NOK(7240)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、NOKを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「最大の顧客はApple」です。
有報の数字(第120期)
- 売上高
- 7,384億円
- 純利益
- 463億円
- ROE
- 7.7%
- 従業員数(連結)
- 36,655人
- 従業員数(単体)
- 3,153人
- 平均年間給与(単体)
- 848万円
- 平均年齢
- 42.3歳
- 平均勤続年数
- 19.3年
出典:NOKの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
NOKを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、NOKに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはNOKの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、NOK株式会社 有価証券報告書 第120期(2025年4月1日-2026年3月31日)、2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月6日公表)、および自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)による自己株式の取得結果に関するお知らせ(2026年8月7日公表)に基づきます。
NOKは、オイルシールの会社から、電子部品とイーグル工業との統合に賭ける会社へ動いている。
知っておきたいことは3つある。
売上の半分近くは電子部品で、最大の顧客はAppleだ。オイルシールだけの会社ではない。
2026年10月1日に、イーグル工業と共同持株会社を作る。親会社を新しく置き、両社をその子会社にする仕組みだ。
本業のもうけは減っている。利益を稼ぐのはシール事業で、電子部品事業は利益が薄い。
この記事では、会社が何に賭け、どこを自分の課題と認めているかを確かめる。
第1章 NOKは何に賭けているのか
1-1. イーグル工業との統合——NOKの最大の賭け
NOKは、油漏れを防ぐ部品であるオイルシールの会社だ。この会社が2026年10月1日(予定)に、イーグル工業と統合する。
統合の形は、共同持株会社「NOK Group株式会社」の設立である。契約は2025年11月10日に結んだ。
有報は理由を「封じる」機能が共通するからと書く。NOKの主力はオイルシール、イーグル工業の主力はメカニカルシールで、方式は違う。両方を「シーリング・ソリューション」として束ねる考えだ。
会社は手放す側にも動いた。2026年1月30日に、ロール製品事業の全株式を譲渡している。
志望動機で「封じる技術を一つにまとめる統合に参加したい」と語れる。逆質問では、統合後にオイルシールとメカニカルシールをどう組み合わせて提案するのかを聞ける。
1-2. 新しい中期経営計画——入社するのは最終年度
新しい中期経営計画は、2026年4月から2029年3月までだ。基本方針は「Implementation」である。
28卒の入社は2028年4月で、この計画の最終年度にあたる。統合から1年半がたった時期でもある。
長期の目標は、創業90周年の2031年に「売上高1兆円、営業利益率8%以上」だ。営業利益率とは、売上のうち本業のもうけが占める割合である。
志望動機で、入社時が計画の最終年度だと踏まえたうえで、実行を支えたいと語れる。逆質問では、2031年の目標に向けて、2029年3月期までに何を達成しておくべきかを聞ける。
1-3. 減収・営業減益なのに、最終利益は増えた
第120期(2026年3月期)の売上高は7,384億円で、前の期より3.7%減った。
営業利益は本業のもうけを表す。これは330億円で、11.5%減っている。
それでも当期純利益は463億円で、52.8%増えた。
有報は理由として、投資有価証券(保有している株式)の売却益が増えたことを挙げる。本業は縮み、最終利益は売却益に支えられた形だ。前の中期計画も、売上高と営業利益の目標には届かなかった。
2027年3月期の第1四半期は純利益が大きく伸びたが、通期の純利益予想はほぼ横ばいだ。この予想は統合前のNOK単体の数字である。
課題指摘で「最終利益は増えたが、本業は縮んでいる」と語れる。逆質問では、営業利益を回復させる柱をどの事業に置くのかを聞ける。
1-4. 売上は2本柱、利益は片方に偏る
シール事業の売上は3,674億円、電子部品事業は3,451億円だ。売上はほぼ同じ規模である。
ところが営業利益は、シール事業が電子部品事業の7倍ある。電子部品事業の営業利益は、前の期より55.6%減った。
