オルガノ(6368)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、オルガノを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「ROEは親会社の4.3倍」です。

有報の数字(第81期)

売上高
1,777億円
純利益
284億円
ROE
21.5%
従業員数(連結)
2,658人
従業員数(単体)
1,283人
平均年間給与(単体)
1,037万円
平均年齢
43.7歳
平均勤続年数
15.5年

出典:オルガノの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

オルガノを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、オルガノに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはオルガノの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、オルガノ株式会社 有価証券報告書 第81期(2025年4月1日-2026年3月31日)、および2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月3日公表)に基づきます。東ソー株式会社の数値は同社 有価証券報告書 第127期に基づきます。

オルガノは、水処理の技術を先端半導体の分野に広げることに賭けている会社であり、その賭けは高い利益率に裏づけられている。一方で、人手の不足と台湾・米国への集中が課題として自社の資料に書かれている。

知っておきたいことは3つある。

親会社の東ソーは、売上がオルガノの約6倍の規模でありながら、ROE(株主のお金に対して、どれだけ利益が出たかを示す比率)は5.0%にとどまる。オルガノは21.5%だ。差の理由は、売上に対して残る利益の割合にある。

利益は期初の計画を上回ったが、将来の売上の土台になる受注残高は計画を下回った。会社はその理由も説明している。

会社は2030年度の目標を引き上げた。同時に「人材の獲得競争」と「特定地域への集中」を課題として自ら書いている。

この記事では、この3つを有価証券報告書の本文で確かめ、面接で自分の言葉として話せる状態にする。

第1章 オルガノは何に賭けているのか

1-1. 先端半導体という一点に賭けている

オルガノは1946年創業の、水処理を手がける会社である。

長期経営ビジョンの1つ目には「水」という言葉が出てこない。代わりに「分離精製・分析・製造技術」という言葉がある。分離精製とは、混ざっているものから不要な成分を取り除き、必要なものだけを取り出す技術だ。

経営環境の記述には、狙いがはっきり書かれている。

「チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することにより、新たな事業分野の拡大が期待出来ます」

水をきれいにする技術を、半導体の材料づくりに広げようとしている。

面接での使い方

志望動機に使える。「水処理の技術を半導体材料の精製に広げる点に魅力を感じた」と、会社の言葉を引いて話せる。

1-2. 賭けは口先ではない——目標を引き上げた

会社は“ORGANO 2030”という中長期の計画を持っている。その2030年度の目標が、次のように見直された。

「売上高は年平均成長率7%として2,600億円、営業利益率については18%以上へと見直すことといたしました」

文面は「見直す」だが、中身は引き上げである。営業利益率とは、売上のうち本業の利益として残る割合のことだ。

第81期の実績は、売上1,776億円、営業利益率21.2%である。利益率はすでに目標の18%を超えている。2027年3月期の通期予想は売上2,000億円で、ここから年7%で伸ばせば2030年度に約2,620億円になる。計算は合っている。

引き上げの理由も書かれている。AIやデータセンター向けの先端半導体の供給が追いつかず、台湾や米国で投資が活発になるという見方だ。打ち手の1つ目は「納入キャパシティを拡大」することである。注文はあるが、作って納める力が足りない、という前提が読み取れる。

面接での使い方

逆質問に使える。「利益率はすでに18%を超えていますが、目標を18%以上に置いた理由を教えてください」と聞ける。

1-3. 親会社は東ソー、ただし持分は過半数に届かない

有価証券報告書の「関係会社の状況」には、親会社として東ソーが記載されている。議決権の保有割合は44.47%で、過半数に届いていない。

それでも親会社とされるのは「支配力基準」による。議決権が過半数でなくても、実質的に会社を支配していれば親会社とみなす考え方だ。

取引関係も明記されている。オルガノは東ソーから水処理薬品の原材料の一部を仕入れ、東ソーに水処理装置と薬品を販売している。さらに、親会社も子会社も東証に上場している。この形を親子上場という。

東ソーの側から見ると、位置づけはさらに重い。東ソーのエンジニアリング事業は営業利益404億円で、同社で最大である。同社の有価証券報告書は、その中核にオルガノを挙げている。

面接での使い方

課題指摘に使える。東ソーの利益の柱でありながら上場を続ける立場を踏まえ、親会社との距離感を質問できる。

1-4. 売上は17.4%の規模、それでもROEは4.3倍

オルガノの売上は1,776億円で、東ソーの1兆199億円の17.4%にあたる。それでもROEは21.5%と、東ソーの5.0%の4.3倍である。

差の正体は、売上に対して最終的に残る利益の割合だ。オルガノの純利益率は15.99%、東ソーは4.08%で、約3.9倍の開きがある。借金を増やして数字を作っているわけではない。自己資本比率は62.2%から63.6%へ上がっている。

装置とその後のサービスを組み合わせる事業と、市況に左右されやすい素材の事業とでは、同じ水を扱っても残る利益が違う。そう読むのが自然だ。

面接での使い方

志望動機と課題指摘の両方に使える。「利益率の高さが魅力だが、それを保つことが課題だと考えた」と話せる。

1-5. 利益は計画超え、受注残高は計画割れ

期初計画と実績を並べた表が、有価証券報告書に載っている。

営業利益は計画315億円に対して実績376億円で、19.5%上回った。一方、繰越受注残高は計画1,107億円に対して実績965億円で、12.9%下回った。繰越受注残高とは、受注したがまだ売上になっていない仕事の量のことだ。

