ホシザキ(6465)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、ホシザキを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「営業利益は7.3%増。会社が「本当の実力」として出した数字は、16.1%増だった。」です。
有報の数字(第80期)
- 売上高
- 4,859億円
- 純利益
- 381億円
- ROE
- 10.1%
- 従業員数(連結)
- 17,041人
- 従業員数(単体)
- 1,157人
- 平均年間給与(単体)
- 789万円
- 平均年齢
- 44.4歳
- 平均勤続年数
- 17.1年
出典:ホシザキの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
ホシザキを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、ホシザキに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはホシザキの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、ホシザキ株式会社 有価証券報告書 第80期(2025年1月1日-2025年12月31日)、および2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信(2026年8月6日公表)に基づきます。
ホシザキは、大型買収と海外の成長に賭けている会社であり、その成果は「営業利益」と「調整後営業利益」という2つの数字で読み分ける必要がある。
知っておきたいことは3つある。
会社は5ヵ年の経営目標を掲げた。売上は達成済みだが、利益率とROE(株主のお金で稼ぐ力の比率)は届いていない。
買収の費用が利益を押し下げるため、会社は費用の一部を除いた「調整後営業利益」を開示し始めた。
伸びているのはインドを中心とするアジアで、従業員の約半数は海外にいる。
この記事では、目標と現状の差、2つの利益の違い、働く人の構成を確かめ、面接で語れる形にする。
第1章 ホシザキは何に賭けているのか
1-1. 「世界No.1」と、期限つきの目標
ホシザキは、製氷機や業務用冷蔵庫など、飲食店の厨房機器を作るメーカーだ。有価証券報告書(会社が国に出す年次報告書)には「世界No.1を目指す」と明記されている。
その裏づけとして、2026年度までの数値目標がある。売上高4,500億円、売上高営業利益率14%以上(買収に伴う償却費を除く)、ROE12%以上だ。
現在地を見る。第80期の売上高は4,858億円で、目標をすでに超えた。一方、ROEは10.09%にとどまる。
志望動機では、世界No.1と期限つきの目標に賭ける姿勢を根拠にできる。逆質問では「売上は達成済みだが、ROEの目標をどう追うのか」と聞ける。
1-2. 買収に賭けた——現金で会社を買った
この会社が本気だと分かるのは、投資の規模だ。第80期は、子会社株式の取得に642億円を使った。
買収先は米州で、第4四半期から決算に含めている。この期に乗った売上は3か月分だけだ。支払いは借入ではなく、手元の現金で行った。
買収では、資産が先に増え、売上は後から来る。ROEが前期の10.67%から下がった一因も、ここにある。
課題指摘では「資産が先に増え、売上が後から来る」構造を挙げられる。逆質問では、買収先の売上が1年分乗る時期を聞ける。
1-3. 「調整後営業利益」が登場した理由
第80期の営業利益は519億円だった。会社はこれとは別に、調整後営業利益610億円も開示している。差は、2つの費用を除くかどうかだ。
1つ目は、のれんなどの償却費である。のれんとは、買収価格が買った会社の純資産を上回った分だ。毎年少しずつ費用にする。現金は買った時点で払い終えている。
2つ目は、超インフレ会計の影響だ。物価が極端に上がる国(有報ではトルコ)の子会社の決算に使う、特別な処理である。
差が最も大きく出たのは米州だ。2026年12月期の中間期、米州のセグメント利益(地域別の利益)は16.8%減だった。調整後では33.3%増になる。
この差の28億円が、のれんなどの償却費である。ただし、償却を除くと買収の回収状況は見えにくい。買った事業が稼げなければ、後で一括して損失になる。会社は両方の数字を並べて開示している。
「なぜ数字が2つあるのか」を米州の例で説明できれば、課題指摘になる。逆質問では、償却を除いた数字で買収の回収をどう測るかを聞ける。
1-4. 勢いがあるのはインドを中心とするアジア
