コナミ(9766)の企業研究——有価証券報告書で読む
このページは、コナミを受ける28卒の就活生に向けたものです。会社が有価証券報告書に書いた数字を、企業研究と面接で使える形に並べます。直近の有報から出てきた事実は、「3期連続で全指標が最高益」です。
有報の数字(第54期)
- 売上高
- 4,937億円
- 純利益
- 1,000億円
- ROE
- 19.1%
- 従業員数(連結)
- 5,186人
- 従業員数(単体)
- 259人
- 平均年間給与(単体)
- 850万円
- 平均年齢
- 35.5歳
- 平均勤続年数
- 10.8年
出典:コナミの有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」「従業員の状況」。平均年間給与・平均年齢・勤続年数は提出会社(単体)の値。
はじめに
コナミグループを受ける就活生は必ず読んでほしい。また、コナミグループに勤める若手社員、中間管理職の方にも読んでほしい。自社の有価証券報告書を通しで読んだことがある社員は、ほとんどいない。この記事を最後まで理解できれば、あなたはコナミグループの面接官より、この会社の論点を整理して語れるようになる。
結論から言う。コナミは「ゲーム機を作らず、デジタルゲームで稼ぐ会社」であり、その偏りが最大の論点だ。
知っておきたいことは3つある。
2026年3月期の売上は4,937億円で、売上の27.5%が本業の利益として残った。工場を持たない設計が、この高さを支えている。
利益の大半は、家庭用機やスマホ向けのゲーム事業が出している。カジノ向け機器の事業は、利益が半分になった。
次の柱として、フィットネスとカジノ機器に力を入れている。ただし、どちらもまだゲーム事業ほどの稼ぎ手ではない。
この記事では、この3点を会社自身の開示で確かめ、面接で語れる形にする。
第1章 コナミグループは何に賭けているのか
1-1. 売上の27.5%が本業の利益になった
会社が重視する指標は4つある。売上に対する利益の割合を3種類と、ROEだ。ROEとは、株主が出したお金を使って、どれだけ利益を出したかを示す数字である。
2026年3月期は、4つとも前期より上がったと会社自身が書いている。ROEは16.4%から19.1%になった。
本業の利益を示す営業利益率は、24.2%から27.5%へ上がった。売上1,000円のうち、275円が本業の利益として残る計算だ。
志望動機で「利益の出し方に強みがある会社」と、数字つきで言える。ただし、数字を褒めるだけで終えず、なぜ高いのかを次の節で答えられるようにしておく。
1-2. ゲーム機を作らず、3社と契約する
有価証券報告書には、重要な設備の新設や除却の計画は「ありません」とある。同業を買い集める会社でもなく、連結子会社は26社にとどまる。
事業の土台は契約だ。任天堂、ソニー、マイクロソフトのゲーム機向けに、ソフトを作って売る許諾を得ている。ゲーム機を作る3社すべてと契約している形になる。
任天堂との契約期間は2029年3月31日までで、その後は1年ごとに自動で更新される。28卒が入社する2028年は、この契約の最終盤にあたる。
逆質問にできる。「3社すべてと契約されています。ハードを持たないソフトメーカーとして、各社との関係をどう保っておられますか」と聞ける。
1-3. 利益の94.7%がデジタルゲームに集中している
2026年3月期の売上は4,937億円で、前期より17.1%増えた。ただし中身には偏りがある。
デジタルエンタテインメント(家庭用機やスマホ向けのゲーム)が、売上の75.1%を占める。事業利益(本業の利益)では、94.7%を占める。
一方、カジノ向け機器のゲーミング&システム事業は、事業利益が37億円で、前期から50.4%減った。会社の説明では、米国の関税措置と、新型機の発売前の買い控えが主因だ。
来期の予想は、売上が5,050億円(+2.3%)にとどまる。今期の勢いからは、伸びが小さくなる見通しだ。
課題指摘に使える。「利益が1つの事業に偏る点を、他の事業の育成でどう補うか」と整理し、自分がどの事業で貢献したいかにつなげる。
1-4. 次の賭け先は、フィットネスとカジノ機器だ