会社自身が、これを「翌年度以降の売上のベース」と書いている。残高が減れば、先の売上の土台は薄くなる。理由は「一部の大型案件で受注時期が翌期にずれ込んだ」ことだと説明されている。案件が消えたのではなく、時期がずれたという説明である。

2027年3月期の第1四半期(2026年4〜6月)は増収減益だった。売上高は前年同期比10.7%増だが、営業利益は4.9%減である。通期予想でも、売上は12.6%増に対し、営業利益は6.2%増にとどまる。営業利益率は21.2%から20.0%へ下がる計画だ。

面接での使い方

逆質問に使える。「ずれ込んだ大型案件は今期のどの時点で売上になる見込みですか」と聞ける。

第2章 水処理エンジニアリングという事業の構造

2-1. 装置を売る事業と、売ったあとも関わる事業

水処理エンジニアリング事業は、売上1,519億円で全体の85.5%を占める。営業利益率は22.6%と高い。この事業は2つに分かれる。

1つはプラント事業で、純水・超純水の製造設備などを作って納める。超純水とは、半導体の洗浄に使うほど不純物を取り除いた水のことだ。もう1つはソリューション事業で、消耗品の交換、メンテナンス、運転管理など、納入後の仕事を担う。

会社は、ソリューションを最優先課題に置いている。「安定収益が見込める」からだ。この期の増益にも、ソリューションの売上増が寄与したと書かれている。

「設備保有型サービス」という言葉も繰り返し出てくる。装置を顧客に売らず、自社で持ったまま、処理した水を提供するモデルである。売り切りではなく、継続的な収入になる。

面接での使い方

志望動機に使える。「納めた後も関わり続ける事業に魅力を感じた」と、自分が働く姿に結びつけて話せる。

2-2. 台湾と米国——集中がリスクだと自ら書いている

海外では、台湾で高いシェアを持ち、米国の開拓を最優先にしている。インドでは現地法人を設立し、市場の調査に入る段階だ。

注目したいのは、会社が集中をリスクとして書いていることだ。成長の説明と同じ段落で、「半導体分野の比率」「特定の主要顧客」「特定地域(台湾・米国など)」への集中が高まる見込みだと述べている。さらに、事業と地域の両面で、長期的に分散を進める必要があるとも書いている。

面接での使い方

課題指摘に使える。「半導体と台湾・米国への集中を、どう分散していくのか」と質問でき、自分の貢献の方向も考えやすい。

2-3. 受注はあるが、人が足りない

内部環境の記述は率直である。事業規模の急拡大とグローバル展開に伴い、人的資本の確保が一段と重要になった、と書かれている。専門人材の獲得競争が激しくなっている、という認識も示されている。

処遇には、その状況が表れている。平均年間給与は10,366,000円で、前期から14.3%増えた。東ソーの平均年間給与は8,288,000円である。

従業員は連結で2,658人、提出会社(単体)で1,283人だ。連結のうち水処理エンジニアリング事業が2,067人を占める。給与の数字は提出会社1,283人のものである。

面接での使い方

志望動機と逆質問に使える。「人材の確保を課題に挙げる中で、若手に期待する役割は何か」と聞ける。

オルガノの構造的課題と追い風は、5つに分けて第3章で扱う(受注残高が8.8%減った/第1四半期は増収減益、通期も利益率は下がる計画/半導体・特定顧客・特定地域への集中/親子上場という構造/平均年収1,037万円と+14.3%をどう読むか)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。ROE21.5%が親会社である東ソーの5.0%の4.3倍にあたること。その差が財務レバレッジでも回転率でもなく、純利益率15.99%対4.08%という3.9倍の開きから来ていること。利益は期初計画を19.5%上回った一方、繰越受注残高は計画を12.9%下回ったこと。“ORGANO 2030”の2030年度目標が売上2,600億円・営業利益率18%以上へ上方修正されたこと。東ソーの持分が44.47%で「支配力基準」による親会社であること。そして平均年間給与10,366,000円(+14.3%)という水準。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 オルガノが抱える構造的課題——受注残高が8.8%減った/第1四半期は増収減益、通期も利益率は下がる計画/半導体・特定顧客・特定地域への集中/親子上場という構造/平均年収1,037万円と+14.3%をどう読むか
  • 第3.5章 面接前に押さえるオルガノの最新ニュース10本——ORGANO 2030の上方修正、計画比と実績のねじれ、東ソーとの関係、株式分割まで
  • 第4章 内定者の正体——「水を通じて半導体を支えたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収1,037万円の読み方と、連結2,658人・単体1,283人という組織
  • 第6章 働く環境の現実——平均年齢43.7歳・勤続15.5年の読み方、女性役員比率16.7%、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——志望動機3つの型、課題回答2パターン、逆質問7本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. オルガノの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第81期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は1,037万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. オルガノの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第81期)では、提出会社(単体)が1,283人、連結が2,658人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. オルガノが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。