京阪HD(9045)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、京阪HDを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「不動産が鉄道を上回った」です。

有報の数字(第104期)

売上高
3,325億円
純利益
336億円
ROE
10.4%
従業員数(連結)
6,233人
従業員数(単体)
143人
平均年間給与(単体)
813万円
平均年齢
43.8歳
平均勤続年数
19.3年

出典:京阪HDの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

京阪ホールディングスを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、京阪グループに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたは京阪グループの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、京阪ホールディングス株式会社 有価証券報告書 第104期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。

結論から言う。京阪HDは鉄道会社の顔をしているが、収益・利益・資産のすべてで不動産が鉄道を上回る会社だ。

知っておきたいことは3つある。

2025年度は営業収益3,324億円で、5期連続の増収増益だった。ROE(自己資本に対して、どれだけ利益を出したかを示す率)は10.4%である。

不動産は収益の39.4%、利益の52.3%、資産の60.1%を占める。

会社は2030年度にROE10%水準の定着を掲げている。28卒が入る2028年度は、新しい中期経営計画の最終年度にあたる。

この記事では、会社が何に賭け、どこに課題があるかを、会社自身の数字で確かめる。

第1章 京阪ホールディングスは何に賭けているのか

1-1. 会社が自分で置いた目標は「2030年度にROE10%水準」

志望動機の出発点は、決算の数字ではない。会社が2030年度に置いた目標だ。

有報には「2030年度ROE10%水準の達成に向けて、京阪の「真価」を活かした新たな沿線価値創造とBSマネジメントによる企業価値向上を推進します」とある。BSマネジメントとは、資産と借入のバランスを管理することだ。

当期のROEは10.4%で、数字上はすでに届いている。だが会社が狙うのは、10%を「水準」として保ち続けることだ。

管理する指標には、営業利益、純利益、ROEのほか、EBITDAとネット有利子負債/EBITDA倍率がある。EBITDAは、営業利益に減価償却費を足した、本業の稼ぐ力を示す数字だ。倍率は、借入が稼ぎの何年分かを見る。

成長の柱は2本ある。沿線の歴史・文化を活かした高付加価値化と、賃貸資産の売却による借入のコントロールだ。

面接での使い方

志望動機では、「ROE10%を単年でなく水準として保つ計画に魅力を感じた」と、会社の目標を根拠にできる。逆質問では、借入の指標を置いた理由を聞ける。

1-2. 賭けは設備投資に表れている——車両67両と淀屋橋駅

戦略は、設備への投資額で確かめられる。

京阪線の新型車両(13000系)67両の新造は126億円で、すでに76.4%を支払済みだ。完了は2027年3月の予定である。一方、淀屋橋駅ホーム階のリニューアルは2026年4月に着手し、2028年3月に完了する予定だ。終わる投資と、始まる投資が並んでいる。

沿線では、京都タワーのリニューアル、三条駅周辺、大津港の再整備も重点施策に挙がる。大阪IR開業や中之島線延伸による湾岸需要の取り込みも狙う。京都と大阪湾岸の両方に賭けている構図だ。

ただし当期の設備投資は前期比20.1%減だった。主力の不動産と運輸で減らし、レジャー・サービス業だけ増やしている。

面接での使い方

志望動機では、京都と大阪湾岸のどちらに惹かれるかを、案件名で語れる。逆質問では、投資を絞った年に何を優先したのかを聞ける。

1-3. 28卒が入るのは「真価を磨く2028」の最終年度

時間軸に並べると、28卒の立ち位置が見える。

2023〜2025年度:中期経営計画「BIOSTYLE ~深化と挑戦~」。当期が最終年度

2026年度:新中期経営計画「真価を磨く2028」が始動

2027年3月:車両67両の新造が完了予定

2028年3月:淀屋橋駅ホーム階リニューアルが完了予定

2028年4月:28卒が入社

2029年3月期:「真価を磨く2028」の最終年度

2031年3月期:長期経営戦略の目標年次

入社の直前に車両も駅も完成している。作る局面ではなく、完成したもので稼ぐ局面に入ることになる。会社は現行計画の達成を踏まえ、長期経営戦略の定量目標を引き上げると書いている。

面接での使い方

志望動機では、計画の最終年度に入社する世代として何を担いたいかを語れる。逆質問では、引き上げる目標の中身を聞ける。

1-4. 利益の質は良好、課題は借入の利息

営業利益から純利益まで、すべての段階の伸びが+14.7%〜+18.8%の範囲に揃っている。どこか1段だけが突出していないため、一過性の利益で押し上げた形跡は見当たらない。本業の積み上げで利益が伸びた形だ。

課題は、借入の利息である。支払利息は前期の22億円から35億円へ、+58.7%増えた。重い資産を借入で持つ会社にとって、金利の上昇は直接効く。会社が借入の指標を置き、賃貸資産の売却で借入を適正な水準に保つと書く背景は、ここにある。

