メディキット(7749)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、メディキットを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「売値が2年に1度、制度で下がる商売。単体179人の販売会社が、連結994人を動かしている」です。

有報の数字(第43期)

売上高
238億円
純利益
30億円
ROE
6.5%
従業員数(連結)
994人
従業員数(単体)
179人
平均年間給与(単体)
634万円
平均年齢
40.1歳
平均勤続年数
13.7年

出典:メディキットの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

メディキットを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、メディキットに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはメディキットの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、メディキット株式会社 有価証券報告書 第43期(2025年4月1日-2026年3月31日)、および2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月7日公表)に基づきます。

メディキットは、国が2年に1度売値を下げる業界で、買収と海外によって成長を取りにいく会社だ。

知っておきたいことは3つある。

会社は中期経営計画で、売上と利益率の目標を数字で掲げている。就活生が入社するのは、その最終年度の直前だ。

買収した会社の製品が、公的保険の対象になった。買収は、実際に製品となって市場に出ている。

医療材料の価格は、国の見直しで下がる傾向にある。それでも会社は5期連続で増収だった。

この記事では、会社が何に賭け、どんな制約のなかで稼いでいるのかを確かめる。

第1章 メディキットは何に賭けているのか

1-1. 中期計画の数字——290〜320億円と、3つの賭け

メディキットは、血管・血液に関する医療機器を作る会社だ。品目は、人工透析用の針、輸液用の針、血管内治療の器具の3つである。売上はほぼ3等分されている。

会社が自分で置いた目標は、中期経営計画「NEXT300Neo」にある。2029年3月期に売上290〜320億円、年平均成長率5.5〜8.5%、営業利益率18%程度だ。営業利益率とは、売上のうち本業の利益として残る割合である。

重点課題は2つ名指しされている。1つ目は、血管内治療の器具(インターベンション)を中心とした、付加価値の高い製品だ。2つ目は、欧米と中国を中心とした海外販売の強化である。

面接での使い方

志望動機では、会社が賭ける領域のどこに関わりたいかを語る根拠になる。逆質問では、インターベンションの開発体制を聞ける。

1-2. 買収は製品になった——2年3か月の時間軸

2022年12月に買収したBolt Medicalの脳血管用の器具は、2025年3月に保険収載された。保険収載とは、公的保険の対象になることである。買収から販売開始まで、2年3か月かかっている。

2026年7月には、T.G. Medicalの連結子会社化を公表した。会社はこれを中期計画に沿った取り組みと位置づけている。一方で、2027年3月期の連結業績への影響は軽微とする。

面接での使い方

買収が成果になるまでの時間軸を理解していると、志望動機に説得力が出る。逆質問では、T.G. Medicalの統合で若手に任される役割を聞ける。

1-3. 目標との距離——3年で52億〜82億円

2026年3月期の売上は237億円(前期比+5.4%)だった。目標の290〜320億円までは、3年で52億〜82億円の積み増しが要る。

2027年3月期の予想は258億円(+8.5%)だ。必要な成長率の帯に、ちょうど入っている。

28卒が入社する2028年4月は、中期計画の最終年度の直前にあたる。目標に届くかどうかが見えてくる時期だ。

面接での使い方

「最終年度の1年前に入社する」と伝えれば、計画を自分ごととして捉えていると示せる。逆質問では、目標達成にいちばん足りていない部分を聞ける。

1-4. 増収でも営業減益——設備投資が効いている

2026年3月期は増収だったが、営業利益は42億円(△4.8%)に減った。

決算短信は、設備投資に伴う減価償却費の増加を理由に挙げる。減価償却費とは、設備の購入費を年ごとに費用にしたものである。

品目では勢いが分かれた。静脈留置針類は+13.9%で、売上の最大品目になった。人工透析類は△2.1%だった。

2027年3月期の第1四半期は、営業利益が+23.8%だった。それでも通期の営業利益予想は+0.6%にとどまる。

面接での使い方

課題指摘では、減少した人工透析類をどう補うかを論点にできる。逆質問では、第1四半期が好調でも通期予想を据え置く理由を聞ける。

1-5. 販売会社と製造会社を分けている——就活生が確認すること

メディキット株式会社は販売会社である。開発と製造は、子会社の東郷メディキット株式会社が担う。会社は役割を明確にするため、販売側は売上、製造側は売上原価と売上原価率で評価している。

