アルバック(6728)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、アルバックを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「経常を33%下方修正」です。

有報の数字(第121期)

売上高
2,512億円
純利益
167億円
ROE
7.5%
従業員数(連結)
6,132人
従業員数(単体)
1,648人
平均年間給与(単体)
888万円
平均年齢
44.6歳
平均勤続年数
17.5年

出典:アルバックの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

アルバックは、利益の中身を入れ替える6年計画を進めており、いまは「減益」と「特需」が同時に起きている会社だ。

知っておきたいことは3つある。

・アルバックは、半導体やディスプレイの製造に欠かせない「真空」の環境をつくる装置メーカーだ。真空とは、空気を抜いた状態のことである。知名度は低いが、この領域で世界的な存在感を持つ。

・2026年6月期は、通期の経常利益予想を期初計画から33%下方修正した。一方で、レアアース磁石向け装置の受注は前期比約3倍に拡大している。

・会社は2026年6月期から6年間で、半導体電子を中心とした事業構成へ変える計画を掲げている。

この記事では、その計画の中身と直近の決算を確かめ、面接で自分の言葉で語れる形に整理する。

第1章 アルバックは何に賭けているのか

1-1. 6年で営業利益を790億円にする計画

有価証券報告書には、新中長期経営計画「バリューアッププラン」が載っている。2026年6月期からの6年間の計画だ。

目標は2031年6月期に置かれている。営業利益は、2025年6月期の265億円から790億円へ増やす。

営業利益率は10.6%から22%へ上げる。営業利益率とは、売上のうち本業で残る利益の割合のことだ。

ROEは7.5%から16%へ上げる。ROEとは、株主から預かったお金でどれだけ稼いだかを示す指標である。

利益の増え方が大きいのは、稼ぐ中身を入れ替えるからだ。半導体電子関連ビジネスの売上構成比を、36%から60%以上へ引き上げる。

会社自身も「経営資源の最適化を断行し」と書いている。規模を追うより、利益の出る事業へ寄せる計画だと読める。

面接での使い方

志望動機の根拠になる。「規模より利益の質を変える計画に惹かれた」と、目標の数字を添えて話せる。

1-2. 伸ばす事業と、削る事業

成長戦略は3つに整理されている。1つ目は、半導体電子への注力だ。

ここで使われる言葉が、POR(Process of Record)である。量産に使われる認定プロセスのことだ。

半導体メーカーは、量産に使う工程を1つずつ認定する。認定されれば、その製品を作り続ける限り同じ装置が使われる。会社は2031年6月期に、受注1,000億円以上を目指している。

2つ目は事業改革だ。有報には「低採算事業等の縮小や撤退」と「グループ会社や生産拠点の再構築とスリム化」とある。2028年6月期には、営業利益で120億円の改善効果を見込んでいる。

3つ目はM&A(企業の買収)だ。ただし、有報に具体的な買収の実績は出てこない。方針として掲げている段階である。

この会社は、装置だけでなく材料、成膜加工、分析、カスタマーサポートまで手がける。

面接での使い方

逆質問にできる。「PORを1つ獲得するまで、顧客とどれくらいの期間やり取りするのですか」と聞ける。削る側の事業については、課題指摘にも使える。

1-3. 半導体は好調、EVバッテリーは遅れている

直近期は、事業ごとに明暗が分かれた。

好調なのは、先端の半導体分野の投資だ。不調なのは、パワーデバイス(電力を制御する半導体)とEVバッテリーである。パワーデバイスはEV需要の鈍化で調整が入り、EVバッテリーは車載採用に時間がかかって投資が遅れた。

追い風もはっきりしている。有報は、生成AIの活用が広がることで、半導体の需要が中長期で増えると見ている。地政学的リスクへの対応として、世界各地で半導体工場の新増設も進む。

人材についても記述がある。会社は「中核人財の育成プログラムを再構築する」と書いている。いまのプログラムでは足りないという認識だと読める。

28卒が入社する2028年は、バリューアッププランの中間目標の年(2028年6月期)にあたる。営業利益率15%、ROE10%が、その目標だ。

面接での使い方

課題指摘と志望動機の両方に使える。「EVの減速は逆風だが、AIと工場新設は追い風だと捉えている」と話せる。入社の年に中間目標の答えが出る、とも言える。

1-4. 直近の決算は「増収減益」

2025年6月期の営業利益は265億円で、前期より減った。営業利益率は10.6%、ROEは7.5%だった。

2026年6月期は、5月に通期予想を修正した。売上高は当初予想より積み増したが、営業利益は190億円と当初予想より33.3%低い。

理由は、パワーデバイスやオプトデバイスなど利益率の高い案件の減少と、EV関連費用の計上だ。売上は伸びても利益が残らない「増収減益」の形になっている。

ただし、2026年1〜3月の単体を見ると、売上高は677億円で前年同期比+28.2%だった。期初からの累計では営業利益はまだ前年同期を下回るが、回復の兆しは出ている。