スポーツ事業は、事業利益が前期より52.9%増えた。伸びを引っ張ったのは、マシンピラティス専門スタジオの「Pilates Mirror」だ。2026年3月期に32店舗を新しく開き、合計で85店舗になった。
カジノ向け機器では、約6年ぶりに新型機の「Solstice」シリーズを出した。第1弾は、業界の展示会で新型機の賞を受けた。減益の事業ではあるが、新型機の普及で回復する見通しだ。
志望動機で、ゲーム以外の事業を選んだ理由を語る材料になる。逆質問では、「出店ペースをどう決めておられますか」と聞ける。
1-5. 従業員の健康と、株主への還元を掲げる
人的資本(従業員という経営資源)について、会社は「不可欠なのは、従業員の健康」と書く。健康経営の優良法人に選ばれる「ホワイト500」にも、2017年度から10年連続で認定された。
2026年4月には、新しいパーパス(存在意義)として「『価値ある時間』をともに」を掲げた。ゲームもスポーツクラブも、人の時間の過ごし方を売る事業だという整理だ。
株主への還元も厚い。年間配当は221.5円で、前期の165.5円から増えた。利益の30%を配当に回す方針を維持している。
働く側の事実として、健康を重視する姿勢を志望動機に使える。逆質問では、「利益が増える中で、従業員への還元をどう考えておられますか」と聞ける。
第2章 業界比較——日本エンタテインメント大手の構造
2-1. 売上は大手6社で4番手、利益率は上位
比べる相手は、ソニーグループ、任天堂、バンダイナムコHD、コナミグループ、スクウェア・エニックスHD、カプコンの6社だ。売上の規模は、コナミが4番目になる。バンダイナムコHDは1.35兆円で、コナミの上にいる。
利益率では順位が上がる。カプコンが40%水準で先頭に立ち、コナミは任天堂と並ぶ位置にいる。バンダイナムコHDは14.1%で、コナミを下回る。
志望動機で、規模ではなく利益の質で選んだと言える。逆質問では、「利益率でカプコンとの差が出る要因をどう見ておられますか」と聞ける。
2-2. 同業とは「稼ぎ方の型」が違う
任天堂は、ゲーム機と自社キャラクターのゲームで稼ぐ。カプコンは、自社の人気シリーズに集中している。バンダイナムコHDは、キャラクターと玩具を組み合わせる型だ。
コナミは、ゲーム、アーケード、カジノ機器、フィットネスの4事業を1社で持つ。ゲーム会社でありながら、フィットネスクラブを運営し、カジノ機器も扱う。この組み合わせは、世界でも珍しい。
「なぜ他のゲーム会社でなくコナミか」への答えになる。事業の組み合わせそのものを理由にできる。
2-3. コナミ独自の強みは3つある
1つ目は、先に述べた4事業の組み合わせだ。
2つ目は、実際のスポーツとゲームの融合である。「eFootball」はFIFA、「eBaseball」はWBSC、「プロ野球スピリッツ」はNPBの公式タイトルだ。実在の団体や選手と組むことで、独自の世界観を作っている。
3つ目は、カジノ管理システムの「SYNKROS」だ。北米と豪州のカジノ施設やクルーズ船に導入されている。ただし、この事業は2026年3月期に減益だった点も、あわせて押さえておく。
逆質問にできる。「SYNKROSの海外実績を、今後どの市場に広げる計画ですか」と聞ける。強みと課題を両方知っている学生として、話を聞いてもらえる。
コナミの構造的課題と追い風は、5つに分けて第3章で扱う(### 課題1:ヒット作依存と業績変動性/### 課題2:米国関税政策とゲーミング事業/### 課題3:F2Pゲーム市場の競争激化/### 課題4:アーケードゲーム市場の構造変化/### 課題5:クリエイティブ人材の確保)。ここから先は有料パートで、第7章の課題回答に直結させる。
有料記事で読めること
- 第3章 業界の構造的課題——### 課題1:ヒット作依存と業績変動性/### 課題2:米国関税政策とゲーミング事業/### 課題3:F2Pゲーム市場の競争激化/### 課題4:アーケードゲーム市場の構造変化/### 課題5:クリエイティブ人材の確保
- 第3.5章 押さえておくべきコナミグループの最新ニュース
- 第4章 内定者の正体
- 第5章 職種別キャリア分析
- 第6章 働く環境の現実
- 第7章 面接攻略——財務分析を組み込んだ回答例
- 第8章 やましゃんの総合評価