セコム(9735)の企業研究——有価証券報告書で読む

このページは、セコムを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「利益の67%は警備、ROEは5年8%台」です。

有報の数字(第65期)

売上高
1兆2,569億円
純利益
1,127億円
ROE
8.7%
従業員数(連結)
65,094人
従業員数(単体)
15,991人
平均年間給与(単体)
673万円
平均年齢
44.5歳
平均勤続年数
18.0年

出典:セコムの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。

はじめに

セコムを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、セコムに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはセコムの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。

※本記事の数値は、セコム株式会社 有価証券報告書 第65期(2025年4月1日〜2026年3月31日)に基づきます。直近の数字は2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月7日)で補っています。

セコムは、警備の月額契約で利益の大半を稼ぎ、その外側に6つの事業を抱える会社だ。

知っておきたいことは3つある。

・売上の44.2%が「セキュリティ契約収入」だ。毎月入ってくる契約のお金が、売上1兆2,568億円の土台になっている。
・稼ぎ頭ははっきりしている。警備の事業は売上の52.6%だが、事業部門の利益の67.1%を占める。
・利益は過去最高、ROEは横ばい。営業利益は前期比11.1%増えたのに、ROEは5期続けて8%台にとどまる。

この記事では、契約の積み上がり方、警備に偏った稼ぎ方、余った資本の使い道の3点を確かめ、面接で自分の言葉にする。

第1章 セコムは何に賭けているのか

1-1. 会社が自分で決めた目標——「先回りの安心」

2026年5月、会社は「セコムグループ2040年ビジョン」を作った。キーメッセージは「先回りの安心」である。

有報はこう書く。「インシデント前の予兆を捉え、あらゆる不安の発生に先回りするプロアクティブ(事前対応型)」。起きた事件に駆けつける会社から、起きる前に手を打つ会社へ変わる、という宣言だ。

数字の目標は役員報酬の欄にある。第65期の連結営業利益の目標は1,500億円で、実績は1,603億円だった。会社が自分で引いた線を、100億円ほど上回って終えている。

面接での使い方

志望動機に使える。「駆けつける警備から、予兆をつかむ警備へ」という会社の言葉を引けば、ビジョンを読んだ学生だと伝わる。

1-2. 賭けは口先ではない——データセンターと警備DX

実行の証拠は3つある。

1つ目は買収だ。2025年10月、海外でデータセンター向けの警備システムを組む企業AVTELを完全子会社にした。2つ目は設備計画で、警報機器に400億円、ソフトウエアに316億円を投じる予定だ。

3つ目は技術だ。警備ロボット「cocobo」が、警備会社のロボットとして初めて公道を走れるようになった。2026年2月には陸上自衛隊向けのリモート警備システムも受託した。

国内の警備会社も買い足してきた。集配金のアサヒセキュリティ(2015年)、施設警備のセコムトセック(2018年)、航空保安に強いセノン(2022年)だ。同じ警備の領域で、得意分野の違う会社を3社加えている。社名は残したままで、統合はしていない。

面接での使い方

課題指摘に使える。「買った3社の強みを、セコムの契約網にどうつなぐか」は、入社後に関われる論点だ。

1-3. 28卒が入るのは、次の計画が始まる年

会社はいま「セコムグループロードマップ2027」に取り組んでいる。名前どおり2027年度が区切りなら、終わるのは2028年3月だ。

28卒の入社は2028年4月である。2040年ビジョンのもとで、次の計画が動き出す最初の年に入る計算になる。

面接での使い方

逆質問に使える。「ロードマップ2027の次は、何を一番の指標に置く考えですか」と聞けば、時間軸で会社を見ていることが伝わる。

1-4. 稼ぎ頭は警備——ほかの6事業は利益率が低い

事業は7つある。警備、防災、医療、保険、測量、データセンターなどのBPO・ICT、不動産などのその他だ。

警備の事業は、売上の52.6%で利益の67.1%を稼ぐ。営業利益率(売上に対する本業の利益の割合)は18.4%だ。ほかの事業は6.4%〜14.8%にとどまる。

つまり、警備以外の事業は「稼ぐため」より「つなげるため」にある、と読める。会社は事業を組み合わせる姿を「社会システム産業」と呼ぶ。

面接での使い方

志望動機と課題指摘の両方に使える。「警備の稼ぐ力を、医療や防災とどう掛け合わせるか」は、この会社にしかない問いだ。

1-5. 働く側の事実

連結の従業員は6万5,094人。セコム単体は1万5,991人で、平均年齢44.5歳、平均勤続18.0年、平均年間給与は672万9,386円だ。給与は前期から2.7%増えた。