連結従業員数は994人で、本体は179人だ。販売会社に入るのか、製造会社に入るのかで、仕事も採用の入口も違う可能性がある。

働く側の数字も押さえておく。平均年齢は40.1歳、平均勤続年数は13.7年。平均年収は634万円で、前年度比+2.6%だった。

面接での使い方

志望動機では、販売会社を選ぶ理由を語る土台になる。逆質問では、販売会社と製造会社がどう連携しているかを聞ける。

第2章 ディスポーザブル医療機器メーカーの収益構造

2-1. 使い捨てだから、注文が続く

メディキットの製品は、使い捨ての医療機器だ。人工透析は年間150回程度行うため、患者1人につき年間300本の針が使われる。

使うたびに新しい針が要るので、注文は途切れにくい。売上は5期連続で増収だった。

面接での使い方

志望動機では、使い捨てで需要が続く事業の安定性を挙げられる。逆質問では、増収を最も支えている製品を聞ける。

2-2. 2年に1度、国が売値を下げる

有報の事業等のリスクは、2000年以降、特定保険医療材料の償還価格が基本的に2年に1度見直されると書く。特定保険医療材料とは、保険で価格が決められている医療材料のことだ。針もカテーテルも含まれる。

価格は全体として低下傾向にある。会社は値上げで応じられない。有報が挙げる対応は、原価の低減、販売コストの抑制、高付加価値製品の販売の3つだ。

製造会社を原価で評価する構造や、インターベンションの重視は、この制約への答えだと読める。

面接での使い方

課題指摘では、「売値が下がる業界で何で稼ぐか」を論点にできる。志望動機では、原価の低減と高付加価値製品のどちらで貢献したいかを示せる。

2-3. 売る場所を広げる——海外と各国の規制

会社は、売値の制約がある国内に加え、欧米と中国を中心に海外販売を強化する。静脈留置針類が伸びた背景として、決算短信は北米を中心とした世界的な需要の高まりを挙げる。

一方で、有報は各国の規制が強化される傾向にあると書く。許認可が得られない、取り消される、適時に得られないといったリスクもある。

面接での使い方

課題指摘では、海外拡大には各国の許認可への対応が要る点を挙げられる。逆質問では、海外の許認可を進める体制を聞ける。

メディキットの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(償還価格という天井/人工透析という、伸びなくなった主力/資本が厚すぎる/組織が小さいことの意味)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。特定保険医療材料の償還価格が2年に1度引き下げられるという制度上の制約と、それに対する「原価低減・コスト抑制・高付加価値製品」という3つの対応。販売会社(メディキット)と製造会社(東郷メディキット)を分け、売上と原価率で別々に評価する構造。自己資本比率87.8%・財務レバレッジ1.15倍がROE6.5%を作っていること。そして中期経営計画「NEXT300Neo」が2029年3月期に売上290〜320億円・営業利益率18%程度を掲げていること。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 ディスポーザブル医療機器業界の構造的課題——償還価格という天井/人工透析という、伸びなくなった主力/資本が厚すぎる/組織が小さいことの意味
  • 第3.5章 面接前に押さえるメディキットの最新ニュース10本——第1四半期の営業利益+23.8%、T.G. Medicalの子会社化、増配まで
  • 第4章 内定者の正体——「医療に貢献したい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収6,344,778円の読み方と、連結994人・単体179人の組織でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続13.7年の読み方、女性役員比率11.0%、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——財務を組み込んだ回答例と逆質問3本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. メディキットの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第43期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は634万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. メディキットの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第43期)では、提出会社(単体)が179人、連結が994人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. メディキットが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。