NTN(6472)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、NTNを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「日本精工と統合。目標未達」です。

有報の数字(第127期)

売上高
8,263億円
純利益
129億円
ROE
4.9%
従業員数(連結)
21,305人
従業員数(単体)
5,478人
平均年間給与(単体)
746万円
平均年齢
41.7歳
平均勤続年数
19.6年

出典:NTNの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

NTNを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、NTNに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはNTNの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、NTN株式会社 有価証券報告書 第127期(2025年4月1日-2026年3月31日)、劣後特約付タームローンの契約締結に関するお知らせ(2026年2月19日公表)、および2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月4日公表)に基づきます。

結論:NTNは日本精工との統合と事業の立て直しに賭けているが、会社自身の予想は中期計画の目標にまだ届いていない。

知っておきたいことは3つある。

NTNは1918年創業の軸受メーカーで、日本精工と共同持株会社をつくる統合に基本合意した。軸受とは、回転する部分の摩擦をなめらかにする部品である。

中期経営計画の最終年度は2027年3月期だ。会社は営業利益の目標と自社の通期予想に、170億円の差があることを自分で示している。

売上の約6割は自動車の駆動部品で、前期の赤字から黒字には戻った。ただし財務は借入を減らしている途中である。

この記事では、会社が何に賭けているか、目標との差はどれだけか、その差を面接でどう語るかを確かめる。

第1章 NTNは何に賭けているのか

1-1. 日本精工との統合と「再生を完了させる」という宣言

有価証券報告書(会社が国に提出する年次報告書、以下「有報」)には、日本精工と共同持株会社をつくって経営統合する基本合意が書かれている。日本の軸受メーカー上位2社が、ひとつの持株会社の下に入る計画だ。

中期経営計画は、前の計画で果たせなかったNTNの「再生」を完了させる期間と位置づけられている。手段は、生産再編を中心とした構造改革と、稼ぐ力の強化である。2024年4月には、顧客の業界別だった組織を商品別に変えた。

面接での使い方

志望動機で「統合と再生の局面にある会社だから、変革に関わりたい」と語る根拠になる。逆質問では、商品別組織に変えた後の変化を聞ける。

1-2. 中計の目標と、会社自身の予想の差

最終年度の目標は、営業利益500億円、営業利益率6.0%、ROE8.0%である。ROEとは、株主から預かったお金に対し、どれだけ利益を出したかの割合だ。

2026年3月期の実績は、営業利益310億円、営業利益率3.8%、ROE4.9%だった。どの指標も、目標の6割前後にとどまる。

さらに会社は、2027年3月期の営業利益を330億円と予想した。目標との差は170億円である。

面接での使い方

逆質問に使える。「通期予想が目標を下回る見通しの中で、残りの期間に最も力を入れる施策は何か」と聞ける。

1-3. 赤字から黒字に戻った中身

前期は当期純損失238億円だったが、2026年3月期は黒字に戻った。伸びたのは、CVJアクスル事業である。

CVJ(等速ジョイント)とは、エンジンやモーターの回転を車輪に伝える部品だ。この事業は売上が減ったのに、営業利益は約2倍になった。会社は、売価転嫁(コスト上昇分を販売価格に反映すること)と変動費の削減が理由だと説明している。

一方、軸受他事業は増収でも営業利益が10.4%減った。減損損失81億円などの特別損失も出ている。

面接での使い方

課題指摘に使える。「黒字化は値上げとコスト削減による面が大きく、軸受他事業の収益改善が次の論点だと考えた」と述べられる。

1-4. 借入を減らし、資本を厚くしている

自己資本比率(資産のうち返済不要のお金の割合)は、前期の27.2%から33.8%に上がった。財務レバレッジの3.275倍は、自己資本に対して資産が何倍あるかを示す。借入に頼る度合いの目安である。