アジアは第80期の売上が18.1%増で、4地域で最も伸びている。有報は理由を「インドを中心に、冷蔵庫等の販売が好調」と書く。
経営環境の認識には、米国の関税政策の不透明感や欧州・中国の景気停滞が並ぶ。その中で、インドだけが明確な追い風として書かれている。
志望動機では、成長地域であるインドに関われる点を理由にできる。逆質問では、インドで次に伸ばす製品を聞ける。
1-5. 最終年度の現在地と、28卒との距離
2026年度は、5ヵ年経営ビジョンの最終年度だ。中間期の調整後営業利益は393億円で、前年同期より16.1%増えた。
通期予想の調整後営業利益は682億円で、売上予想の13.1%にあたる。営業利益率の目標まで、あと0.9ポイントの位置だ。
28卒の入社は2028年4月で、この計画の終了後になる。
逆質問で「最終年度の次の中期計画では、利益率とROEをどう置くのか」と聞ける。会社自身が掲げた目標を使うので、質問の根拠が明確になる。
第2章 業務用厨房機器メーカーの収益構造
2-1. 氷から厨房全体へ、飲食店の外へ
製氷機が出発点で、業務用冷蔵庫、食器洗浄機、ディスペンサ(飲料を注ぐ機械)へ広がった。厨房の機械を一通り揃えている。
顧客は飲食店だけではない。有報は「飲食外市場」の開拓を強化し、新たな販売モデルを確立すると書く。中間期の説明には、宿泊施設や流通販売業が出てくる。
環境対応も進めている。2025年にフロンを使わない自然冷媒の製品を拡充し、製氷機など4製品群66機種を切り替えた。規制への対応であり、買い替え需要も生む。
志望動機では、飲食の外にも市場がある点と、環境対応で製品が入れ替わる点を語れる。逆質問では「新たな販売モデルとは具体的に何か」と聞ける。
2-2. 働く人の構成——連結17,041人、単体1,157人
従業員は連結で17,041人、提出会社の単体では1,157人だ。日本の従業員は8,862人で、大半は国内のグループ会社にいる。
理由は販売・サービス網にある。業務用機器は故障すると店が止まるため、全国に保守の拠点が要る。
海外の従業員は8,179人で、連結の48.0%を占める。日本と海外がほぼ半々だ。
働く側の事実として、配属先が本体かグループ会社かを確認する逆質問に使える。海外が約半数なので、海外志向を志望動機につなげることもできる。
2-3. 現金1,594億円を使い始めた
財務は厚い。自己資本比率(返す必要のない資金の割合)は68.2%で、現金は1,594億円ある。
この現金で買収を実行し、借入は増やしていない。2026年2月13日には、自己株式の取得も決議した。現金を、買収と株主への還元に使い始めている。
志望動機では、財務の安定を理由に挙げられる。逆質問では「現金を買収と自己株式の取得にどう配分する方針か」と聞ける。
ホシザキの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(売上目標は超えたが、利益率とROEは届かない/欧州の利益率が2.5%/米州の買収が、これから問われる/インドへの依存が高まる可能性)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。この会社が「調整後営業利益」という指標を開示し始めた理由が、642億円の買収に伴うのれん償却とトルコの超インフレ会計にあること。米州のセグメント利益が16.8%減なのに調整後営業利益は33.3%増になる仕組み。5ヵ年経営ビジョンの売上目標4,500億円は超過達成したが、営業利益率14%以上とROE12%以上には届いていないこと。そしてアジア(インド中心)が売上+18.1%・利益+25.0%で最も伸びていること。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 ホシザキが抱える構造的課題——売上目標は超えたが、利益率とROEは届かない/欧州の利益率が2.5%/米州の買収が、これから問われる/インドへの依存が高まる可能性
- 第3.5章 面接前に押さえるホシザキの最新ニュース10本——642億円の買収、自然冷媒66機種のモデルチェンジ、自己株式取得まで
- 第4章 内定者の正体——「食を支えたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収7,887,459円の読み方と、連結17,041人・単体1,157人の組織でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——平均年齢44.4歳・勤続17.1年の読み方、女性役員比率18.2%、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生