オーエスジー(6136)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、オーエスジーを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「世界No.1の穴あけ工具メーカーが、通期の営業利益予想を220億円から300億円へ引き上げた」です。

有報の数字(第113期)

売上高
1,606億円
純利益
143億円
ROE
8.3%
従業員数(連結)
7,563人
従業員数(単体)
1,854人
平均年間給与(単体)
702万円
平均年齢
44.5歳
平均勤続年数
19.7年

出典:オーエスジーの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

オーエスジーを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、オーエスジーに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはオーエスジーの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、オーエスジー株式会社 有価証券報告書 第113期(2024年12月1日-2025年11月30日)、および2026年11月期第2四半期決算説明資料(2026年7月公表)に基づきます。

オーエスジーは、5期ほぼ動かなかった収益力が急に上向き、会社が通期の利益予想を大きく引き上げた局面にある。

知っておきたいことは3つだ。

会社が掲げる目標は「世界No.1の穴加工切削工具メーカー」である。買収を重ねて、地域と製品のバランスを作ってきた。

ROE(株主の元手に対する利益の割合)は、5期とも7.7〜10.7%の範囲にとどまっていた。ところが2026年7月に、通期の営業利益予想が大きく引き上げられた。

好調の裏には、円安と、売値と材料コストの反映時期のずれがある。原材料のタングステンは、中国の輸出規制の影響も受ける。

この記事では、会社が何に賭けているか、その賭けが数字にどう出ているか、利益を支える構造と弱点はどこかを確かめる。

第1章 オーエスジーは何に賭けているのか

1-1. 3つの賭け——世界No.1、4地域、そして工場

オーエスジー(OSG)は、金属に穴をあけたりねじを切ったりする切削工具の会社だ。タップ、ドリル、エンドミルなどを作っている。

1つ目の賭けは、中期経営計画が掲げる「世界No.1の穴加工切削工具メーカー」になることだ。

2つ目は、4地域体制である。この会社の事業区分は製品別ではなく、日本・米州・欧州およびアフリカ・アジアの地域別だ。連結従業員7,563人のうち、日本以外は4,356人で、全体の57.6%にあたる。

3つ目は、工場である。2025年11月期は、建物及び構築物が前期末比で69億円増えた。大池工場の第Ⅰ期工事が完成し、OSGグラインドテックとドイツでも新工場を建てている。

面接での使い方

志望動機で、「世界No.1を掲げ、地域と工場に投資している点に惹かれた」と根拠つきで言える。逆質問では、新工場が動き出した後の姿を聞ける。

1-2. M&Aで作った「バランス」

会社は中期経営計画の資料で、こう書いている。「M&A戦略により、地域・製品両面で安定的かつ均衡の取れた事業ポートフォリオを実現」。ポートフォリオとは、事業の組み合わせのことだ。

2020年11月期の地域別の売上構成は、日本が41%だった。製品別でも、タップに偏らない構成になっている。どの地域にも、どの製品にも寄りすぎていない。

資料は、この形を戦略の結果だと説明している。タップの会社が、ドリルとエンドミルを揃え、海外に拠点を広げてきたという流れだ。会社自身が書いている以上、偶然ではない。

面接での使い方

志望動機で、「買収で弱い領域を埋めてきた会社」と語れる。逆質問では、次に埋めたい地域や製品を聞ける。

1-3. 横ばいだった収益力が、上半期で跳ねた

ROEは、5期にわたって7.7〜10.7%で動かなかった。まず、この「動かなさ」を押さえておきたい。

2025年11月期の営業利益率は12.7%だった。売上に対する本業の利益の割合である。

ところが、2026年11月期の上半期(2025年12月〜2026年5月)は様子が違う。営業利益は156億円で、前年同期から65.1%増えた。ROEも13.4%まで上がっている。

4地域すべてが伸びた。最も利益率が低かった欧州・アフリカが、最も大きく伸びている。

2026年7月には、通期の営業利益予想が220億円から300億円に引き上げられた。実現すれば、営業利益率は16.2%になる。前提の為替レートも円安方向に直されており、円安が業績を押し上げる面がある。