有報も、電子部品事業は当初の予想に対して「大幅に未達」だったと書く。生産体制を見直す余地が残ると、会社自身が認めている。
課題指摘で「売上は同規模なのに、利益は片方に偏っている」と語れる。志望動機では、電子部品の収益改善に携わりたいと続けられる。
第2章 「封じる」部品と「つなぐ」部品
2-1. シール事業が増収増益だった理由
シール事業は、国内の自動車生産が減っても売上を伸ばした。営業利益率は7.6%だ。
有報は理由を、中国の非日系顧客への販売拡大と、タイの自動車市場の回復と書く。日系メーカーの国内生産は減っている。
会社の方針も明確だ。有報は「日系自動車メーカー向けの販売に過度に依存しない事業の体制」が重要だと書く。価格設定の見直しも進め、新しい中計には「プライシング戦略の構築と実行」が入った。
志望動機で、日系メーカー依存を下げる方針に共感し、海外の新しい顧客開拓で貢献したいと語れる。逆質問では、中国やASEANの非日系顧客をどこまで増やす考えかを聞ける。
2-2. 電子部品事業の利益が薄い理由
電子部品事業の営業利益率は1.1%だ。シール事業の7.6%を大きく下回る。主力はFPCで、スマートフォンの内部で部品をつなぐ、曲げられる配線板である。
有報の記述から、理由は3つ読み取れる。
スマートフォン向けが売上の約半分で、新機種の時期に生産が集中する。
最大顧客のAppleが1,033億円、全社売上の14.0%を占め、1社の需要に左右される。
有報は、償却費や人件費などの固定費が悪化したと書く。
会社の対策は、季節による需要の波が小さい車載バッテリー向けを増やすことだ。生産を平らにして、いまある設備を有効に使う。ただし、期待する売上水準には達していない。
課題指摘で「Apple依存と季節の波」を挙げ、車載バッテリー向けの拡大で貢献したいと語れる。逆質問では、車載バッテリー向けをいつまでにどの水準へ伸ばす計画かを聞ける。
2-3. 働く側の実像——本体はシール事業の会社
連結の従業員は36,655人だ。NOK株式会社本体(提出会社)は3,153人にとどまる。
本体のうち3,076人、97.6%がシール事業にいる。電子部品事業は本体に59人しかおらず、丸ごと子会社が担っている。
平均年間給与は約848万円で、この3,153人の数字だ。
志望動機で、本体に入ればシール事業が中心になると理解したうえで志望していると語れる。逆質問では、本体と子会社の間で、キャリアがどう動くかを聞ける。
NOKの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(売上1兆円・営業利益率8%までの距離/電子部品事業の収益性/Apple 1社で売上の14.0%/統合後の姿は、まだ開示されていない)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。Apple Inc.が売上の14.0%を占め、電子部品事業が売上の46.7%を占めるという構造。2026年10月1日にイーグル工業と共同持株会社「NOK Group株式会社」を設立し、株式移転比率は1対1であること。統合契約はすでに2025年11月10日に締結済みで、日本精工とNTNの基本合意より半年早いこと。売上3.7%減・営業利益11.5%減のなかで当期純利益が52.8%増えたのは投資有価証券売却益によるもので、ROE7.70%は財務レバレッジ1.537倍という同業で最も低い水準のうえに立っていること。そして2031年の目標「売上高1兆円、営業利益率8%以上」に対し、現在は7,384億円・4.5%であること。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 NOKが抱える構造的課題——売上1兆円・営業利益率8%までの距離/電子部品事業の収益性/Apple 1社で売上の14.0%/統合後の姿は、まだ開示されていない
- 第3.5章 面接前に押さえるNOKの最新ニュース10本——イーグル工業との統合、ロール製品事業の譲渡、自己株式111億円の取得と消却まで
- 第4章 内定者の正体——「オイルシールの世界シェア」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収8,475,417円の読み方と、連結36,655人・単体3,153人の組織でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——平均年齢42.3歳・勤続19.3年の読み方、女性役員比率10.0%、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——志望動機3つの型、課題回答2パターン、逆質問7本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生