ベイカレント(6532)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、ベイカレントを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「平均31.3歳の会社」です。
有報の数字(第12期)
- 売上高
- 1,483億円
- 純利益
- 378億円
- ROE
- 35.8%
- 従業員数(連結)
- 6,788人
- 従業員数(単体)
- 866人
- 平均年間給与(単体)
- 1,331万円
- 平均年齢
- 31.3歳
- 平均勤続年数
- 3.8年
出典:ベイカレントの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
ベイカレントを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、ベイカレントに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはベイカレントの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、株式会社ベイカレント 有価証券報告書 第12期(2025年3月1日〜2026年2月28日)に基づきます。
ベイカレントは、人を増やし続けることで急成長する会社であり、その代わりに社員の勤続が短い。
知っておきたいことは3つある。
会社は2029年2月期に売上2,500億円を目標に掲げている。当期の売上は1,483億円で、あと3年で約1.7倍にする計画だ。
売上は「人数×稼働率×単価」で決まる。だから採用と稼働率の両立が、会社自身の挙げる課題になっている。
平均年齢は31.3歳、平均年収は1,331万円、平均勤続は3.8年だ。高い処遇と短い勤続が同時に並んでいる。
この記事では、有価証券報告書(会社が国に提出する公式の報告書)の数字で、この3点を確かめる。
第1章 ベイカレントは何に賭けているのか
1-1. 2029年2月期に売上2,500億円——会社が決めた目標
会社の賭けは、有報の「目標とする経営指標」にはっきり書かれている。2024年4月に公表した中期経営計画(数年先までの目標をまとめた計画)で、年率平均20%の成長を続け、2029年2月期に売上2,500億円を目指すとしている。
当期(2026年2月期)の売上収益は1,483億円だ。売上収益とは、売上高のことである。目標まで、あと3年で約1.69倍にする計算になる。
当期の売上は前期より27.8%増えた。計画の「年率20%」を上回るペースだ。5年前と比べると2.57倍になっている。
成長戦略は3つに絞られている。コアクライアント戦略の推進、ケイパビリティ(提供できる能力)の拡充、優秀な人材の採用・育成だ。
志望動機で「2029年2月期の売上2,500億円に、自分はどう貢献するか」を語れる。逆質問では、目標に対する現在地を聞ける。
1-2. 稼働率を経営課題に挙げている——採用と稼働率の綱引き
有報は、優先して対処すべき課題の3つ目に「適切な稼働率水準の維持」を挙げている。稼働率とは、コンサルタント全体のうち、案件に入っている人の割合だ。
売上は「人数×稼働率×単価」で決まる。年率20%で伸ばすには、人を増やすしかない。だが人が増えると、案件に入れない人が出て、稼働率が下がる恐れがある。採用と稼働率は、常に綱引きの関係にある。
有報は採用環境も率直に書いている。業界内で「人材争奪戦」が激化し、新卒採用も「過熱化」しているという。
課題指摘に使える。「採用を増やしながら稼働率を保てるのか」という論点を、そのまま逆質問にできる。
1-3. 28卒が入るのは、中計の最終年度の途中
この会社の決算期は2月だ。28卒の入社は2028年4月なので、2029年2月期の途中にあたる。
2029年2月期は中期経営計画の最終年度だ。当期はその2年目にあたる。つまり28卒は、売上2,500億円を達成できるかが決まる年に入社する。
志望動機で「最終年度に入社する当事者として貢献したい」と語れる。逆質問では、最終年度に向けた課題を聞ける。
1-4. 日本発・業界を絞らない——会社が示す差別化
パーパス(会社の存在意義)は「Beyond the Edge」だ。有報は、目指す姿として3つを挙げている。あらゆる業界のリーディングカンパニーの成長に最も貢献していること、付加価値を誰よりも追求していること、未来を担う人材が集結していることだ。
外資系が主流の業界で、「日本発の総合コンサルティングファーム」と名乗っている。人材育成でも「特定の領域に限定しない」と明言している。
志望動機で「業界を絞らず多くの業界を経験できる点」を理由にできる。他ファームとの違いを聞く逆質問にもなる。
1-5. 平均年齢31.3歳・年収1,331万円・勤続3.8年
連結の従業員は6,788人だ。そのうち株式会社ベイカレント単体は866人で、全体の13%にあたる。
有報の平均年間給与1,331万円は、この単体866人の数字だ。平均年齢は31.3歳である。
平均勤続は3.8年だ。年齢と合わせると、27.5歳前後で入社した人が中心と読める。中途採用が中心の組織といえる。
志望動機では、若くして高い処遇という点を根拠にできる。逆質問では、新卒の待遇が平均とどう違うかを確かめられる。
第2章 コンサルティング業界の収益構造
2-1. 人が商品——利益率の高さと、人が辞めるリスク
コンサルティングは、人の時間と知見が商品だ。工場も在庫も要らず、原価のほとんどは人件費になる。
その結果、当期の利益は売上の25.5%(378億円)が残った。売上の4分の1が利益になる計算だ。
この構造には意味が2つある。第1に、成長のために採用し続ける必要がある。第2に、人が辞めれば売上が落ちる。人材の確保と定着が、そのまま事業リスクになる。
課題指摘で「最大の経営資源は人であり、定着が鍵になる」と言える。定着のための施策を聞く逆質問にもなる。
2-2. 勤続3.8年をどう読むか
勤続3.8年は、業界外の人には短く見える。だが理由は2つある。
第1に、売上が5年で2.57倍になるほど急に人を増やすと、新しく入った人の比率が高まる。辞めていなくても、平均勤続は短くなる。
第2に、コンサル業界は人材の流動性が高い。数年で事業会社や他ファームへ移る道が一般的だ。
ただし就活生は、この数字を軽視すべきではない。この会社は「長く勤める場所」というより、短期間で密度の高い経験を積む場所として設計されている可能性が高い。それが自分に合うかは、面接で確かめる論点になる。
逆質問で「入社数年後の社員が、どんな進路を選んでいるか」を聞ける。自分のキャリア像との接点を語る材料にもなる。
ベイカレントの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(売上を伸ばすには、人を増やすしかない/採用を急ぐと、質が薄まる/景気が悪くなると、真っ先に削られる/「人が資産」の会社では、人が辞めれば資産が消える)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。売上は27.8%増で5年2.57倍、ROE35.8%はこの記事シリーズで最高。一方で平均年齢31.3歳・勤続3.8年、単体866人・連結6,788人、PERは18.1倍。高収益と短い勤続は、同じ構造から出ている。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 コンサルティング業界の構造的課題——売上を伸ばすには、人を増やすしかない/採用を急ぐと、質が薄まる/景気が悪くなると、真っ先に削られる/「人が資産」の会社では、人が辞めれば資産が消える
- 第3.5章 面接前に押さえるベイカレントの最新ニュース10本——売上5年2.57倍、ROE35.8%、勤続3.8年、PER18.1倍まで
- 第4章 内定者の正体——「成長できる環境だから」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収1,331万円の読み方と、コンサルで積める市場価値
- 第6章 働く環境の現実——勤続3.8年の読み方、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生