オプトラン(6235)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、オプトランを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「中間期は最終赤字。それでも純資産は363億円増えた。」です。
有報の数字(第27期)
- 売上高
- 339億円
- 純利益
- 30億円
- ROE
- 5.1%
- 従業員数(連結)
- 620人
- 従業員数(単体)
- 87人
- 平均年間給与(単体)
- 794万円
- 平均年齢
- 41.8歳
- 平均勤続年数
- 9.0年
出典:オプトランの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
オプトランを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、オプトランに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはオプトランの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社オプトラン 有価証券報告書 第27期(2025年1月1日-2025年12月31日)、および2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信(2026年8月7日公表)に基づきます。
オプトランは、受注が増えているのに利益が半減した会社だ。この食い違いをどう読むかが、面接の論点になる。
知っておきたいことは3つある。
第27期(2025年12月期)は、売上が338億円と4.5%増えた。だが本業の儲けである営業利益は33億円で、49.2%減った。
2026年の中間期(1〜6月)は最終赤字だった。それでも純資産(会社の持ち物から借金を引いた残り)は363億円増えた。原因は保有株の値上がりである。
会社は中長期の目標として、ROEとシリコンフォトニクスの売上構成比に数字を置いている。中身は第1章で扱う。
この記事では、会社の賭け先、利益が減った理由、赤字でも純資産が増えた仕組みの3点を確かめる。
第1章 オプトランは何に賭けているのか
1-1. 会社の賭け——ROE10%以上、シリコンフォトニクス20%以上
オプトランは、レンズなどに付ける薄い膜を作る成膜装置の会社だ。有報には「当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります」とある。事業は一つしかない。
向かう先は3つ書かれている。スマートフォンのカメラ、AR/VR、生成AI向けの光通信だ。中長期の目標は、ROE10%以上と、光電融合に関わるシリコンフォトニクスの売上構成比20%以上である。ROEは、株主のお金で1年にどれだけ利益を出したかの割合だ。光電融合は、電気と光の信号を一体で扱う技術を指す。
志望動機に使える。会社自身が決めた20%という数字を挙げ、光通信の拡大に自分がどう関わりたいかを語る。
1-2. 受注は増えたが、利益率は半分に下がった
受注残高(受注したが未納品の仕事)は312億円で、年間売上に迫る。前期より29.5%増えた。仕事は積み上がっている。
一方、営業利益率(売上に占める営業利益の割合)は9.8%で、前期の20.3%から下がった。有報は理由を「利益率の高いALD装置販売の減少や棚卸資産評価損等計上」と書く。ALDは原子1層ずつ膜をつける装置で、精密なぶん利益率も高い。棚卸資産評価損は、在庫の価値を下げた損失だ。
課題指摘と逆質問に使える。「利益率の高いALD装置の販売を、今後どう戻す計画か」と聞ける。
1-3. ROEは11.0%から5.1%に下がった
ROEは前期の11.0%から、第27期は5.1%に下がった。会社の目標は10%以上であり、現状との差は大きい。
下がった主因は利益の減少だ。この期は自己株式の取得(自社株の買い戻し)も行ったが、利益の落ち込みがそれを上回った。
逆質問に使える。「ROE10%以上へ、どの事業で利益率を戻す計画か」と、目標と現状の差を聞く。
1-4. 回収は2026年から。28卒が入るのはその先
会社の予想では、2026年12月期の売上は382億円、営業利益は62億円(前期比+85.9%)だ。中間期の時点でも予想は据え置かれた。利益の多くは下期に稼ぐ計画である。
28卒の入社は2028年4月だ。この回復が本物だったかは、2年分の実績で見える時期にあたる。
逆質問に使える。「下期に利益を稼ぐ予想に対し、現在の進捗はどうか」と聞く。回復後の会社で働く覚悟を、志望動機にも添えられる。
1-5. 大口顧客が分散した。ただし中華圏への依存は課題のまま
前期は光学部品メーカー2社で、売上の29.5%を占めていた。当期はどの顧客も売上の10%未満になった。
顧客が分散したとも、大口の発注が減ったとも読める。会社自身が課題として「中華圏市場への依存度が高い」と書き、ベトナムとインドで拠点づくりを進めている。
課題指摘に使える。「依存を下げる策として、ベトナム・インドの拠点をどう育てるか」と聞ける。
第2章 成膜装置メーカーの収益構造
2-1. 何が売れたかで、利益は変わる
成膜装置は、膜のつけ方で種類が分かれる。真空で材料を蒸発させる蒸着、イオンを当てて叩き出すスパッタ、原子1層ずつ積むALDだ。
方式によって利益率は違う。だから売上が同じでも、何が売れたかで利益は大きく変わる。第27期の減益は、この構造がそのまま出た結果だ。
課題指摘に使える。「売上の量より製品構成で利益が動く会社だと理解した」と述べ、構成の改善策を逆質問にもできる。
2-2. 最終赤字なのに純資産が363億円増えた仕組み
利益には2つの見方がある。1つは、売って残った当期純利益。もう1つは包括利益で、純利益に、まだ売っていない保有株の値上がりなどを足したものだ。
オプトランはAIメカテック株式会社などの株式を持つ。株価が上がれば、売らなくても純資産の「その他有価証券評価差額金」が増える。中間期の包括利益は370億円だった。
この増加は現金ではない。株価が下がれば同じだけ減るし、事業の実力とも関係がない。「純資産が363億円増えた」だけでは、読めていないと見られる。
課題指摘に使える。「増加は保有株の評価益で、本業の成果とは分けて見ている」と述べる。保有株の方針は逆質問にできる。
2-3. 連結620人に対し、単体は87人
従業員は連結で620人、提出会社(単体)で87人だ。単体は連結の14.0%にとどまる。生産と販売の主戦場が中国だからである。有報は「日本・中国の両地域に本部機能を設置」と書く。
売上を連結の人数で割ると、一人あたり約5億円になる。装置の単価が高く、少人数で回せる商売だと言える。2026年からはジョブ型人事制度(職務内容で処遇を決める制度)も導入された。
働く側の事実として、志望動機と逆質問に使える。「日本側の87人は、中国と並ぶ本部機能の中でどんな役割か」と聞ける。
オプトランの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(利益率の振れ幅が大きい/中華圏への依存を、会社自身が課題と書いている/ROE10%以上という目標との距離/平均勤続年数9.0年という若さ)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。受注が26.7%・生産が40.1%増えるなかで、売上は4.5%増、営業利益は49.2%減となった理由が、利益率の高いALD装置の販売減と棚卸資産評価損にあること。中間期に最終赤字を出しながら純資産が362億円増えた仕組みが、保有株式の評価益(包括利益370億円)であること。前期に売上の29.5%を占めた2大顧客が、当期は10%未満に下がったこと。そして会社自身が「中華圏市場への依存度が高く(中略)急務であります」と書いていること。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 オプトランが抱える構造的課題——利益率の振れ幅が大きい/中華圏への依存を、会社自身が課題と書いている/ROE10%以上という目標との距離/平均勤続年数9.0年という若さ
- 第3.5章 面接前に押さえるオプトランの最新ニュース10本——自己株式取得41億円、AIメカテック株式取得、ジョブ型人事制度まで
- 第4章 内定者の正体——「光学技術に惹かれた」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収7,939,477円の読み方と、連結620人・単体87人の組織でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——勤続9.0年の読み方、女性役員比率11.0%、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生