ROE16%の目標は、営業利益率22%で取りにいく設計だ。実現の鍵は、半導体電子の比率を上げることと、低採算事業を縮小することである。

注意点もある。半導体装置は、好不況の波(シリコンサイクル)を受けやすい業界だ。比率を高めるほど、その波の影響も大きくなる。

面接での使い方

課題指摘に使える。「目先の減益は、何のための減益かを計画と結びつけて見ている」と話せる。「市況の波が大きくなる点をどう管理するか」は逆質問にもなる。

第2章 業界比較——真空成膜装置業界の勢力図

2-1. 芝浦メカトロニクスと比べる

比較しやすい上場企業が、芝浦メカトロニクスだ。FPD(ディスプレイ)や半導体向けの製造装置を手がけ、規模が比較的近い。

芝浦メカトロニクスの売上規模は、アルバックの3分の1程度だ。それでも営業利益率は約17.3%で、アルバックの10.6%を上回る。なお、両社は決算期が異なる点に注意したい。

アルバックが減益修正となった背景には、パワー半導体やオプトデバイスなど特定分野の需要調整がある。装置業界全体が一様に潤っているわけではない。

面接での使い方

課題指摘に使える。「同じ装置業界でも利益率に差がある。その差を縮める計画だと理解している」と話せる。

2-2. 「総合力型」という立ち位置

もう1つ、東京エレクトロンとも並べてみる。アルバックの売上規模は、東京エレクトロンの1割程度だ。東京エレクトロンの営業利益率は28.7%で、アルバックは見劣りする。

ただし両社は、戦う土俵が違う。東京エレクトロンは、半導体製造の主要工程を幅広くカバーする総合メーカーだ。

アルバックは「真空をつくる」技術に特化し、半導体、ディスプレイ、太陽電池、レアアース磁石、自動車部品まで横に広げている。液晶用スパッタリング装置では、世界トップシェアを持つとされる。

一方、有機EL向けの蒸着装置では、非上場のキヤノントッキが優位という指摘もある。分野によって勢力図は異なる。

3社の違いは、こう整理できる。東京エレクトロンは「主要工程を総取りする巨艦」、芝浦メカトロニクスは「分野を絞った専門店」、アルバックは「基盤技術で複数産業に広げる応用力型」である。

面接での使い方

志望動機に使える。「特定分野の一番手というより、真空技術を複数の産業へ広げる総合力に魅力を感じた」と、他社との違いを添えて話せる。

アルバックの構造的課題と追い風は、3つに分けて第3章で扱う(### 半導体市況の波と装置メーカーの宿命/### レアアース・重要鉱物のサプライチェーン再編/### 脱・ディスプレイ依存と事業ポートフォリオの転換圧力)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。通期経常利益33%下方修正という厳しいニュースの裏側で、レアアース磁石向け装置は世界シェア7割・受注3倍という特需が進行中。この「決算の行間」を選考で使える武器に変えるのが、ここから先の有料パートです。

  • 第3章 真空成膜装置業界の構造的課題——### 半導体市況の波と装置メーカーの宿命/### レアアース・重要鉱物のサプライチェーン再編/### 脱・ディスプレイ依存と事業ポートフォリオの転換圧力
  • 第3.5章 面接前に押さえるアルバック最新ニュース10本——決算・中期経営計画・レアアース磁石特需・トップ交代・事業再編まで
  • 第4章 内定者の正体——採用区分と就職難易度、ES「なぜアルバックか」の組み立て、逆質問のレベル別、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——年収と平均像、市場価値とセカンドキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——数字で見る組織、女性活躍・育休取得の実態、福利厚生
  • 第7章 面接攻略——財務分析を組み込んだ回答テンプレートと逆質問例
  • 第8章 やましゃんの総合評価——投資視点×就活視点

よくある質問

Q. アルバックの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第121期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は888万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. アルバックの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第121期)では、提出会社(単体)が1,648人、連結が6,132人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. アルバックが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。