2026年度はベースアップに加え、都市部で働く社員の処遇も上げた。

面接での使い方

逆質問に使える。「都市部の処遇改善は、採用や定着にどう効いていますか」と聞ける。

第2章 警備・安全サービス業の収益構造

2-1. 売るのは機械ではなく「毎月の契約」

セコムの主力は、オンラインの警備システムだ。建物にセンサーを付け、異常があれば管制センターに信号が飛び、緊急対処員が駆けつける。

お金の入り方が特徴的だ。機械を売り切るのではなく、毎月の契約料を受け取る。第65期の「セキュリティ契約収入」は5,551億円で、売上全体の44.2%にあたる。

警報機器はセコムが買って設置する。だから最初にお金が出て、契約が続くほど回収が進む。解約されにくい契約を積み上げるほど、利益が厚くなる商売である。

面接での使い方

志望動機に使える。「一度つながった顧客と長く付き合う仕事がしたい」と、構造から語れる。

2-2. 参入障壁と、同業ALSOKとの違い

有報は自社の市場をこう書く。「参入障壁は高いものと考えております」。理由は、設備の初期投資が大きいことと、即応体制やノウハウを作るのが難しいことだ。

同業のALSOKと並べると違いが見える。ALSOKの営業利益率は7.9%で、セコムは12.8%だ。ALSOKは介護や設備管理を買い足して外へ広げ、セコムは契約の厚みで稼ぐ。

面接での使い方

「なぜALSOKではなくセコムか」に答える材料になる。利益率の差を、事業の組み方の差として説明できる。

2-3. この構造で働く人

連結6万5,094人のうち、警備の事業に4万1,172人がいる。全体の63.3%だ。

単体の1万5,991人は、ほぼ全員が警備の事業に属する。現場、管制、営業、技術。どの職種も、毎月の契約を守ることにつながっている。

面接での使い方

志望動機に使える。「契約を守る現場を、どの持ち場から支えたいか」を自分の経験と結べる。

セコムの構造的課題と追い風は、4つに分けて第3章で扱う(ROEが5期続けて8%台/人が減る国で人が要る/警備以外の事業の利益率/海外売上5.4%と女性管理職13.4%)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。

■この会社の面接で落ちる人の共通点
「安全・安心な社会に貢献したい」と言ったあとに、面接官から「それはALSOKでも言えますよね。売上の44.2%が契約収入という当社の構造を、あなたはどう見ていますか」と返されて、言葉が止まる。差がつくのは、契約の積み上がり方と利益の偏りを数字で話せるかどうかだ。第4章では、この止まり方を3パターンに分けて、どこで差がつくかを書いた。

■逆質問の1本目だけ、ここに置いておく
「警備の事業の営業利益率は18.4%と高い一方、ROEは5期続けて8%台です。2040年ビジョンのもとで、資本の使い方を変える議論はありますか」
この質問を作るのに必要な数字は2つ、事業の利益率と会社全体のROEである。残り6本は、データセンター、買収した警備3社の統合、女性管理職30%目標、都市部の処遇改善を、それぞれ同じ型で組んである。

ここまでが無料パートです。売上1兆2,568億円(+4.7%)のうち契約収入が44.2%、警備の事業が利益の67.1%を稼ぎ、営業利益は1,603億円(+11.1%)で過去最高、それでもROEは8.7%で横ばい。ここから先は、この構造を選考で使える武器に変える有料パートです。

  • 第3章 警備・安全サービス業の構造的課題——ROEが5期続けて8%台/人が減る国で人が要る/警備以外の事業の利益率/海外売上5.4%と女性管理職13.4%
  • 第3.5章 面接前に押さえるセコムの最新ニュース10本——上限1,000億円の自社株買い・年間配当120円への増配・第1四半期の営業利益334億円まで。1本ごとに「面接で使うなら」
  • 第3.6章 数字で補足——5期の推移・セグメント別の利益と人員・ROEの分解・財務・株主還元・リスク要因
  • 第4章 内定者の正体——「安全・安心な社会に貢献したい」で落ちる理由、ES・面接の攻略、不合格パターン
  • 第5章 職種別キャリア分析——平均年収672万9,386円の読み方と、6.5万人組織でのキャリア
  • 第6章 働く環境の現実——勤続18.0年の読み方、女性役員比率13.3%の他社比較、財務から見る雇用の安定性
  • 第7章 面接攻略——志望動機3つの型・課題回答2パターン・逆質問7本(それぞれの狙いつき)
  • 第8章 総合評価——推奨できる就活生と、慎重に検討すべき就活生

よくある質問

Q. セコムの平均年収はいくらですか。
A. 有価証券報告書(第65期)の「従業員の状況」によると、提出会社(単体)の平均年間給与は673万円です。連結の子会社や職種別の水準とは異なります。
Q. セコムの従業員数は何人ですか。
A. 有価証券報告書(第65期)では、提出会社(単体)が15,991人、連結が65,094人です。新卒で入るのが本体か子会社かで、この数字の意味は変わります。
Q. このページの数字の出典は何ですか。
A. セコムが金融庁に提出した有価証券報告書と決算短信です。EDINETで誰でも無料で原文を確認できます。
Q. 有料のnote記事では何が読めますか。
A. 業界の構造的課題、面接前に押さえる最新ニュース、内定者の選考と面接攻略、職種別キャリアと年収、IRを使った回答例と逆質問です(買い切り1,480円)。