面接での使い方

課題指摘では、「利益は好調だが、利息が+58.7%と増えている」と良い面と課題を並べて語れる。逆質問では、利息の増加に対する具体策を聞ける。

第2章 鉄道業の収益構造

2-1. 不動産が鉄道を上回る会社

収益でも利益でも資産でも、不動産が運輸を上回っている。同じマガジンで解剖した私鉄5社の中で、収益で不動産が運輸を上回るのは京阪だけだ。

人員で見ると、差がはっきりする。不動産は1,023人で、1人あたりのセグメント利益(事業ごとの本業の利益)は2,548万円だ。運輸は3,723人で、1人あたり375万円である。不動産は1,000人規模の事業で、少人数の賃貸部門ではない。

面接での使い方

志望動機では、鉄道会社ではなく「不動産が主力の会社」として捉えた上で、不動産と鉄道のどちらで貢献したいかを語れる。職種選びの根拠にもなる。

2-2. レジャー・サービス業の利益率が運輸を上回った

ホテル、遊園地(ひらかたパーク)、劇場などを運営するレジャー・サービス業の利益率は、15.19%だった。運輸業の14.33%を上回っている。

一方、流通業だけが減益(前期比△1.0%)だった。駅売店やストアなどを担う事業で、利益率も4.99%から4.86%へ下がった。

面接での使い方

志望動機では、伸びているレジャー事業への関心を語れる。課題指摘では、流通業の利益率の低下を取り上げ、自分に何ができるかを提案できる。

2-3. 働く側の事実:臨時従業員が多く、年収は会社ごとに差がある

連結の従業員は6,233人で、臨時従業員が5,035人いる。正社員に対する比率は80.8%だ。偏りは大きく、流通業は正社員722人に対し、臨時が2,080人いる。運輸業は正社員3,723人に対し、臨時1,036人である。

年収は、持株会社の京阪HD(143人)が平均813万円、京阪電気鉄道(1,227人)が平均699万円だった。平均年齢はそれぞれ43.8歳と47.9歳である。管理職に占める女性の割合は7.4%だ。

面接での使い方

逆質問では、臨時従業員が多い事業で正社員に求められる役割を聞ける。年収は持株会社と事業会社で水準が違うため、どちらに配属される可能性があるかを確かめる材料になる。

京阪HDの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(支払利息が58.7%増えた/不動産への依存/流通業だけが減益/2027年3月期は経常△18.8%、配当も減配へ)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

ここまでが無料パートです。営業収益3,324億円(+6.0%)に対し営業費は+4.4%にとどまり営業利益491億円(+16.8%)・経常利益469億円(+14.7%)・親会社株主帰属当期純利益335億円(+18.8%)とすべての段階で2桁増益、ROEは10.4%と私鉄5社で最高かつ5期連続で上昇(3.9%→6.8%→8.8%→9.3%→10.4%)し5期連続増収増益・純利益は3.50倍という安定した成長を遂げた一方、支払利息が+58.7%(22億円→35億円)と私鉄5社で最大の増加率だったこと、5つのセグメントでは不動産業が外部収益39.4%・セグメント利益52.3%・セグメント資産60.1%とすべてで最大——収益で不動産が鉄道を上回るのは私鉄5社で京阪だけ——であり利益率17.82%・1人あたり2,548万円(運輸375万円の6.8倍)、レジャー・サービス業は利益+37.5%で利益率15.19%と運輸業14.33%を上回り、流通業だけが減益(△1.0%・利益率4.86%)で臨時従業員2,080人(正社員の2.9倍)を抱え、連結の臨時従業員5,035人は正社員6,233人の80.8%と私鉄5社で最も高く、設備投資は△20.1%(不動産△26.9%・運輸△15.6%)と絞られ自己資本比率は37.5%へ+1.8ポイント改善、持株会社143人(813万2,131円・△0.1%)と京阪電気鉄道1,227人(699万7,128円・+4.3%)の113万5,003円差、そして2027年3月期は経常381億円(△18.8%)の減益計画で配当も100円から86円へ減配——京阪ホールディングスの構造を数字で確認しました。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 鉄道業の構造的課題——支払利息が58.7%増えた/不動産への依存/流通業だけが減益/2027年3月期は経常△18.8%、配当も減配へ
  • 第3.5章 面接前に押さえる京阪HDの最新ニュース10本——不動産が利益の52.3%・支払利息+58.7%・経常△18.8%計画まで
  • 第4章 内定者の正体——「鉄道が好きです」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——年収813万円と700万円の読み方と、5事業でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続26.8年、男性育休100%、臨時従業員80.8%の意味
  • 第7章 面接攻略——IRで差をつける志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問8本
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. 京阪HDの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第104期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は813万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. 京阪HDの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第104期)では、提出会社(単体)が143人、連結が6,233人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. 京阪HDが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。