面接での使い方

課題指摘では、「5期動かなかったものが動き始めた。これが定着するかが論点だ」と言える。逆質問では、円安や価格改定の影響を除いた実力をどう見ているか聞ける。

1-4. 配当方針が変わった

決算説明資料によると、2026年11月期から、配当の決め方が変わった。配当性向45%以上、または株主資本配当率(DOE)3.5%の、高いほうを配当額とする。

配当性向は、利益のうち配当に回す割合だ。DOEは、自己資本に対する配当の割合である。利益が減った年でも、DOEが下限として働く。

2026年11月期の通期配当予想は115円で、88周年記念配当を含む。

面接での使い方

逆質問で、「利益が伸びた後の資金を、配当と工場投資にどう配分するか」を聞ける。会社自身が掲げた方針なので、質問の根拠にしやすい。

1-5. 働く側の数字

2025年11月30日現在の従業員数は、連結で7,563人、提出会社単体で1,854人だ。

平均年齢は44.5歳、平均勤続年数は19.7年、平均年間給与は約702万円である。この勤続年数は、有報で比べた機械系4社の中で最長だ。

長く勤める人が多い会社だと、数字から読める。

面接での使い方

志望動機で、長く働ける環境を数字つきで語れる。課題指摘では、平均年齢の高さを踏まえて、若手として何を担いたいかを言える。

第2章 切削工具メーカーの収益構造

2-1. 「消耗品」だから、5期連続で増収

切削工具は、使えば刃先が減って交換される。顧客の工場が動き続ける限り、注文が続く。

そのため、売上の振れは装置メーカーより小さい。オーエスジーの売上は、5期連続で増えた。一度も減っていない。

その代わり、伸びは緩やかだ。装置メーカーのような倍増はない。

面接での使い方

志望動機で、「景気に左右されにくい消耗品の強さ」を語れる。課題指摘では、伸びが緩やかな中で、成長をどう作るかを論点にできる。

2-2. 地域別に分ける意味

切削工具は、現地の製造業に売る商品だ。自動車工場や航空機工場のある場所に需要があるため、地域ごとに営業も生産も持つ。地域を分けておけば、片方が落ちても全体が耐えられる。

上半期の地域別の利益率には、差がある。欧州・アフリカの10.2%から、アジアの17.3%まで開いている。この差が、地域別に管理する理由だ。

面接での使い方

逆質問で、「利益率の低い欧州・アフリカをどう引き上げるか」を聞ける。地域別という開示の形を踏まえた質問なので、IRを読んでいる学生だと伝わる。

2-3. タングステンと「タイミングのずれ」

この会社の収益構造で、最も見落とされやすいのが原材料だ。超硬工具の主原料はタングステンで、その粉末は中国の輸出規制の対象になっている。会社は、焼結済みの丸棒形状なら調達できると説明している。

調達価格も販売価格も、APT価格に連動する。APTとは、タングステンの国際的な取引価格の指標だ。

決算説明資料には、「上半期は価格改定と材料価格上昇の反映時期のずれが収益性に寄与」とある。先に売値を上げ、材料コストの上昇が遅れて効いた、ということだ。会社自身も、今後は材料コスト上昇の影響を見込むと書いている。

面接での使い方

課題指摘で、「上半期の高い利益率には、タイミングのずれが含まれる」と語れる。逆質問では、材料コストが上がったときに利益率をどう保つかを聞ける。

オーエスジーの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(原材料と関税——コスト側のリスクが二重にある/顧客の産業構成が、そのままリスクになる/ROEが8%台に留まってきたという事実/人が長く勤める組織を、どう更新するか)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。世界No.1の穴加工切削工具メーカーというポジションと、M&Aで作った地域・製品のバランス。ROEが5期にわたって8%台で動かなかったことと、その3分解の中身。2026年11月期上半期に営業利益が+65.1%、ROEが13.4%まで跳ねたこと。そして通期予想が営業利益220億円から300億円へ引き上げられたこと。あわせて、タングステンが中国の輸出規制対象であり、上半期の高利益率には価格改定のタイミングのずれが効いているという、会社自身の説明。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 切削工具業界の構造的課題——原材料と関税——コスト側のリスクが二重にある/顧客の産業構成が、そのままリスクになる/ROEが8%台に留まってきたという事実/人が長く勤める組織を、どう更新するか
  • 第3.5章 面接前に押さえるオーエスジーの最新ニュース10本——通期予想の上方修正、4地域すべての増益、配当方針の変更まで
  • 第4章 内定者の正体——「ものづくりを支えたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収7,015,490円の読み方と、連結7,563人・単体1,854人の組織でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続19.7年の読み方、女性役員比率14.3%、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. オーエスジーの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第113期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は702万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. オーエスジーの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第113期)では、提出会社(単体)が1,854人、連結が7,563人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. オーエスジーが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。