2026年2月には、返済順位が低い劣後ローンを220億円借りた。返済は2056年の30年後で、格付会社は半分を資本とみなす。株を増やさずに財務を厚くする手段だ。

ただし借入には利息がかかる。支払利息は78億円で、営業利益の約25%にあたる。

面接での使い方

志望動機で「財務を立て直す局面で挑戦したい」と語る材料になる。逆質問では、利息の負担を減らす道筋を聞ける。

1-5. 第1四半期は増益、それでも通期予想は減収

2026年4〜6月の営業利益は83億円で、前年同期より19%増えた。足元の業績は悪くない。

それでも通期の売上予想は、前期より2.0%少ない。第1四半期の増益が、通期の目標達成にそのままつながる見通しではない。

面接での使い方

最新ニュースの文脈として話せる。「第1四半期は増益だが通期は減収予想なので、下期の見通しを伺いたい」と聞ける。

第2章 軸受・等速ジョイントメーカーの収益構造

2-1. 売上の約6割が自動車の駆動部品

有報は、売上の6割が自動車向けのCVJとアクスル軸受だと書く。収益は自動車に集中している。海外売上高比率も74.4%と高い。

電動化は一時的に減速しているが、会社は中長期でEVが増えると見込む。エンジンがなくなっても、車輪に力を伝えるCVJは要る。

充電を速くするため電圧が上がると、電気で金属が傷みやすくなる。それを防ぐ耐電食軸受の需要が伸びる見通しだ。

面接での使い方

課題指摘で「自動車への依存が高い分、電動化への対応が鍵になる」と整理できる。志望動機では、耐電食軸受を例に挙げられる。

2-2. 新車向けと補修向けの「両輪」

2035年度の姿として、OEMとアフターマーケットの両輪で稼ぐ構造を掲げている。OEMとは、新車など完成品メーカー向けの供給だ。アフターマーケットは、補修・交換用の市場である。

新車向けは景気に左右されやすい。補修向けは、すでに動いている車や機械がある限り需要が続く。

面接での使い方

志望動機で「景気に強い事業構造をつくる仕事に関わりたい」と語れる。逆質問では、補修向けの供給力強化の進み具合を聞ける。

2-3. 工場を閉じる一方で、増やす拠点もある

生産再編は世界で進んでいる。国内では超大形軸受の生産を桑名製作所に集約し、年に数億円規模の削減を見込む。米州ではカナダの工場を閉鎖する。

一方、フランスの工場では航空宇宙向け軸受の生産能力を、2030年度まで段階的に増やす。閉じる工場と増やす工場が、同時に存在する。

面接での使い方

逆質問で「どの工場を残し、どこを増強するかの判断基準は何か」と聞ける。課題指摘では、再編の費用負担の重さにも触れられる。

NTNの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(中計最終年度の目標に、予想が届かない/自己資本が薄く、支払利息が重い/統合は基本合意の段階/女性役員比率8.6%)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。2026年5月12日に日本精工との経営統合に基本合意したこと。中期経営計画「DRIVE NTN100」Finalの最終年度目標(営業利益500億円・当期純利益215億円・ROE8.0%)に対して、会社自身の通期予想が営業利益330億円・当期純利益150億円にとどまること。ROE4.9%が財務レバレッジ3.275倍のうえに立った数字で、純利益率1.56%は日本精工の2.51%より低いこと。自己資本比率33.8%を厚くするため、30年の劣後特約付タームローン220億円と転換社債の株式転換を使ったこと。そして支払利息78億円が営業利益の25.2%を占めること。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 NTNが抱える構造的課題——中計最終年度の目標に、予想が届かない/自己資本が薄く、支払利息が重い/統合は基本合意の段階/女性役員比率8.6%
  • 第3.5章 面接前に押さえるNTNの最新ニュース10本——日本精工との経営統合、DRIVE NTN100 Final、劣後ローン、生産再編まで
  • 第4章 内定者の正体——「ベアリングの技術力」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収7,456,517円の読み方と、連結21,305人・単体5,478人の組織でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——平均年齢41.7歳・勤続19.6年の読み方、女性役員比率8.6%、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. NTNの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第127期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は746万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. NTNの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第127期)では、提出会社(単体)が5,478人、連結が21,305人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. NTNが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。