SOMPO(8630)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、SOMPOを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「当期利益2.63倍」です。
有報の数字(第16期)
- 売上高
- 5兆4,538億円
- 純利益
- 4,229億円
- ROE
- 14.8%
- 従業員数(連結)
- 55,702人
- 従業員数(単体)
- 497人
- 平均年間給与(単体)
- 1,260万円
- 平均年齢
- 43.3歳
- 平均勤続年数
- 12.5年
出典:SOMPOの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
SOMPOホールディングスを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、損保ジャパンやSOMPOケアに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはSOMPOの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
※本記事の数値は、SOMPOホールディングス株式会社 有価証券報告書 第16期(2025年4月1日〜2026年3月31日、IFRS)に基づきます。2026年5月20日発表の2027年3月期 会社予想も反映しています。
結論から言う。SOMPOは「損保の会社」ではなく、信頼回復を最優先にしつつ、損保・海外・介護に人を配った会社だ。
知っておきたいことは3つある。
・人の配置は損保だけではない。連結従業員5万5,702人のうち、介護事業は1万3,511人で24.3%を占める。国内損保2万3,435人に次ぐ規模だ。
・利益は大きく振れた。当期(2026年3月期)の当期利益は6,400億円で、前期の2.63倍だ。今期予想は4,900億円で、23.4%の減益を見込む。
・最優先は成長ではなく業務改善計画だ。行政処分を3件受け、営業目標から売上とシェアを外した。
この記事では、この3点を面接で自分の言葉で話せるかを確かめる。
第1章 SOMPOは何に賭けているのか
1-1. 最初の賭けは「信頼回復」——業務改善計画
有報は、会社が最初に向き合う課題を「業務改善計画」と書く。背景は2023年度と2024年度の行政処分3件だ。損保ジャパンは、真因を「過度なトップライン(売上高)偏重の文化」と指摘された。
その対応として、組織目標からトップライン(売上高)とマーケットシェアを外した。保険会社が売上を目標にしないと決めた。大きな方針転換だ。
ほかにも、代理店出向の廃止、政策保有株式(取引関係のために持つ株式)の削減、AIによる不正請求の検知を進めている。毎年11月9日を「振り返りの日」とする仕組みもある。
当期には、不正アクセスで個人情報1,189万件が漏えいした可能性も公表された。ただし、不正利用の事実は確認されていない。有報はこれを隠さず書いている。
志望動機では、信頼回復の最中にある会社で働く理由を語る材料になる。逆質問では「売上を外した後、営業は何で評価されるか」を聞ける。
1-2. 会社が決めた目標——修正連結ROE 13〜15%
修正連結ROEとは、元手(自己資本)に対する利益の率に、会社独自の補正を加えた指標だ。中期経営計画(2024〜2026年度)で、会社自身が13〜15%を目標に置いた。
当期の実績は13.4%で、目標の範囲に入った。一方、2026年度の予想は11%程度に下がる。修正連結利益も、当期の5,352億円から5,000億円への減少を見込む。
会計上の純利益6,400億円とは、約1,000億円の差がある。保険の利益は災害や株価で振れるため、会社は独自の指標を使う。会社自身が「当期の水準は続かない」と見ている。
28卒の入社は2028年4月で、現計画の終了後だ。次の中期経営計画の中で働くことになる。
逆質問で「次の計画で、ROE 13〜15%をどう位置づけるか」を聞ける。単年でなく平均で見る姿勢も示せる。
1-3. 3つの賭けと人員配置——利益は海外、人は介護
会社が賭けるのは3つだ。損保事業のSOMPO P&C、SOMPOウェルビーイング、そして今後10年のグループビジョン「未来の可能性を解き放つ」である。ウェルビーイングは、健康・介護・老後資金の3つの「不」を解消する事業を指す。
P&Cの修正利益は4,847億円。内訳は国内2,194億円、海外2,653億円で、海外が国内を上回る。
一方、人は介護に多い。修正利益で見ると、介護は109億円で全体5,352億円の2.0%にすぎない。しかし人員は24.3%を占める。利益は小さく、人は多い。この差が第2章の論点につながる。
課題指摘として「介護の利益をどう伸ばすか」を、自分の貢献に結びつけて話せる。志望動機にも使える。
1-4. 利益6,400億円、でも今期は4,900億円の予想
当期利益は6,400億円で、前期の2.63倍になった。要因は2つある。保険の本業の利益が増えたこと。運用の損益も増えたこと。株式市場の好調と、政策保有株式の売却が寄与した。
今期予想は4,900億円で、23.4%の減益だ。前期の利益が一時的な要因を含んでいたためで、業績の悪化とは言えない。この読み方ができるかが、面接での差になる。
ニュースで「減益予想」と見ても、前期の反動だと説明できる。逆質問では「一時的要因を除いた実力をどう見ているか」を聞ける。
第2章 損害保険業の収益構造
2-1. 損保の利益は振れる——保険と運用の二輪
損保は、事故の確率を予測して保険料を決める。予測より事故が少なければ利益、多ければ損失だ。自然災害が、この予測を最も大きく狂わせる。
預かった保険料の運用も、大きな収益源だ。当期の金融損益3,449億円は、税引前利益の約4割にあたる。株安や金利の変動で、これは逆回転もする。
実際に当期利益は、第14期の5,296億円から第15期の2,431億円、第16期の6,400億円へと動いた。「安定した金融機関」というイメージとは違う。
「損保は利益が振れる業態だと理解している」と述べ、志望動機の前提にできる。逆質問では、災害の多い年の備え方を聞ける。
2-2. なぜ損保が介護をやるのか
SOMPOケアの従業員は1万3,511人。介護は利益が小さく、「儲かる事業」とは言いにくい。それでも続ける理由は3つある。
・介護は、高齢化で需要が確実に伸びる市場だ。
・保険(万一に備える)と介護(実際に支える)は、人生の中でつながっている。
・介護現場の高齢者のデータが、保険商品や健康サービスの開発につながる。
東京海上やMS&ADは、保険とその周辺に集中している。介護という人手のかかる事業を抱えるのは、3メガ損保でSOMPOだけだ。
志望動機で「保険の先の答えを探す会社だから選んだ」と語れる。課題指摘では、介護の人材不足を自分がどう支えるかを話せる。
SOMPOの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(自然災害の激甚化——予測が効かなくなる恐怖/保険金不正請求問題という信頼の傷/政策保有株式の売却——利益の押し上げは一度きり/介護事業の低収益——1.35万人が生む利益79億円)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
ここまでが無料パートです。当期利益6,400億円(前期の2.63倍)、ROE 13.7%、海外保険2,944億円が国内損保2,681億円を上回る構造、介護事業1万3,511人で利益79億円、そして今期は23.4%の減益予想——SOMPOの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。
有料記事で読めること
- 第3章 損害保険業の構造的課題——自然災害の激甚化——予測が効かなくなる恐怖/保険金不正請求問題という信頼の傷/政策保有株式の売却——利益の押し上げは一度きり/介護事業の低収益——1.35万人が生む利益79億円
- 第3.5章 面接前に押さえるSOMPOの最新ニュース10本——今期4,900億円予想・海外の主役交代・介護の位置づけまで
- 第4章 内定者の正体——「人の役に立ちたい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
- 第5章 職種別キャリア分析——平均年収1,260万円の読み方と、連結5.6万人でのキャリア
- 第6章 働く環境の現実——女性役員比率11.8%の他社比較、介護1.35万人の意味、財務から見る雇用の安定性
- 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本
- 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生