NEC(6701)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、NECを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「総合電機をやめた」です。
有報の数字(第188期)
- 売上高
- 3兆5,827億円
- 純利益
- 2,702億円
- ROE
- 13.0%
- 従業員数(連結)
- 101,800人
- 従業員数(単体)
- 21,934人
- 平均年間給与(単体)
- 994万円
- 平均年齢
- 43.1歳
- 平均勤続年数
- 17.3年
出典:NECの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
NECを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、NECに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはNECの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
NECは、事業の切り売りが続いた30年を経て、海外のソフトウェア会社の買収と防衛・社会インフラに賭け、利益を戻した会社だ。
知っておきたいことは3つある。
1つ目は、利益が戻ったことだ。本業の利益(買収費用や一時的な損益を除いたNon-GAAP営業利益)は3,972億円で、前期比+27.6%。利益率は約11%と、二桁に乗った。
2つ目は、働く側の条件が動いたことだ。平均年収は963万円で、前年より83万円上がった。平均年齢は42.6歳、平均勤続は16.6年である。会社員数は単体で22,600人、連結で10.4万人を超える。
3つ目は、過去の姿との違いだ。NECは1899年創業で、携帯電話やパソコンなどを次々に手放してきた。今は米国のソフト会社の買収と、防衛予算の増加への対応を進めている。
この記事では、NECが何に賭けているか、その賭けが数字にどう出るか、同業と何が違うかを確かめる。
第1章 NECは何に賭けているのか
1-1. 社員の前向き度が25%から48%へ
有報には、就活生がまず読むべき数字がある。社員の「エンゲージメントスコア」(会社への前向きさを測る点数)だ。
2020年度に25%と低調だった数字が、2025年度に48%になった。5年で倍近い。「低調」と書いたのは、会社自身である。
スコアは3つの要素で測る。
・Say=この会社を人に勧められるか
・Stay=ここで働き続けたいか
・Strive=会社のために力を尽くしたいか
有報は、SayとStriveをさらに高める必要があると書いている。目標は、グローバル上位25パーセンタイル(世界の企業の上位4分の1)に相当する水準だ。会社は、まだ道半ばだと認めている。
逆質問に使える。「SayとStriveを上げる施策のうち、若手が関われるものは何ですか」と聞けば、有報を読んだ学生だと伝わる。
1-2. 買っているのは海外のソフトウェア会社
NECの成長戦略は、買収の中身を見ると具体的になる。
中心は、米国の通信事業者向けソフト会社CSG Systems Internationalだ。有報は、これを米国で事業基盤を築く「重要な布石」と位置づけている。買って終わりではない。すでに持つ北米子会社Netcrackerと事業を統合すると書いている。
欧州でも同じ形を取る。近年買収した3社と現地法人の商材や顧客を融合させ、行政向けや金融向けのDX(デジタル化による業務改革)を広げる。
国内では、上場していたNECネッツエスアイを完全子会社にした。外を買い、内を固めている。
逆質問に使える。「買収した海外企業を束ねるとき、いちばん難しいことは何ですか」と聞ける。買収の実務に踏み込む質問は、あまり出ない。
1-3. 防衛予算の増加と社会インフラ
NECの事業は、2025年7月の再編で2本柱になった。
ITサービスは売上収益が2.4〜2.5兆円規模で、利益の柱だ。社会インフラは約9,500億円規模で、航空宇宙・防衛が増益のエンジンとされる。
有報は「国際協調の揺らぎ」を背景に、安全保障の重要性が高まっていると書く。防衛予算の増加に合わせて人を増やし、スタートアップとも組む。海底ケーブル事業も、宇宙・安全保障の領域に統合した。
社会インフラは、国の予算で需要が決まる部分が大きい。民間向けのITサービスとは、顧客も仕事の進め方も違う。
志望動機に使える。「ITサービスと社会インフラのどちらで働きたいか」を先に決めておくと、「社会に貢献したい」より具体的になる。
1-4. 「BluStellar」と、会社が掲げた利益の目標
成長の核は、BluStellar(ブルーステラ)だ。AIを軸に、構想から運用までをシナリオ単位で売る事業である。
2024年4〜12月の売上収益は4,669億円で、前年より+25.7%増えた。社長は「AIは実装で勝つ」と繰り返し語っている。
利益の見方にも癖がある。NECは、買収に伴う費用を除いたNon-GAAP営業利益を使い、2026年度から指標を一本化する。買い続ける会社ならではの物差しだ。
目標も置かれている。2024年5月発表の中計は、2026年度のNon-GAAP営業利益を4,300億円とした。2026年5月の「2030中期経営計画」は、Non-GAAPのEPS成長率(1株あたり利益の伸び)を指標に掲げた。
逆質問に使える。「2030中計でEPS成長率を軸に置いた理由は何ですか」と聞ける。課題の指摘にも使え、買収を続けるなかで本業の利益をどう見せるかが論点だ。
第2章 業界比較——国内SIer/IT企業との立ち位置
SIer(企業のシステムを作る会社)の主要5社のうち、働く側の数字を並べる。
2-1. 年収は「電機」から「IT」の水準へ
平均年収は、NECが963万円。富士通が929万円、NTTデータグループが923万円、日立製作所が961万円だ。
NECは、富士通とNTTデータを上回り、日立とほぼ並ぶ。比べる相手が電機業界からIT業界へ移ったことが、数字に出ている。
志望動機に使える。「IT・社会インフラ企業として評価される会社で、自分の力を試したい」と言える。ただし年収だけを理由にすると弱い。
2-2. 規模より、収益性を取った
本業の利益率は、NECが約11%で、富士通も約11%だ。NTTデータは約6%である。NECと富士通は、どちらもシナリオ型の付加価値ビジネス(BluStellarとUvance)で、この位置にいる。
規模では、NECはNTTデータと日立に及ばない。「規模の追求」より「収益性の追求」を選んだ形だ。
課題指摘に使える。規模で劣る分、成長をどう作るのかを問える。志望動機では、規模に頼らず利益を出す点を根拠にできる。
NECの構造的課題と追い風は、5つに分けて第3章で扱う(### 追い風1:国内パブリック領域のDX需要/### 追い風2:航空宇宙・防衛事業の大幅拡大/### 追い風3:AI実装ビジネスの先行ポジション/### 追い風4:ジョブ型人材マネジメント本格導入/### 構造的な課題)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題と追い風——### 追い風1:国内パブリック領域のDX需要/### 追い風2:航空宇宙・防衛事業の大幅拡大/### 追い風3:AI実装ビジネスの先行ポジション/### 追い風4:ジョブ型人材マネジメント本格導入/### 構造的な課題
- 第3.5章 押さえておくべき最新ニュース
- 第4章 内定者の正体——選考プロセス分析
- 第5章 職種別キャリア分析
- 第6章 働く環境の現実
- 第7章 面接攻略——有報を使った回答例と逆質問
- 第8章 やましゃんの総合評価