アドバンテスト(6857)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、アドバンテストを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「ROE57.6%」です。

有報の数字(第84期)

売上高
1兆1,286億円
純利益
3,754億円
ROE
57.6%
従業員数(連結)
7,241人
従業員数(単体)
2,033人
平均年間給与(単体)
1,098万円
平均年齢
45.7歳
平均勤続年数
20.2年

出典:アドバンテストの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

アドバンテストを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、アドバンテストに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはアドバンテストの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、株式会社アドバンテスト 有価証券報告書 第84期(2025年4月1日〜2026年3月31日、IFRS)に基づきます。2026年7月29日発表の2027年3月期 第1四半期決算も反映しています。

アドバンテストは、半導体を出荷前に試験する装置「テスタ」で、世界の約3分の2を押さえる会社だ。テスタとは、半導体が「合格か不合格か」を判定する装置を指す。

知っておきたいことは3つある。

第84期の売上は初めて1兆円を超え、1兆1,286億円になった。営業利益率は44.2%で、製造業では珍しい高さだ。

最大顧客が、TSMCやサムスンではなくNVIDIAグループになった。売上の21.6%を占める。

従業員は連結で7,241人しかいない。少人数で稼ぐ会社だ。

この記事では、会社が何に賭け、その賭けが業績にどう出て、どこに弱さがあるかを確かめる。

第1章 アドバンテストは何に賭けているのか

1-1. 会社の賭けは3つ——テスタのシェアは58%から65%へ

有報には第3期中期経営計画(MTP3)の戦略が3つ書かれている。中期経営計画とは、会社が数年先までの目標と作戦をまとめたものだ。期間は2024〜2026年度である。

1つ目は、コア市場であるテスタの成長率を上回ること。2つ目は、近縁市場や新規事業への展開。3つ目は、事業運営の効率化だ。

1つ目の成果は数字で示されている。市場シェアは暦年2024年の58%から、暦年2025年の65%へ上がった。1年で7ポイントの上昇である。

面接での使い方

志望動機では「シェアを広げる1つ目の賭けに関わりたい」と語れる。逆質問では、65%からさらに伸ばす余地を聞ける。

1-2. 半導体が複雑になるほど、この会社の出番が増える

有報は、半導体の高性能化でテストの複雑さが今後も上がり続けると見ている。特にAIやHPC(大量の計算を高速でこなす分野)向けで顕著だという。

当期は、次世代DRAM向けとシリコンフォトニクス向けのテスト・ソリューションの準備が進んだ。シリコンフォトニクスとは、光で信号を送る次世代の半導体技術だ。大規模量産向けでは初めて受注した。

面接での使い方

志望動機で「AIが広がるほど試験の仕事が増える」と筋道を立てて話せる。逆質問では、シリコンフォトニクスの次の量産案件を聞ける。

1-3. 業績は急伸したが、谷もある——28卒が入るのは次の計画の中

第84期の売上は前期比+44.7%で、第1四半期(2026年4〜6月)の営業利益率は51.7%に達した。

ただし、第82期には売上が5,602億円から4,865億円へ減っている。有報も、短期的なダウンサイクル(需要の下り坂)を織り込むと書く。半導体は上下する前提で見る必要がある。

MTP3の最終年度は2026年度で、28卒の入社は2028年4月だ。入社するのは第4期の計画の中になる。株主還元は、総還元性向を中計3年間の合計で50%以上とする方針だ。総還元性向とは、利益のうち配当と自社株買いで株主に返す割合を指す。

面接での使い方

課題指摘では「好況だけでなく谷も前提に見ている」と示せる。逆質問では、第4期で何に賭けるのかを聞ける。

1-4. 売上は台湾などアジアに偏り、最大顧客はNVIDIAになった

地域別の売上は、アジアが91.8%を占め、うち台湾が50.5%だ。世界の半導体製造が台湾と韓国に集中しているためである。

顧客にも交代があった。前期はTSMCとサムスングループが2大顧客だったが、当期はNVIDIAグループが最大になった。AIチップの設計会社が、製造会社を超える買い手になった。

