の黒字化/海外90.8%に対し、人と開発は日本にある/ROE7.0%と、目標11%以上)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。社名から工作機械メーカーと思われがちなこの会社で、マシンツール事業が1億円の営業損失であり、売上構成比も5.4%にすぎないこと。実体は電子部品実装ロボットの会社で、ロボットソリューション事業が売上の93.4%・営業利益の99.7%を占めること。海外売上比率90.8%で、うちアジアが70.1%を占めること。ROE7.0%への上昇が総資産回転率の34.4%改善によるもので、財務レバレッジ1.159倍・自己資本比率83.5%はDMG森精機と対極にあること。そして通期予想が中期経営計画の最終年度目標を売上330億円・営業利益164億円上回り、配当は90円から190円へ2.1倍になること。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 FUJIが抱える構造的課題——売上の93.4%が1つの事業に集中している/5期で売上が1,271億円まで落ちた履歴がある/マシンツール事業の黒字化/海外90.8%に対し、人と開発は日本にある/ROE7.0%と、目標11%以上
- 第3.5章 面接前に押さえるFUJIの最新ニュース10本——マシンツールの赤字、AIサーバー需要、中計超過、配当2.1倍まで
- 第4章 内定者の正体——「工作機械で世界を支えたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収832万円(+11.9%)の読み方と、連結3,132人・単体1,771人という組織
- 第6章 働く環境の現実——平均年齢44.2歳・勤続19.8年の読み方、女性役員比率33.3%、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——志望動機3つの型、課題回答2パターン、逆質問7本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生