面接での使い方

課題指摘として、地域と顧客の偏りを挙げられる。逆質問では、偏りへの備えをどう考えているかを聞ける。

1-5. 少数精鋭の職場——1人あたり売上は約1.56億円

連結従業員7,241人で割ると、1人あたり売上は約1.56億円になる。提出会社(単体)は2,033人で、平均年齢は45.7歳、平均勤続は20.2年、平均年間給与は1,097万円(前期比+4.6%)だ。

研究開発費は781億円で、研究開発部門の人員はグループの3割程度である。ハードウェアからテストのソフトウェアまで自前で開発する体制だ。

面接での使い方

志望動機では「少人数で一人の担当範囲が広い環境で働きたい」と話せる。逆質問では、若手が任される仕事の範囲を聞ける。

第2章 半導体テスタ業界の収益構造

2-1. テスタは「最終試験官」で、世界は2強

半導体は、設計、前工程(回路づくり)、後工程(切断・組立)を経て、最後に必ず試験を受ける。動作するか、速度は出るか、発熱は正常かを確かめる。

この試験装置の市場は、アドバンテストと米テラダインの2強が分け合う。テスタは、テスト・プログラムや保守まで含む一体の仕組みだ。顧客は一度採用したメーカーを替えにくい。

2強が争うのは、AIやスマホの頭脳チップを試すSoCテスタと、メモリを試すメモリテスタだ。HBM(AI向けの広帯域メモリ)の試験需要も追い風になっている。

面接での使い方

志望動機では「省けない工程を担う仕事に就きたい」と語れる。逆質問では、テラダインとの違いをどう捉えているかを聞ける。

2-2. 装置を売った後も稼ぐサービス事業

事業は「テストシステム」と「サービス他」の2つに分かれる。サービス・サポート他の従業員は2,708人で、連結の37.4%にあたる。

仕事は、稼働中の装置の保守、消耗部品、中古装置などだ。市況の谷で新規の装置販売が落ちても、保守は続く。第82期の谷でも赤字に沈まなかったのは、この安定した層があるからだ。

面接での使い方

志望動機では、売って終わりでなく長く顧客を支える仕事に触れられる。逆質問では、サービス部門で若手が担う役割を聞ける。

2-3. 日本の装置メーカーの中での立ち位置

日本の半導体装置メーカーは、それぞれ特定の工程を押さえている。東京エレクトロンは前工程の総合、ディスコは切断・研削、レーザーテックはEUVマスクの検査だ。アドバンテストは、最後の「試験」の工程を押さえる。

整理するなら「広く強いTEL、狭く最強のディスコ、時代の中心にいるアドバンテスト」となる。

面接での使い方

「なぜ同業他社ではなくアドバンテストか」と聞かれたとき、試験工程とAIの結びつきで答えられる。逆質問では、他工程のメーカーとの協業の広がりを聞ける。

アドバンテストの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(シリコンサイクル——EPS 84円と515円を行き来する振れ幅/NVIDIA依存21.6%——最大の追い風は、最大の集中リスク/テラダインとの技術競争——次の主戦場は「光」/期待の重さ——PER 39倍が意味するもの)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。売上1兆1,286億円(+44.7%・初の1兆円)、営業利益率44.2%、ROE 57.6%、最大顧客NVIDIA 21.6%、台湾比率50.5%——アドバンテストの爆発力と集中リスクを数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 半導体テスタ業界の構造的課題——シリコンサイクル——EPS 84円と515円を行き来する振れ幅/NVIDIA依存21.6%——最大の追い風は、最大の集中リスク/テラダインとの技術競争——次の主戦場は「光」/期待の重さ——PER 39倍が意味するもの
  • 第3.5章 面接前に押さえるアドバンテストの最新ニュース10本——1Q営業利益率51.7%・通期大幅上方修正まで
  • 第4章 内定者の正体——「AIが伸びるから」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収1,097万円の読み方と、連結7,241人・単体2,033人でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続20.2年の読み方、女性役員比率22.0%の他社比較、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. アドバンテストの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第84期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は1,098万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. アドバンテストの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第84期)では、提出会社(単体)が2,033人、連結が7,241人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. アドバンテストが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。